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悪役令嬢(壊)の楽しいエンドレス人生!  作者: りんねしん(邪神)
37427周目!
59/204

赤い純白。

アンナちゃん、とうとう。

はろはろ、アンナちゃんだよ!


お祭りから数日経ちました、はい。呑めや歌えやの騒ぎだったよ。


武器も戻ってきたし、そろそろ別の街にいこうかなって。


「もう行って仕舞われるのか……。」


「寂しくなりますのう。」


あはは、ありがとね。


「土産に、この装飾をお持ち下され。旅の安全を込めさせて戴いた。」


これはなかなか。


「また、近くに来たら寄らせてもらうね。」


「ええ、是非また。」


ついでに食料も沢山貰って、道を教えてもらって。


さらば、ノーマエルフィの村!


いざ、次の街!






洞窟をひたすら進んで、進んで。出口!


おお、すげえ、ここに出るのか。


山脈の南、大森林の真ん中あたり。


ここを真っ直ぐ南に行ったら、国があるね。


グラスゴルの隣、よく分裂する敵国ってやつだね。


よし、そこへ行こう!


一路、南を目指す!






森をふわふわ。人間の姿で浮いて移動。仮面をつけて、裾の荒れた高級なローブを被れば、怪しげな魔術師の出来上がり。


そんな格好で森を行くわけですよ。


なんでかって?そりゃあねえ、あの国は子供の姿だとナメられるわけよ。面倒だけど、こうしておかないとねー。


にしても、この森でっかいなぁ。まだ端につかねーのー。


すでに一ヶ月くらい彷徨ってるのよ……。これホントに出れるのこれ……。


ははははは……。


本当にこれ道なの???


いや道ではないけどさぁ。森の中だけどさぁ。


とりあえず進もう、うん……。






お?なんか小屋があるね。ちょっと立ち寄ってみよう。


……人が出入りしてる形跡があるね。んー。


「ごめんくださーい。」


返事は、無し。


うーん。鍵は……かかってないね。


失礼して。


「こんにちはぁー……誰かいますぅー……?」


住んでる形跡、アリ。


水音。奥からかな。音的に……シャワーか。


玄関で待つか……。




で、10分くらい。音が止んだね。また少し待って、と。


「ごめんくださーい!誰かいますかぁー!?」


「しばし待て。」


返事アリ!女の人の声だったねー。


少し待って、あ、でてきた。


「スマンな、待たせたようだ。客人。」


うわ、すご。真っ白。


白い髪、白い肌、白い服、その上から白衣を羽織った綺麗な女性。片眼鏡をした奥。眼だけ、真っ赤な……人?


「ふむ。ようこそ、シャムシャラの巫女よ。話は聞いているよ。」


私の事を知っている?何者かな。


「警戒しなくていい。私は……そうだな、観測者みたいなものだよ。」


人では、ない。


「立ち話もなんだ。中に入るといい。腹が減っているだろう。なにか出そう。」


神、か?


「神などという堅物ではないよ、私達は。」


達。何者だぁ……。


とりあえず中でお茶を頂く。おや、これは。


「果物を少し入れてみた。どうだね、口に合うかな。」


うめぇ。けど、食べた事無い果物かも。


「ははは、この世界ではかなりレアものでね。なにせ我々の力が強くないんだ。故に、普及しない。」


力によって普及しない果物……?なに、それ。


「枝分かれした世界は少しずつ変わっている。同じ様に見えていても、ほんの少し変わっている。故に、次なる世界へ行くのだろうね。」


……?たしかに、ループ事に少しずつ違ってるよね。


「さて、できたぞ。軽い物だか、食うかね。」


いただきます。


うめぇ!?なにこれ!?うっま!?


「おかわりを要求する!」


「よく食うな。ほら、おかわりだ。」


サンドイッチなのに、なんでこんなにうめえの!?!?特にこの白いドロッとしたソース!これなにこれ??!?


「ははは、秘密だ。」


そこをなんとか。


「そうだな、卵と酢と油を使ったソース、かな?」


ほうほう。……酢と油って混ざらない気がするけど。


「そこが秘密だ。ふふ。案外簡単に作れるがな?」


うむむ。


「聞くとおり、食べ物に執着する様だな。」


……執着ってほどでもないけどなぁ。


「美味い飯は人を動かす。それを求めている……か?」


違います。


「ふむ、なら……嗜好品みたいな物か。」


……あってる。楽しんでる訳だし。


「そうか。ふふ、まあいい。」


ミステリアス。何者だよ本当に。


「ふふ、気になるかね?」


そりゃあ。その風貌だしね。


「そうだな。……地上の生物ではない、しかして神ではない天上のモノ。見えぬ存在への祈りではなく、我等は地上を飛び回り魔力をもって力とする。」


魔力?


「しかして、この世界では認識が薄いようだ。」


認識によって力を持つ?


頭の引き出しをめっちゃ開け閉め。うーん、これは、うーん。まさか。


「ふふ、そうだ。その認識で合っているよ。とはいえ、我等は少しズレた存在だがね。……北の、絶島へ行っただろう?」


…………ああ、なるほどね。


「そうだな、私の事は。」


ソレル、と名乗る白きモノ。


「ということは、赤と青もいる訳だ。」


「そうだ。とはいえ、別の世界にいるが。」


どこかで会っているかも知れないね?と嘯くモノ。


「今日は休んでいくといい。南へ向かっているのだろう?」


敵意はない、歓迎すると囁くモノ。


「ここから南、村へは凡そ二日だ。英気を養え。」


そして赴くままに殺戮せよと嗤うモノ。


そう言って、奥に引っ込んだ。


……。


神すら下に見る、研究者。


白き恐れの、居城に来てしまったようだ……。


やべぇ。


私では敵わないわぁ。コイツらこそ、世界の覇者ってやつ。


観測し、弄び、制御すらしてしまう、ズレた世界の王。


ここにいたんだね……うふ、ふふふ、ふふはははははははははは!!!


いつか殺してやりたいね!いやあ、上には上がいる!


やっぱり世界は…………しい!


とりあえずお風呂あるみたいだから借りよ。さっぱりしたい!




「シャムシャラの巫女。夕飯だ。」


ご飯!


「久し振りに人と食べるからな、少し作り過ぎたかもしれんが……。」


め、めっちゃ多いっすソレルセンパイ……。


「ま、まあ余ったら明日の昼飯にでもするさ……。」


案外ドジっこ?


「とにかく、食え。さあ食え。」


いただきます。……やっぱりうめえ!


「なんでこんなにうめえの?」


「普通に作ってるだけなんだが……。」


そんな味ではない。確実になにかテクニックがある!


「強いていうならば……愛、か?」


「…………。」


ジト目。


「……無かったことにしてくれ。」


ないわー。


「なんだ、その、すまなかった。」


ご飯に戻ろう、うん。


うめーなぁ。




「御馳走様でしたー。」


「よく食ったな。」


頑張ったよ私!ちょっと残ったけど!


「明日に回すからいいさ。……デザートに果物は如何かね?」


頂こうか。


……なにこれ?初めて見る。


「皮と芯は食うなよ。人には毒だ。」


丸かじりしてやがらぁ。私は大人しくナイフで剥いて、食べる。


シャクっとして、甘酸っぱくて、瑞々しい。美味しいねこれ。


「ナカゴ。と主は呼んでいるな。」


ナカゴかぁ。あ、これさっきのお茶に入ってたやつかな?


「気付いたか。美味いだろう?」


うめぇっす。


二人で無言でしゃくしゃくしゃく。


うまい。


「さて、もう寝たほうが良いだろう。その身体とて、10……いや、すでに11あたりか。子供の身体だと眠くなる時間だろう。」


そうなんですよ。もう一年経ってるんですよ。


そして確かに少し眠い。


大人しく寝ますか。


「おやすみなさーい。」


「ああ、おやすみ。」


すやぁ。








おはよう!アンナちゃんだよ!


「起きたか。顔は……洗ってあるな。」


あ、おはようございます。


「朝飯が出来てるぞ。食え。」


……なんか、こう、母親感。


「育ててやろうか?」


遠慮しときます。


朝ごはん美味しい。あ、これ昨日の残りに手加えてるんだね。けど飽きない味。


「お前を育てたら楽しそうだな。」


え、遠慮しときます。


「そうか、残念。」


なんなの!!!


そうそう、朝はコーヒーでした。にがうまー。






「世話になりましたー。」


「もう行くのか。……いや、行くにはいい時間か。」


です。


「また寄れ。どの世界でも、ここに小屋があるからな。また飯でも食いに来い。」


「またきまーす。」


「そうだ、言い忘れていたが。今から向かおうとしている国に入るなら、魔族のような姿で行ったほうがいいぞ。」


マジか。


「あそこは魔族と考えが似通っているからな。それに交流もある。魔族だと思われれば、強者として見られるだろう。」


いいこと聞いた。


「ああそうだ、弁当がある。持っていけ。」


マジか!ありがとー!


「我等はお前に興味がある。またいつか、会おうじゃあないか。」


またいつか、ね。


「気をつけてな。……汝の旅路に、良き未来があらんことを。」


「有難う。……では。」


また。


少し進んで、振り返る。


私が見えなくなるまで、手を振ってたよ。


ソレル、か。


ふふ。


いつか、必ず。




















謎の存在とエンカウントしちゃったね。

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