正直言ってかったるい。
アンナちゃん、面倒くさがる。
やほー、アンナちゃんだ。既に一ヶ月経過。いやあ、代わり映えしない生活だねぇ。
裏で色んなのが渦巻いてるけど、私にゃ知ったこっちゃないわー。
「グリディナちゃーん、何考えてんのー?」
チャラ男。こいつも代わり映えしねーなぁ。
「なんていうか、平和だなぁーって。」
「平和だねぇ!平和なのはいい事だー!」
「グリディナ君は、平和なのは嫌いか?」
クソ眼鏡。こいつちょっと嫌みったらしいなぁー。変わんねーやつ。
「嫌とはいってないよー、ただ……。」
「ただ?」
「刺激が欲しいねぇ。」
「なら俺と刺激的なコトしようぜーっ!」
「のーせんきゅーでー。」
「だめかぁー!」
「やったな、これで50連敗だ、お前。」
「何時か勝つ!」
「勝たなくて宜しい。」
こいつらなんだかんだ言って仲いいのなー。
「刺激か。どのような物を求めるんだ?お前は。」
よー、第三王子。と光の巫女。
「スキャンダル?」
「なら俺と」
「しませーん。」
「51連敗。」
数えてんのな。
「にしてもスキャンダルか。……無い方がいいのだがな。」
「そりゃそーだ。……なさそーだし、別の事で探すかぁ。」
「……どのような事を。」
「そーだねぇ……。簡単に出来る事……。」
なんか殺す???
却下。まだその時じゃあない。
「午後の実技はどうなんだ。身体が動いていいぞ?」
「うーん。」
「……国柄、こういうのは好きだと思ったのですがね。」
「いつもサボってるよねー?」
「失敬なー。授業には出てるでしょー。」
「参加はしてないな。……お前本当にあの国の人間か?」
「ぎっくぅー!なんつって。」
違います♡
「今日の実技、参加してくださいね。なんでも、実力を見るだのなんだのと言っていましたから。」
えー。だるーい。
「動き回るグリディナちゃん、みたいなー!」
「うわーやる気なくなったー。」
「元々ないだろう……。」
はい。
あ、授業始まるよー?
「では、昼に。」
「おうよー。」
授業授業。……光の巫女、一言も喋ってなくね?
で、昼。光の巫女、ちらちらとこっちを見るんだけどなんか言いたい事あるのかなー。
でも聞かない。
「……どうした、さっきからグリディナをよく見ているが。」
「どしたのー?」
大抵こーなる。
「その……ですね……。」
なにー?
「ちょっと相談が……。」
「なになにー?」
「貴女の、前に言ってた事なんですけど……。光の魔術についての事……。」
「あー。なんかつまづいたの?」
「いえ、その、それが……。」
なになになにー?ま、何の事かわかるんだけどね。
「……これは勘なんだけどー。」
「え?」
「降り注ぐ光のイメージ。かな?」
「そ、そうですっ!夢で、そのイメージがとても強く残って!それで、朝やってる魔術練習した時に!」
「あーはーん。そうだねぇ……。ひとまず、おめでとう、ご愁傷さま、とだけ言っておくよ。」
「これ、何なんですか!?」
「あはは。……おい男衆。今度の休みにこの子を神殿に連れて行ってやれ。」
「どういう事だ……?」
「降り注ぐ光のイメージ。光の魔術が強くなる、でしたわね?」
あ、レティシアの妹。それとサボり魔。
「おめでとう、とは言いにくいかもー……。」
「国としては良き事では?」
「そーいや、家族が神殿にいるんだったね。どうよ?やっぱりアレかな?」
「アレですわねぇ。」
「アレだねぇ。」
男衆と光の巫女、頭にはてなが浮かんでるよ。
「要は、さ。巫女に選ばれたっつー事。」
「巫女だと!?」
「それは本当ですか!?」
「マジ!?」
「……。」
「勘だからわかんないけどねー。」
「貴女の勘、凄まじい精度で当たるでしょうに。」
「もはや予言……。」
予言ねぇ。経験だけどねー。
「ま、本当にそうだったら、神殿に勧誘されるだろうけど逃げてきなー。」
「ああ、それは勿論だ。みすみす友を神殿には渡すような事はせんよ。」
ま、がんば。
そろそろお昼終わりかー。
「グリディナ、実技、参加しろよ。」
「はぁーい……。」
午後、面倒くさいなぁ。
午後でーす。実技でーす。
「今日の実技は君達の実力を見せてもらう!普段参加していない者も今日は参加せよ!でないと成績に響くぞ!」
めんどっくせぇ。
適当に指定した奴と組むんだけど、当然私は売れ残るわけでー。
人数的に、余りはないはずー。てことは誰か余って……あ。
「お前か……よろしく頼む。」
武人君。……まあ、いいか。
「よろしくぅー。本気でやってねー。」
「いつもサボっているが、大丈夫か?」
「いいのー。けど痛いのはいやよー。」
面倒くさそーに返事したら溜息つかれたよ。
あ、そろそろ順番だってさー。
「次!……ディアグリム君!ちゃんとやれよ!成績に関わるからな!」
「へーい……。」
「では、始め!」
「こい。」
武器は大剣。気だるく歩いて、振る。ま、避けるよねー。
で、武人君が攻撃してくる。軽く当たって、後ろにちょっと飛んで。
「やられたー。」
てへへー的な。もうほんとマジ面倒くせぇ。
「……はぁ、勝負あ」
「巫山戯るなッ!」
どうした武人君。
「お前、エイロジャルの奴なんだろう!なんだそれは!」
と言われましても。
「大剣を振れるほどの力があるんだろうが!本気でやりやがれ!」
うへぇ。
「それともなんだ!エイロジャルはそのような者を送るほどこの国を侮っているのか!」
頷く奴ら、結構いるのねー。はぁ。てゆーか教師もかよ。
「わーった、わーった、わーったよ。」
めんどっくせぇ。
「うちの国がどう思ってるかはしらねーけどさぁー。私は正直な所、実技に関しては侮ってるよワタシはさぁ。」
「何ィ……!?」
「いーよいーよ、やってやろーじゃんよー。ほら、構えて。君が一番強いんだろー。」
「巫山戯るなよ……!」
おーおー、こわいこわい。
「……やってやれ。では、始め!」
突っ込んできた。
「オラァ!」
おー、速いねー。けど。
「おっそーい。」
よけまーす。連撃してくるけどよけまーす。
「はー、やっぱりこんなものかぁー。」
「何故当たらない!」
「遅いからだっつーの。」
次、私の番ねー。
「ほらー、じゃあ次私いくよー。死ぬなよー、避けろよー。受けろよー。」
大剣を後ろに構えて。
獰猛に嗤う。
「反応できるんならなァ!」
突撃。
反応できないのかしら、動いてないねー。
そのまま通り過ぎて。振り返る。
「今ので一回死んだね?そんじゃ、二回目いこうか。今度は振るよー。」
「な……ぁっ!?」
ほら大剣どーん。ゆっくり振り下ろしてー。
「砕けなァ!!」
地面を割るよ!
「なんて剣速ッ……!」
はぁ。
「あーやだやだ。だからやりたくねぇんだよ。所詮この程度なんだろーがよォ。反応すらできねぇ。今の剣速に避けることで精一杯。やだやだかったりぃ。」
瞳孔開いて、獰猛に、怠そうに。
「所詮そんなもんなんだろうねェ、この国っつーのはさァ???」
剣肩に背負って。
「弱者が、喚くな。」
突撃、剣の峰で腹を強打。ぶっ飛ばす。
「弱っわ。つまんね。ほら、勝ったぞセンセー。仕舞いだろうが。」
「っく……勝者、ディアグリム!」
はいはい。ウィナー。
「エイロジャルの一般人でも勝てるんじゃね、ほんっとさぁ。わかっちゃいたけどさぁー。あーやだやだ。」
これで満足かテメーら。
「グリディナ……。エイロジャルは、それ程強いのか。」
「今の、一般兵なら簡単に出来るねぇ。もっと速く動けるんじゃねーのー?」
「……そうか。」
険しい顔して、黙っちゃった。
「魔術が加わるともっと強くなるよねー。ったく、危機感持ったかなー?」
「……グリディナちゃん。今の、本気だったのかい?」
「あはは、それこそまさかだよ。本当に弱いヤツを寄越すとでも思ったのかい?」
だとしたら、この国は本当にダメだね。
「君ら、エイロジャルで暮らせないだろうねぇー。なんてったってさぁ。」
弱者に権利なんてないから。
「弱者の跋扈は許さない国ですからァ。あははははははっ。」
たとえ子供だろうとねー。
「そんな国が隣にあるって事、ちゃんと考えなよー。」
でないと、滅ぶよ。
適当な木陰に移動。寝っ転がる。
「終わったらおこしてー。」
すやすや。
「ぐ、グリディナさん……授業、終わりですよ……。」
「ふあぁ……おわったー?」
光の巫女、さんきゅー。あと何時もの男衆。
「あの後どーだったよー。」
「ライオネル君が医務室に運ばれて……それから皆怖い顔して剣振ってたよ……。」
「そー。」
「……グリディナ。」
なに、第三王子。
「生徒からそちらの国を愚弄する発言があった事、謝罪する。」
「私は全く気にしてないよー。弱いヤツほど喚くのは良くあることだし。気にする価値もない。」
報告はするけどねー。
「……そう、か。一つ、聞きたい。」
「なにー?」
「エイロジャルは、この国の事をどう思っているのだろうか。」
「それは私に対して?それとも、エイロジャルの使者に対して?」
「……私見で頼む。」
「あいわかった。……そーだねぇ。何時でも殺せる隣人。資源があるから気にするけど、隣に居なかったら気にする価値もない国。国としてじゃなくて、守護神の方を気にしてる感じかなー。それ以外は無価値。」
「…………そう、か。わかった。」
「あくまで私見だからねー。国の考えではないからヨロシク。」
そんなものだ。
「……ご、ご飯食べに行きましょう?」
「そだね、いこいこー。私的にここのご飯美味しいからねー。」
「美味しいですよね!」
頑張って空気を良くしようとする光の巫女、健気。
「……あー、まあなんだ。強くなればいいんじゃない?強ければ話は聞く国だし。」
まあ、数年では無理だろーね。私が卒業するか、途中で何かがあれば滅ぶんじゃあないのー。
ははっ。
さ、飯飯。
ライオネル、今はまだ弱い。生き残れば、世界に名を残す傭兵に。
エイロジャル、分裂しなければ魔族領と東の国以外統一出来る程の軍事力。けどやっぱり分裂する。




