魔術研究所!
アンナちゃん、また教える羽目に。
ちわちわーす。アンナちゃんだ。私は今、エイロジャルの城にいまーす。
謁見の間ってやつでーす。
王の話うだうだ聞いてまーす。うちは魔術がうんぬんかんぬん、私もさっぱりだうんぬん。
「そういう訳だから、よろしく頼むぞ、グリディナちゃんよ!はっはっは!」
ちゃん……。
話を聞く限り、とても由々しき事に、かなり初歩からやんないとかも……。
うーん。
「ここが貴女の研究室となります。先ず最初は我々研究所の人間に教える事から始まると思いますが……。」
まあ、そーなるよね。
研究所の人、総勢20名。以外と多いのな。
よろしくー。とりあえずどこまで出来るか見せて欲しいかも。
「わかりました。では順番に撃てるものを。」
……。
…………。
あー、うん、なんだ。
予想していた以上に……。
「えー、あー。なんだ、その、うん。こっからか……。」
生活に使える魔術があるんだけど、それを強くして攻撃してる感じの……。鉄で出来た箒でぶん殴ってる感じの……。石で出来た布団叩きでぶん殴ってる感じの……。
「先ずはちゃんとした魔術を覚える所から始めましょうね……。」
やってやーるやってやーる。
「魔術の何たるかを叩き込んでやらァ!」
スパールター!
一ヶ月!経ったよ!早いって?経ったっつったら経ったんだよ!!!あまりに初歩すぎてつまんねーよ!
簡単に略して言うと。
まず魔力の使い方、外に放出する使い方を知らない。
内側に通す使い方はとても長けている。
なので先ずは外に出す訓練な!あっこら、中に出すんじゃあない!
テメエらの竿でも外に出せるだろーが!出来る筈だ!!
バーカ!本当に竿から出すんじゃねえ!バーカ!
あはははは!腕爆発してやんのー!バーカ!
何お前妊婦???男なのに???バーカ!
的な。
……お前らタマついてんのに玉に出来ねえのはなんでなの???棒にはできるのになんでなの???形も変えられるのになんで???
魔術が不得意っつーレベルじゃねえぞ!もはや別物な!
つーわけで。
「おーけーおーけー……よくわかった……。私が間違っていたようだ……。」
「し、師匠……?」
あ、師匠って呼ばれてます。
「どうやらこの国の人間は少々……魔術の回路がおかしいようだ……。」
まとめよー。
内側に通す事は可能。得意。
外側に出す事は要訓練。訓練すればなんとか。
玉として出す、不可能。無理。
棒として出す、可能。攻撃はどうしても剣をイメージしてしまうらしい。
纏わせる、可能。内側に通す応用。
ふむ。
「やり方を、考え方を変えよう。」
イメージするのは、剣を使った魔術。
いや、むしろ魔術で剣をつくってしまうか?
両方いけそうかもね。
「こういうのは、如何かな。」
炎を剣の形に、圧縮、形成して。
振る。
炎の斬撃が飛んでいくよ!
「おお!」
「これならイメージしやすい!」
よしよし。
「次、これは。」
剣に炎を薄く纏わせて、丸太に押し当てる。
押し当てた所から焼き切るよ!
「これもまた、いけそうだ!」
「これなら……!」
よーしよし。
「ならこれらを中心にやってくぞー。」
決定!
剣を軸に、付与とか形成でぶん殴っていくタイプで!
魔剣士だー!
……身に付いてくれよ、頼むから……。私の労力……。
面倒くせえ!!!




