おいでませエイロジャル!
アンナちゃんは何時になったらグラスゴルに帰るんだ!
はーあーい!アンナちゃんだよーっ!
私は今、首都の門に並んでまーす!そう、隣国でよく分裂する国、エイロジャル!力こそぱわー!な国だよ!
レイスに間違われる格好でね。並んでる訳よ。
視線が素晴らしいね!!!畏怖と恐怖と興味と困惑が入り混じってるね!
「次、来い。……魔族か。」
「こんにちわぁ。通行証だよぉ。」
何万ループか前に王領で作ったヤツ!これがまた、使えるんですわ。
「ふむ。確認した。では簡単…質問を。…こ上位魔族、しかもレイス。こへは、何をしに?」
「観光だよぉー。あと、ここは美味しい食べ物の屋台があるらしいって聞いてねぇー。」
「……食えるのか?」
「肉も野菜もバッチリですよぉ。ただのレイスとは違いますのぉー。」
「人は。」
「固いし微妙な味だし美味しくないじゃん。なんでわざわざ苦労してまで食べなきゃいけないのよ。」
「……そ、そうか。……まあ、いいだろう。よし、許可する。ようこそ、エイロジャル国首都、エイロジャルへ。」
「ありがとぉー。……オススメの屋台は?」
「この大通りを真っ直ぐ、骨骨亭の前にある串が辛ウマだ!」
「よっしゃいってみるぅ!」
わーい。
エイロジャル。軍事大好き力こそぱわー!な国。力ある者は富と名声を得て、弱者は滅び、跋扈を許さない国。ここでは子供であろうと力を求め、武器を握る。そんなだから、野蛮な国だとか言われてるよ!
そんな国だけど、首都は治安がいい。抜剣禁止区域とか定めてあるから、そこでは何があろうと剣は抜けないのよ。
その代わり、殴り合いが多いけどね!
ちなみに、魔術は苦手な人達。だから、他国や魔族を誘致して、魔術を学んでるってのが今。力の為ならプライドを捨てられるのも国風だね。
とはいえ、魔族がなかなか入ってこないらしいよ。やっぱり遠いからかなぁ。いや、違うな。
ここの特徴がアレだからねぇ。
ほんと、ここね。
「あっちぃ!なんなのこの暑さ!」
「ハハハ!この国は大陸の真ん中にあるからな!乾燥するわ暑いわで最高な国だぜ!」
「だからこそ辛いのがうまい!」
「嬢ちゃん、魔族のくせにイケるクチか!ほらサービスだ、もう一本いっとけい!」
「やったぜ!辛旨い!」
あ、今オススメされた串屋台の前ね。オススメするだけうめえわ!
「嬢ちゃん!喉が乾くだろう!こっちのミルクティーはどうだい!」
「こっちの肉詰めはもっと辛れえぞ!どうだ、一本!」
「ミルクティーにゃこのパンが合うぜ!コショウが効いてイケるぜー!」
わわわ、めっちゃすごい。全部買ってやらァ!
「まいどありぃーーァ!!!」
マジうめえ。
「ごちそーさん!美味かったよ!」
「また来いよー!」
ここの屋台、イイわ。
次!ここの名物、荒くれ者が力を試すコロッセオ!観客は賭け事!魔術はナシで、選手は死ぬの上等で殺し合い!ハハハ、この国が野蛮だって言われる一番の理由!
参加しちゃお。うへへへへへへへ。
飛び入り参加で、途中参戦!
「連勝を続ける期待の新星に、乱入者だァー!!!なんと、魔族!ここは魔術が使えないぞ、大丈夫かぁーー!!」
というわけで登場!
「なんとォ!可憐な少女の姿だぁー!これは楽しみだぜぇ!」
爆笑する観客。んふふ。
手を振るよ!いえーい!
「賭け金はぶち込んだかァ!?いいなァ!?」
相手は、若い男。動きがいいね、ふーむ。
「それじゃあ、始めぇ!」
ゆっくり近づいてきたね。顔は笑ってるけど、目は真剣か。
双剣を抜いてっと。
にっこり嗤って、親指で首を斬るジェスチャー!
おー、突っ込んできた。避けよ。
「おぉーっとお!乱入者、以外と速いぞぉ!」
「ところで、今更だけどさ、私浮いてるけどこれいいのー?」
「……いいだろう!しかし飛ぶのはナシだ!」
「おっけー!」
よーしなら。
「さあさあ皆様ご覧あれ!亡霊剣舞といきましょーう!」
ニタリと嗤って。
高速で接近!
受ける剣をぬらりとかわして、後ろから頭に乗る!
「遅い、遅すぎ、遅すぎるぜい!」
頭の上でトリプルループ!ハゲろ!
おっと、剣。避けて、前に着地。
「乱入者、速いッ!新星が弄ばれてるぞぉ!?」
避ける、避ける、股の間を潜る、そのまま股間をけっとばーす!
「これは痛いッ!見ているこっちも痛くなるッ!」
復帰するまでふわふわくるくる踊る!お、復帰きた。
よし、問おう!
「くえすちょーん!でーっど!おあ!あらーいぶ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
「あんさーいーず!でーーーっど!」
「殺っちまえ嬢ちゃーーん!」
超ノリノリで!
高速接近!振ってきた剣に乗って。
「フフ、サヨウナラ♪」
頭に手を置いて、背中側にくるり。落ちる時に背中側を向いて!
背骨に沿って、二閃。斬る!
首筋をくるりと斬る!
肩に乗って!首を掴んでー!!!
「ぎゃはははははははははははははははははははははは!!!!!!」
首を引っこ抜くゥ!!!
「ヒャーヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!弱ええんだよ!!!」
「ら、乱入者の勝利ィ!エグい、エグいぞォーーー!!!!!」
歓声!
「とんでもない番狂わせが来やがったぜェーー!!!そうら、コイツと戦いてえって奴はいるかァー!!!」
こない。
「居ねえのかァー!テメエらのタマはそんな物かァ!!」
一人動いた!
「来たァ!来やがったァ!!!最大連勝記録保持者、ここのボス猿!ゴリラヘッドのジョニーだァ!!!」
ジョニー……。ああ、人間ね。ゴリラじゃないのね。
「賭け金はぶち込んだかァ!!いいなァ!!!」
でけーなぁ。斧かぁ。ナックルもつけてるし。
「そんじゃあ!始めェ!!!」
巨体が突っ込んできたァ!?速っ!?
体当たりくらった。いったー!!!
「嬢ちゃん、ぶっ飛ばされたァ!」
空中で回って、立て直す。すんげー質量。よーし。
「武器変えていいーー???」
「おっけーだァ!」
双剣しまって。
久し振りに使うなぁコレ!
「そうら、出てこい!」
重さ最凶!巨大戦鎚!!!
「でっ、デカアアアアアアアイ!!!説明不要!!!」
地面に置いたら、陥没した!アッハァ!
「しかし胸はちっせえぞォーーー!!!」
観客爆笑!!!
「野郎ぶっころしゃー!」
怒るモーション!
「はっはっは!すまんかったぁ!……よし!魔力反応は無し!使用を許可するゥ!!!どんな馬鹿力だァーー!!!」
すまんね、魔術使ってるんだわ。……私の特技は世界一の魔術偽装だよ?忘れてたかもしれないけどそうなんだよ???私も忘れてた。てへっ♡
戦鎚を片手で持って、肩に乗せる。重さで足が付く。
「さーてと。さっきのお返しでー。」
槌を前に。で。
溜めて。
高速突進ー!
「ゴリラがぶっ飛ばされたァーーー!これはさっきのお返しかァーー!!」
「いえーーーす!!!」
ふっふっふ。
「ゴリラが寝ているッ!ゴリラが寝ているッ!ゴリラが……立ったぁーーー!!!」
ゴリラコール。もはやゴリラなのな!
よーしよしよし。
「ゴリラならクソでも投げつけてみーろ!!!あっはっはー!!!」
戦鎚ぶんまわしておちょくりますよー。うはははは。
あ、おこった。
「ゴリラが怒ったー!ゴリラが怒ったぞぉーーー!!!」
ところでなんでゴリラ?
「俺の名前はラリゴだ!!!」
マジ、かよ……。
「なんか、スマン……。」
「謝んじゃねえ!!!虚しくなるだろうが!!!ゴリラかっけえだろ!!!」
あ、はい。それでいいんだ。
気を取り直して。
「戦鎚の恐さ、教えてやるよぉ???」
右、左、右右右右右右!!!!
大回転といこうか!
「嬢ちゃんが回るゥ!砂埃が舞って、まるで竜巻だぁーーー!!!」
その場でぐるぐる。
「そんな子供騙し、俺には!」
ふーん。
大回転、大回転そして突然ストップ!
大質量と回転の力を全て戦鎚に乗せて。
「喰ライナ!神殺シ!」
真上から振り下ろす。
「そんなもの当たらねぇよ!」
まあ、避けるの???
避けられるの?????
大地を抉る大質量。それは周りの空気すら押し潰して。
破裂する大音量と共に、高速で頭の上に墜ちてくるっ!
「なッ!?避けら……」
と思わせてー。
「横からどーーーん!!!!」
もう一回転!ゴバシャァ!って首以外破裂した!!!
「す、スプラッタアアアアアアアアアアアア!!!!!しかし首は残す優しさァ!勝者、魔族の嬢ちゃんンンンンンン!!!!」
粉砕っ!ぎょくさい!だーいかーっさーーーい!!!
「よくやった嬢ちゃん!!そろそろゴリラに飽きてきた所だったんだよ!!!つーわけで、新たな強者の誕生だぁーー!!!」
「いえー!」
あー楽しかった。
これで終わろ。
「バイバーイ!」
「楽しませてくれた嬢ちゃんに!盛大な拍手を!!!!もう戻ってくるなよ!!!!」
ですよね!荒らしに来たようなものだしね!
賞金たんまり貰って、塩撒かれちゃった!いやん♡
「少々宜しいですか。」
なんか身なりのいい、ガタイのいい青年が。
「私は、この国の魔術研究委員をしている者です。」
あー。
「率直に申しまして、貴女は魔術が得意でしょう。」
まあね。
「それを、ぜひこの国で活かして欲しいのです。」
えー。
「報酬は弾みます。……それに。」
グラスゴルに、大嫌いな祖国にケンカを売りたくありませんか?
「なっ……!?」
何故オ前ガ知ッテイル。
「ふふ、とある……貴女の幼少期を知っている方から垂れ込みがありましてね。……正直に言うと、あまり信用していない情報ではありましたが。その反応ですと、本当のようですね。」
「……ふむ。なるほど。」
一度やってみるのもアリか。ついでに誰か軽くわかった。
「あの侍女モドキだろうけど。」
「……はは、流石にわかりますか。……はした金で買った情報ですけどね。」
だろーね。
「給料と休みはしっかり貰うからねぇー。」
「ええ、ご希望に添える形でいきましょう。なにせ、この国は魔術が喉から手が出るほど欲しいですからね。」
「ペラペラと喋っていいの?それ。」
「公にしてる事ですから。それに、はした金で一喜一憂する弱者など気にする必要もありません。」
言うねぇ。ははっ。
「よし、乗った。案内しな。」
「ええ。では、こちらの馬車に。」
城に連行されるよ!はっはー!
いってきまーす!
まさかの寄り道で長期滞在決定。ウヒャァ!




