ワタシ、アンナちゃん。
時間が飛ぶよ!
お久しぶりのお久しぶり!やあやあ我こそはグリディナこと、アンナちゃんなりー!
私は今、なんと。
グラスゴルの 学園に いる。
なんでだよ!!!あ、人間としての姿でね。
それと、15になりました。
展開速い?知らないね、そんなこと!
いやあ、とても地味だったからさぁ……。
あれから一年で大半の兵士、強い剣士が形成と付与を覚えやがったんですわー。
いやあ、剣ベースにしたらもうぐんぐんと。強えとわかったら老若男女問わず飛びつきやがって。
お陰様で国に貢献したっつって、爵位貰ったわ。男爵。
で、その後も剣をベースに強力な魔術考案したり、他の武器に応用したりとかしてたらまた爵位貰って、伯爵。
いいのかそれで。……良くあることらしい。へー。
で、15になったから私の事を人間だって知ってる王からさ。丁度いいしそろそろ敵情視察に学園行ってこーいって言われまして。
で、ここ。
留学生のアンナ=グリディナでーす!
この国からしたら、強大な敵国からの使者。
常に監視はついてるよ!
位置バレバレなんだけどね。ハハッ、全部まるまるお見通しっつってね。
で、入学式は省略!クラス移動!
運命の悪戯というか輪廻神の悪癖というかなんつーか。
いつものクラスでいつもの席!第三王子、光神の巫女と同じクラスですわー!
正直ここは変えてくれてもいいと思う。
だってさぁ。正直こいつらには最早特別に持つ興味の欠片も無い。恋慕も憎悪も嫌悪も嘲笑も通り越した。ただの隣人。
「ヨロシク、私はアンナ=グリディナ・ディアグリムだよー。隣の国からきたよ。」
家名はわかり易く!グリムディアをひっくり返しただけ!
「この国の事、色々知りたいなー。だから、さ。」
ふと、顔を俯かせて。その一瞬後。
首を傾げ、瞳孔開いて。歯を見せニタリと、獰猛な笑みを浮かべて。
「イヂメナイデネェ???」
あっはははははははははは!!!顔青くしてる奴らばっか!!!ターノシーイ!!!
「よろしくねっ!」
で、それが嘘だったようにふわりと微笑んで座る!
うふふふふ。目を擦ってる奴もいるねぇ。
あー、楽し。
自己紹介が終わって、最初の授業が始まる前の時間。
私に話しかけようという猛者は居ないのねぇ?私、隣国の使者よ?んん???
しゃーない。ここはあえてウケそうな……。
うーん。
面倒だから第三王子いってみよう。
隣国の使者に、粗相を仕出かしてくれるなよ???
「初めましてー、第三王子サン?」
「……初めまして。隣国の留学生、アンナ=グリディナ・ディアグリム。これからよろしく頼む。」
めーっちゃ警戒してるねー。
「あっはは、アンナとでもグリディナとでも呼んでくれていいよー。」
「……そうか。なら、ディアグリムと。」
「それ家名だよぉー。それとも、この国って家名で呼ぶ習慣だったの?聞いたことないけどぉ。」
はい、煽ってます!
「……ならば、グリディナ君、と呼ばせて貰おう。」
「君、ね。……まいっか。ヨロシクゥ。」
めーーっちゃ警戒してるねー。
「ところでさ、一つ聞きたいんだけどー。」
「……何だ。」
「ふふ。」
アンナ・グリムディアって居ないのかなぁ?
「っ……!その名を、何処で!」
いや私だし。それは隠して、と。
「だってさぁ、隣の国に同い年で、同じ名前の、家名も似てる、ましてや私と同じ金の髪に青い目だって言うじゃない?」
逢えると思ったのになぁー、なんて嘯く。
「アンナは……。」
「あ、死んだの?」
「違う!アンナは……きっと未だ生きている……!」
あらー。想われちゃってるワ。
「ふーん。攫われたの。何年前よ?」
「……五年前だ。馬車は……そちらの国の方面に行った報告がある。」
「五年前ねぇ……。季節とかは?」
「大体、今頃になるだろう。」
「……そう。五年前、今頃、かぁ。」
「何か知っているのか?」
「あまり良くない話ならね。」
「……聞こう。」
クラス内がこの会話を聞いてるわ。そんな中で発表するのかーそうかー(棒)。
「いやね。五年前の今頃、この国と繋がる街道、国境からエイロジャル方面だったかなー。」
んー、って思い出す感じで。
「所属不明の馬車がさ、ドラゴンに襲われた!って、数人が命からがら逃げてきたんだよねー。」
「何……?」
「で、調べたら内二人が人身売買で手配中の奴らだった訳よー。」
これ、記録に残ってたやつね。本当のコト。
絶句してーら。
「話聞いたら、誰か一人運んでたらしいねー。逃げる途中姿が見えなくなったらしいけどさ、手足縛ってたらしーよー。」
口パクパクしてるよ。
「馬車自体、ブレスで跡形も無かったらしーし。」
顔面蒼白か。
「……ね、悪い話でしょ。……でもさ。」
ここから嘘を混ぜた話。
「魔術反応が残ってたみたいよ。術式は、転移。行き先は、指定無し。」
そんな反応、残す訳がないだろう。けど目に光が戻ったね。
「人身売買してた連中には、転移なんて扱える奴は居なかった訳で。」
「それは……!」
「魔術、得意だったらしいね?」
「やはりあいつは……!」
「それと、私の勘なんだけどね?」
ふふ。耳元で囁く。
「案外、近くに居るかもよ……?」
「な、に?」
「あっはははは、勘だけどね!あはははは!」
エイロジャルで調べれば簡単に出てくる。私が最近出てきた貴族だという事を。消息不明になってから、出てきた同じ容姿、同じ年齢の同名の娘。
けど、この国がそこまで調べられるかな?なにせ敵国。そんなものに情報を渡すほど、エイロジャルは甘くないのさ。
「生きてたらそろそろ戻ってくるんじゃないかなぁ?勘だけどさー。」
「……転移先の情報は、本当に無かったのか!?」
「うーん。かなり長距離飛ぶ魔力反応だったらしいし。行くとしたら、南は海の底。西は大国。東は大雪原。北は魔族領。」
大雪原行ったね!魔族領も行ったね!
「海の底なんて行くはずもないし、南以外じゃない?」
「そうか……!情報、感謝する!」
「いいんだよぉ。情報料は頂くけどねぇ?」
む、とした顔。
「……何が欲しい。」
「この国での、自由。いーーーーーーっつも監視が三人付いてるしさぁ。無くせとは言わないけど、二人減らしてよ。そこと、そこの男共をさぁ。そこの女はいいや。」
ばっちり気付いてますよー。
「……そうか。わかった。話を通しておく。」
よーし。シャワー浴びてる時まで見られてるのはねぇ。高くつくよ?
代償に、私に情報を全て渡してから。1人は街で暴れて泥酔した大馬鹿者として死ね。1人は強姦魔として死ね。そういう呪いを与えよう。女は、私に自覚せず操られろ。
ははははは。これで私は自由だ。ついでに、この話が通る様に暗示を色んなところにかけておこう。
アッハァ♪魔術って本当に便利!
「また何かあったら教えるねぇー。」
「頼む。」
貸しだよ。っくく。
さてさて、そろそろ授業だね、席に戻るよー。
お待ちかね?の学園だよ。アンナちゃんを一所に留まらせたら大変な事になるよ!
そのせいでエイロジャルが凄まじい強さに。




