魔族領でぶらぶらーっと。
観光するアンナちゃん。
はーぁーい!アンナちゃんだよー!私は今、魔族領にいまーす!王領!いろんなループで、よく来るんだよねー、ここ。魔王ぶっ殺しにいったり、四将になったり、魔族の養子になったり、なんとなく来たり。
ま、今回は旅だからねー。観光するよ観光!
「こんにちわぁー。」
「いらっしゃいませ、小さなお嬢様。バルザ商会へようこそ。」
久々に来た、飴の美味しい店!
「飴をくださいなー。50ほど!」
「かしこまりました。」
飴ゲット!
「ケーキが美味しいお店って、ここら辺にあるって聞いたんだけど知ってます?」
「ケーキですね、ええ知っておりますとも。」
ここの商会が卸してる店だった筈だからね、ここに聞いた方が早い!
「一本向こうなんだね、ありがとー!」
「またのお越しをお待ちしております。」
ケーキ!
ケーキの店!そうそう此処だよ!テラス席に座る。
「紅茶と、オススメのケーキ二つ!」
んへへへへ。
来るまで、周りを見渡してみる。魔族の街だね!色んな種族がいるよ!……レイスみたいなのはあまりいないね!お陰様で視線が沢山私にくるね!しかも魔力線入ってるから余計に注目されるね!
「おい、あれ見ろよ……上位のレイス種だぜ……。」
「あの幼い姿で上位か……すげえな……。」
「あの姿で何千年と生きてるんだろ……。」
「ロリババアか……。」
「ロリババアだな……。」
おい。誰がロリババアだこら。あたしゃじゅっさいだよ!精神は180万歳超えたよ!
お、ケーキと紅茶きた。他の事はスルー!
んー、美味しい。やっぱり最高だわー……。至福!
こっちのケーキも美味しい!果物沢山乗ってていいね!
至福の時間……。あ、紅茶おかわりで!
ところで、あの眼鏡美人から視線を感じるんだけど。……このパターン何回もあるわ。どーしよかなー。
あ、近付いてきた。
「こんにちわ、お嬢さん。」
話しかけてきた。
「少しお話がしたいのですが。席、よろしいでしょうか?」
「……夢魔。私の夢は辛く苦いよ?」
夢魔だと当てた事に驚いてるわ。顔は冷静だけど。
「側近かな?魔王軍には入らないよ。」
めっちゃびっくりしてる。
「考えを読むのですか、貴女は。」
「魔の将か技の将候補になりそう、とでも思ってるのかな。残念だけど、遠慮しておくわ。」
「……理由を聞いても。」
「多忙な生活でね、すぐ移動しなくちゃいけないんだよ。」
「お仕事は、何を。」
「旅人さー。」
「見た所、レイスの上位種族、の様ですが。旅などされるのですか。」
「するよー?時の旅人、なんてね。」
間違ってはない。
「……その力、魔族の為に使おうとは。」
「思わないねー?私は私の為に動く。何処へ行こうか、何処へ進もうか。魔王程度にゃ縛られませんのよー。」
「……。」
魔王程度、で少しイラッとしたみたいね。ふふ。
「おお?気に触ったかな?ふーん?」
ニヤニヤと、嗤う。
「貴女は、この国がお嫌いですか。」
「いんや?好きな国だよ。快適だね、ご飯も美味しい。」
「では、魔王様がお嫌いですか。」
「いんや?唯々興味が無いだけ。気にする範疇の力でもないし。有象無象の一つかなー。」
「……。貴女は、それ程までの力を持っていると?」
おお、かなりイラッとしたね。んっふふふ。
「私独りでこの街、消し炭にできるよねー。魔王は独りで余裕持って倒せるよねー。トレイル・ドライアーディーも簡単よねー。」
「っ。」
「試してみるゥ?アハハハハハ!魔族程度にゃ負ける気しないねェ!!!何千と来ようとも勝てる自信しかないわ!」
ほらほらこいよこいよー。
「それとも、怖気づいた?こんなに敬愛する魔王サマを貶されてんのに?そんな程度なのかな、夢魔のメアちゃんよー!」
「……貴女は、敵です。」
「んふふふふ。」
「今ここで、消します……!」
距離をとったか。詠唱、短縮してるね、んふふふふ。
「魔王軍が側近、メア。夢に溺れて夢に喰われろ。」
名乗ったね。んー、ならこれで。
「亡霊、グリディナ。廻りし絶望を享受せよ。」
さあて。
「行きなさい!総て眠りの夢と幻!」
幻影系かー。まあ、そーなるよねー。実体のある幻影で殺す系の。つーか、これ必殺技じゃなかったっけ。
「本気だねー。んふふふふ。」
なら。
「総テ夢ハ破レサル。」
「んなっ……!?」
んふふふふふふふふ。一瞬で消し去る。
「ほらほら、次出さないと死んじゃうよー?」
敵対したからには逃がすつもりはなーい。んふふふふふふふふふふふ。
「……全ては夢幻と消え去らん!」
おー、いろんなもの消し去る系のやつだ。これ当たると痛かったなぁ。
「総テハ巡リ還ラン。」
という訳で、そっくりそのままお返ししますね!
「っぎぃぁああ!!!」
おー、脇腹抉りとってらー。痛そー。
「もう終わり?やっぱりそんな程度かなー。」
「くっ……!」
「それじゃ、力の無さに絶望して死ね。」
剣を抜いて、振り被る。
接近する反応、二。
「おっとー。」
上位有翼種と、上位ゴーレム種の、急襲。でもざんねーん。私は避けマース。
「チッ、避けるか!」
「大丈夫ですかねぇ?」
「ありがとう、ございます。」
魔の将と技の将。ふーん。
「今夜は石焼きチキンステーキかなー?」
ワシ的な翼人と、滑らかで人にしか見えない、ゴーレム人形。どっちも男(型)。
「さて、魔王様を侮辱した罪は大きいですよぅ?」
「貴様、生きて帰れると思うな。」
ふーん。面倒くさい。
「ねえ、君達って生きてるのかな?それとも、死んでるのかな?」
「……何を言っている。」
「答える必要、無し!」
突っ込んできた。
「手羽先って美味しいよね。」
すれ違い様に、翼を切り落とす。
「モモ肉も、なかなか。」
そのまま脚を掴んで、振り回し、ちぎる。
「骨付き肉ってのもなかなか。」
背骨に沿って、撫で斬る。
「軟骨も、イケるよねー。」
首を掴んで、背骨を引きずり出す。
「でも、この肉は不味そうだね。」
鳥の解体ショーでした!!!!!パチパチパチパチ!
「な、は?」
「魔の将を、一瞬で……。」
よえー。次、人形。接近するよー。
「っく、くら」
「落ち着こうね、股クールだよ。」
両足を掴んで、開く。
「可動範囲にお気をつけをー。」
股関節から、逆に折れる。
「人形は、お腹が素敵なのでーす。」
腹の部分を、砕く。
「ガラス玉の部分は、よく磨いてあげましょーう。」
眼を指でくり抜き、握りつぶす。
「頭は重いと首が据わらないので注意ー。」
首を掴み、頭を蹴り潰す。
「この人形は、綺麗じゃないね。」
人形供養でしたー!パチパチパチパチ!
「そん、な。」
やや、メアちゃん。逃げればよかったのに。逃がさないけど。
「やっぱり弱いねー。四将って全部こんなんでしょー?よわよわー。」
「貴女は、一体何者ですか……っ!」
何者、ね。
「廻り続けるだけの、壊れた亡霊だよ。もしくは、悪役かな?」
私は悪役ですからー。
ん。
「悪役を自称する亡霊、か。悪役というモノは砕け散る定めだが。」
武の将。上位鬼種。鬼の仙人みたいな。
「そうだよ、悪役は死ぬ。けどね。」
決して消え去る事はない。
「確かに、悪は世界から消えぬ。じゃが、目の前の悪を消すことは出来るであろう?」
練の将。上位霊種。こいつこそ、本物のリッチ。
「お主からは邪なる気を感じるが……アンデッドではない。お主、人間じゃろう?」
「正解。角も生えてるし、目から魔力が出てるけど、私は人間だよ。」
本物にはわかるかい。
「じゃが、その力は人間とは程遠いのう。」
「そうだな。その力は人間には得られぬものだ。」
「お主、何者じゃ?何故亡霊を名乗る。」
そうだねえ。
「魔王ならわかるんじゃあないかなぁ?」
私を亡霊と称したヤツならね。
「そうか。ならば。」
「彼奴が来るまで戯れようぞ。」
前衛と後衛、コンビネーションは最高の二人。けどさ。
「鬼退治といこう。」
鬼の退治方法ってのは。
「まずは豆撒きといこう。」
鬼は外ー。
「無数の弾丸で追い払われるんだったね。」
小さな石の、雨あられ。
「針にも弱かったかな?」
針千本お呑みあそばせ。
「あとは、でっかい桃を斬る剣だったかなー。」
一刀両断。
鬼退治劇の終演でーす!パチパチパチパチ!
からのー。
「アンデッドは塩だったっけ。」
塩の砂で削り取る。
「流れる水は渡れないんだったかな。」
激流。
「木の杭を突き刺してー。」
そのまま串刺しに。
「あとは銀だったね。」
溶けた銀を流し込む。
はい、亡霊退治のダイジェスト!パチパチパチパチ!
んー、やっぱり弱い!
「そんな……。これで、全部……。」
「ねえねえ、魔王こないね?見捨てられちゃったかなー?」
「そんな事は決して、無い!」
じゃあなんでこないのかなー。
「魔王様は今この街には……。」
「なーるほど。お出かけ中だったかー。」
なら。
「帰ってきたら教えてネ?」
それまでおあずけ。熟成した方が美味しくなる物もあるからね!
「バイバーイ♪」
適当な所に泊まるかなー。とはいえ、泊めてくれるかな?んー。
地下の隠れ家的な所にいくかー。大きい街には大抵アングラな所があるのさー。
んっふっふっふっふ。
観光ってなんだっけ???




