いざ、異端ぶっ殺せ音頭!
アンナちゃんが暴れて、それで。
ちわー、アンナちゃんだよー。お昼後ッ!
「……さて。仕事開始だ。」
今、南の大通り!騒ぎを起こすよー!やる人は厳正なるくじ引きの結果、私ッ!
「アッハ、派手にヤってくるね!」
「ほどほどにな……。」
私基準でほどほどにやるよ!
「では、散開。」
皆が散っていく。さて、私は少し待って、と。
「アレが出入口の家だね。んっふふ。水ぶち込むのは諦めてないのさぁー。」
アレいくよー、アレ!水ドッバーーー!なやつ!!!…………名前なんつったっけ、だいだろす?だいだる?だいだいてき?だだだだだだだ?だいいんぐ……もういいや、なんとかウェーブ!!!
突如として現れた大量の水が出入口から 吹き出す!天高く噴き上がる!中にドバドバ入り込む!本日の天気は晴れ時々大量の水!!局所的に大量の水が落ちてくるでしょう!!
大通りが大騒ぎだね!!!付近だけ大洪水だ!!!
……うん、なんか物足りないなぁ。地味。とても地味。
ここはアレだね、死人が出た方がいいよね。っつーわけでぇ。
「水ときたら雷だよねェ!」
大放電!バチバチバチィ!!!!一瞬で黒焦げになる住民達!!アッハァ♡
地味い。
「ここはアレだね……もう一押ししておこう。」
いざいざ、爆炎!!ぶっ壊れた出入口から噴き出しますよぉー!!周辺は火の車!!大火事ですな!!!
よし、これでいいっしょ。罪は異端者に押し付ける。
という訳で颯爽登場、私!
「くっ、一足遅かったかっ!!」
異端審問のローブをはためかせて、生き残ってる住人の前に!!
「生き残ってる奴は逃げなさい!あの場所は邪教の隠れ家の入り口よ!」
戸惑いまくってる住人!
「この街を生贄にする儀式をしてるのよ!だから、はやく逃げなさい!!!」
噂って尾ひれがつくからね、本当の事混ぜて適当言えばひれひれつきまくりーの暴れ魚。
あとはアレ。
「はやく逃げ……アグゥッ!!」
ばたり。自分に軽くビリッとやって、幻影で煙を出せば、やられたフリの出来上がりー。
見てた住人が、悲鳴上げて逃げていくと。ふぅ。
アンナちゃん劇場、しゅーまく。ぱちぱちぱちー。
さて、私の担当は領主の館付近だったね。いくかー。
「やや、どーもー、異端審問でーす。一言おねしゃーす。」
「異端審問だとっ!?」
やあやあ異端者。外がヤバいっつー話で見に来た奴だね。サクッと死ね。
……あ、こいつなかなか魔力持ってる。ふむ。使うか。
昏倒させて、と!魔力放出術式発動!あたかも大量の魔力を使ったかのようにしてっと。さっきの場所にブッ飛ばす。
これでアレはコイツがやったように見えなくもない。ね?
さー、突入ー。
一本道。この街の地下道を利用してつくってあるんだね。ふーん。いくつか塞いであるね、その先は……方角的に自警団詰所とか領主の館方面かな?知らないけど。
塞いじゃったら逃げ場なくなるのにね、バカじゃないの。
お、第二異端者発見。
「だ、誰だ!」
「通りすがりの異端審問でーす。」
「異端審問だと!?」
驚いてる間に大剣でスパッと。鞘刃で十分かなー。
その後何回か会ったけど、今はもう物言わぬ死体だね。つーか全員異端審問だと!?しか言ってねえんだけどもうちょい芸ないのかしらー。
「くっ、儀式を続けろ!これが完成すれば奴らなど……!」
あら、目的地かな?ちょっと広い所に着いたね。
「異端審問官……!ここにも来やがったか!」
「こんちゃーす。はじめましてー。」
「……子供っ!?」
子供ですよー。わたしじゅっさい!
「子供とはいえ、ここに来るということはかなりの力を持っている筈だ!」
「生贄にしてやる!」
「あの大剣に気を付けろ!」
向かってきた。おー、かなり連携が取れてるね。魔術が得意な奴も多いんだね。詠唱が沢山聴こえる。
「さて、と。テンション上げて行きますかー!」
今宵の大剣は血に飢えてるよ!今昼過ぎだけど!
「さあさあさあさあ!!!!歌えや踊れや血に満ちよー!」
抜剣。鋸で引き裂くよ!
「いけ!炎の弾よ!」
「炎の壁!」
「風の刃っ!」
魔術が沢山飛んできたよ!うーん、薄いね!
「効かないわ、そんなもの。」
大剣一振りで消える魔術。ばーか。
「さあ楽しもうかァ!」
腹を、首を、背中を、胸を、四肢を引き裂く。尖端に引っ掛け、二つにちぎる。鎧など意味無いね、そんなものは切り裂けるわ!
「ヒッ」
死ね。
「つ、つよ」
くたばれ。
「助けっ」
そんなものはないよ!
私の通る後には誰も残らないねっ、弱過ぎー!
「アハハハハハッ!弱い、遅い、脆い!」
奥に進もう!アッハッハッハッハ!!!
「ガキが、いきがってんじゃねえ!」
おっと。……で、でけー。天井に頭ほぼついてんじゃん。髪あったら擦ってたね!
「ハゲの 大男が あらわれた!」
「俺は剃ってんだよッ!!!」
重い攻撃、けどかなり遅いんだよなー。
「先生、殺っちゃってくだせえ!」
「おうよ!ボコボコにしてブチ犯してやるよ!」
なにこの、古典的な。
「それ、負けフラグって言うんですよォ?」
「フン、そんな物信じてねえよ!」
あー、弱いなコイツ。ならさっさと処理してしまうか。
「おしゃべりしてる余裕なんてあるのかしらー。」
「ぐぉっ!?」
ほら、だから腹が裂けちゃった。弱い弱い。
「ほらほらほら、はやくしないとバラバラになるよォー?」
片腕ザッパリ。鋸でイクから断面はグチャグチャー!
「あれぇー?ハゲさん私を殺すんじゃないのぉーーー???」
「ぐぁあ……ッ!」
両脚頂きぃ。
「私を犯してグチョグチョにするんじゃなかったのォーーー????」
もう片方の腕も頂きー。
「アハハハハハハハッ、弱過ぎだよー!でも、折角だから楽しんじゃう♡」
背中、背骨に沿ってザックリ二回!首周りに切れ込みまわして!
「それじゃ、私の生贄になってもらおうか♪」
首を引っこ抜く!背骨付き首の出来上がりィー!
「そ、そんな……先生が……。」
「うそだろ……。」
「探索者のB2だぞ……。」
B2?……えーと、探索者ってーと……たしかE10から始まってA1が最高ランク?だったかな?てーと、なんだ、そんなに強いハゲだったの?ふーん。
興味なし。とりあえずお前らも死にましょうねー。
「棒立ちとか案山子かな?????」
5人くらいザックリ殺した所でようやく現実に帰ってきたよこいつら。
「っ、ぎ、儀式は!儀式はどうなっているっ!」
「もうすぐかとっ!」
凄い儀式を気にするじゃん?なに、そんなに大事やるのかな。
「ところで何の儀式なのかなー。教えてよ?」
邪教の儀式って聞いてただけだしねー。
「それすら知らずここに来たと……!?」
「いやー、邪教の儀式があるっつー任務だからさーこれ。」
「邪教?邪教だと!?我等は輪廻神様の復活のため活動しているんだ!」
oh......
マジかよ……頭抱えますわこれ。どうすんだこれ……。
「輪廻神様の復活のために巫女を呼び出し、その力を増幅して復活を成し遂げるッ!」
いやあの……。うん……。
「詠唱完了!いつでもいけます!」
「辞めといた方が……。うん……。」
「フハハ、みていろ!これより輪廻神の巫女を召喚する!」
大量の魔術が流れて、光って、なんか浮遊感がきて。転移の感覚が来て……。
「フハハハハ!成功だっ!どうだ、見たか異端審問……いない!?どこに行った!」
部屋の中央にある魔法陣の真ん中に立つ私……。
「あー、うん、ここにいるよ……。」
「な、何故貴様が其処にッ!まさか失敗か!?」
「いや、儀式は完全に成功してるんだよこれ……。」
私今すんごいげんなりした顔してると思うの。
「ど、どういう事だ。」
「輪廻神の巫女の名前、知ってるのかな……。」
「あ、ああ!知っているとも!グリムディア侯爵家のアンナという子供だろう!」
「容姿は……。」
「金色の髪に蒼い目、美しい少女だという。」
「……ものすごーーーく言いづらいんだけど、さ……。」
「…………嫌な予感しかしないのだが、なんだ。」
「私、アンナ・グリムディアって言うんですよ……。金髪蒼目の……10歳です……。」
「…………。」
「輪廻神の巫女やってます……。」
「なんという事だ……完全に同士討ちだ……。」
「これはどうすればいいのやら……。」
「儀式成功、と言っていいのかこれ……。」
召喚した人達、リーダーっぽい人、私、その他大勢。全員が頭抱えてるわ……。
「とりあえず、さ。私これ怒っていいよね?神殿にハメられた形になるよね?」
「怒っていいだろうな……。」
「……巫女様、これからどうしますか……。」
「どうしようか……。」
他の四人がまだ来てないのも気になるね。はてさて。
「……本当に、どうしようねェ……?」
こいつらは私が来た時に異端審問が来たと騒いでた。けど私が来てからは私にかかりきり、他は聞こえない。
「ねェ……。私が来る前に来てた異端審問のヤツラはどうしたのかなァ……。」
「そういえば、そうだ!誰か、あいつらを見たか!?」
全員が首を振る。
「はてさて、はてさて……。」
探知。アイツらの魔力反応を探る。
……真上、か。魔術反応もある。そう、か。残念だなァ……。
「ねェ。本当に輪廻神の巫女で輪廻神が復活できると思う?」
「輪廻神様は巫女に多大な力を分け与えることが出来る、筈だ。それに、その力こそ力のお陰ではないのか?」
「ンー、まあ、あってるねェ。けど間違ってもいるんだよォー。」
「間違い、とはなんだ。」
「それはね……。」
真上を見上げ、凄絶に嗤う。
「うふ、うふふふふふふふふ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
大剣に魔力を通す。身体に魔力を巡らせる。魔術も直ぐに発動出来るように待機させる。
「私はねェ!こんな裏切りを何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も経験してんだよッ!!!!」
真上に雷を流す。避けたかい!散開して降りてきた。
「アンナ……。」
「……残念ながら、貴女は危険と判断されました。」
「入って早々、悪いけど……。」
「アンナ。お前を異端として処理する。」
「ッフフフハハハハ!!そうかい、残念だよ!」
「巫女様!」
構える。
「いくぞ。……我が神の名の元に、貴様を殺すッ!」
天秤のイメージ!やはり秤神かよっ!
向かってくる。速い、しかも四人での連携攻撃、か。
「巫女すら異端者か!ハハハハハハハッ!!!つまり神自体を否定した訳だ!!!貴様の神がその様な事、出来るとでも思ってるのかい!!!」
避ける。避ける。
「我が神は裁きを司る!故に、我が神は正義を司る!」
避ける、避ける、さらに避ける。
「オマエの神が正義フェチだっつーのはよーーーーーくわかったわ!!」
後ろから来る攻撃を逸らして、左の剣にあてる。
「けどさァ!」
右から来る攻撃を、受け流す。
「お前の神が正義かどうか、誰が証明する?」
左、腹をかっ捌く。
「がふっ……。」
シャリス、残念だよ。
「アンナ、貴女は……!」
カバーに入るシェリアを、感電させる。
「ぎゃひぁっ!!」
「これが、お前の神が選んだ事かい?」
「アンナ……ッ!!!」
「ねェ、レティ。貴女はどうするのかなァ?」
攻撃が弱いよ?
「私は……。」
「耳を貸すなッ!こいつは……異端者で、邪なる……悪だッ!」
「っふふっ。ほんと、そればっかりだねェ。」
「私はっ……!」
「貴様は、殺すッ!神の名にかけてッ!そうだろう、レティ!それが我等の正義だッ!」
「正義、正義、正義、正義、正義、正義、正義、正義、正義、正義、正義。……あァ。」
気持ちが悪い。
「もういい、気持ち悪いから喋らないで。正義正義と本当に気持ち悪い。薄すぎる。こんなのがお前か。」
「何ッ?」
ッ使いすぎっつーのも気持ち悪い。あぁ。
「何時もの武器とは違うけど、さ……。」
大剣を右手に、鞘刃を左手に。
「名乗らせて貰うかな……。」
翼の様に、広げ持ち。
「レティはそこで見ているといいよ。迷うのならば。」
懐から出すは、冷徹な女神の仮面。
「さあ、いくよ。」
仮面を付けて、凄絶に嗤う。
「さーァ!我等が神の御前也!我等が血を以て奉納と進ぜよう!」
「……!」
「さあさあさあさあさあさあ!!!!!シャムシャラの亡霊が殺しに来たぞゥ!!!!!」
いざ、踊ろうかァ!!!!!
汝の神が正気は誰が保証する。




