異端審問、イン ザ 街!
アンナちゃんが移動する!
やっほー、アンナちゃんだよー。朝ごはん食べてすぐ、大司教に招集されたよ!
「おはようございます。朝から招集など、珍しいですね。」
「おはよう。そうだな。基本的に昼から深夜だからな……。」
なんかあったのかな。
「来たか。朝早くから悪いな。」
「悪いと思ってるならもーちょい遅くしてくださいよー。」
「私に言うな。……邪教の信徒が集会を開いた。数日かけて何かの儀式をするらしい。君達にはこれを潰してもらいたい。」
邪教、ねえ。
「神の経典を歪めて解釈し、犯罪行為すら厭わない奴らだ。消してしまえ。」
「了解した。」
「レティシア達には既に連絡をしてある。途中で合流しろ。」
「よし。では行くぞ。」
「おっと、少し待て。これをアンナに。」
なにこれ。
「お待ちかねの大剣だ。」
おー、きたー。
「鞘も中に入っている。移動中に確認しろ。」
「はーい。」
それじゃ、行きますか。移動は馬車で。
「それじゃ、御開帳ー!」
馬車に揺られながら、剣の入った箱を開ける。
「それ、新しい剣?はやくみせなさいな!」
「まあまあ、焦らない焦らない。」
……鞘。
「大きいですね。」
「大剣だからな……。」
それじゃ、鞘から引き抜こう!……自分の魔力を使った剣、形もそれによってかなり変わるらしいし……ちょっとドキドキ。
抜剣。おー、綺麗な剣!
「美しいな。」
「変わった紋様をしています。」
「かなり曲線。」
「洗練された感じですわね。」
「……んー?」
鋭い先端から続く刃は、鋭くも丸みのあるフォルム。中程で括れて、手元でまた出る感じ。全体的に反ってるのか。片刃の大剣。デカい。刃以外の所に流れる様な模様が赤く入って、手元近くの螺旋模様から先端に続く。柄の先に編み込まれた紐飾りが付いているね。あと、鍔になる部分の上に柄がもう一つ。全体的に洗練され、美しい。んだけど……なんというか。
「どうした?」
「見た目と重量が合ってない。」
これはなにかあるな。色々調べてみる。軽く揺らしてみたり、周りを一通り見てみたり、鞘に入れてみたり。ん?
「なにこれ?」
鞘に、剣を固定する部分があるんだけど、そこがなんだか……ガッチリ固定できるようになってる。しかもワンタッチ操作。
「柄にもありますね。」
確かに。けどこれ既に固定……あー、うん、そうか。
ワンタッチでロック解除。これ二重になってるよ。え、これ刃の付いた鞘ってこと?
「……抜いてみろ。」
おっけー。引き抜く。赤い紋様が、黒くなる。
「なんと……。」
「これはまた……。」
「凄まじい……。」
「エグい形ですわ……。」
「すげー!これいい!」
上から、ティティ、シェリア、シャリス、レティ、私。
流れる形はそのままに、尖端から鍵爪のような牙。そこから中腹の括れまで、鋸のように鋭い牙が生える。根本は斧のように、押し込むように斬れるように。振った時に括れた箇所以外全ての刃があたるようになっている。反り返った逆側は鉈。まさに叩き斬る形。紋様も変わり、赤く根本の螺旋から直線と分岐する回路のようなものに。全体的に、威圧的で禍々しい。
「かっけー!最高じゃん!」
「……アンナ、お前は……。」
やっぱり目が怖いでーす。なによー。
「……いや、いい。なんでもないよ。」
目逸らされた。まーいーや。
所でまだ着かないのかな。
「もう一時間ほどで目的の街に付く様ですよ。」
はーい。
着いた!
「この街は……たしか、第二王子派の伯爵家が統治する街ですわ。」
へー。
「アンナと同い年の子息がいたはずよ。」
へーー。
「……興味無さげですわね。」
「全く興味ないわ。」
「……一応貴女も令嬢なのだから、少しは興味持ちなさい……。」
レティにため息つかれたよ。いいじゃん別に。
「さて、先ずは宿を取るか。」
ティティの案内で宿に。へー、なかなか良い所じゃん。
「この街ではお気に入りの宿でな。こっちに来るとよく泊まっているんだよ。」
そうなのね。
部屋割りー。……2、2、1ですって。
……協議の結果、もといくじ引きの結果ティティと私、シェリアとシャリス、レティ一人部屋!うらやま。
「荷物を置いたら、私達の部屋に集合で。」
はーい。
部屋に集まる5人。任務前の会議になるのかなー。
「揃ったな。……今回の任務は街中にある隠れ家、そこの襲撃。儀式を止めて壊滅させるのが目的だ。」
「資料によると、入り口はわかっているだけでも6つです。」
「一つを潰す?その方が楽だよ。」
「いや、入り口は全て人通りの多い所にある。潰すには被害が大きくなるだろう。」
「……ならどうします?」
「隠れ家はどんな所なのさ。」
「地下、だな。」
「地下なら、埋めて塞いでしまえばよいのではなくて?」
「それか水ぶち込むとかさ。」
「となると魔術か……。」
「魔石の使用、もアリですね。」
「ふむ。」
どーすんのかなー。一つ多い入り口が面倒だなあ。地形図を見る。うーん、東西南北の大通りに面した所と、街の外の街道、大きい橋の下。領主の館近く。うーーーん。
「……何か案はあるか。」
「大通りの入り口になってる家を潰すとかはいかがでしょう。」
「同じ。やるなら南。」
「領主の館近くで騒ぎをおこせばいかがかしら。」
うーーーーん。
「アンナは。」
「橋の下……川から水ぶち込むのもアリかなあ。」
「かなり高いですよ、どうやるのですか。」
「そうだねぇ……水の魔石で流れつくって吸い込んで、押し出す?」
私だけなら魔術でぶち込むんだけどなぁ。
「難しいだろうな。しかし川か……ふむ……。」
なんかあるかい。
「あの場所は地盤が脆い。……しかし被害が……。」
「……。」
ああ、まだるっこしいなぁ。
「どうせ大量に人を殺すんだ。数人増えても変わらないでしょうよ。死んだ者は邪教の被害者。若しくは……。」
異端者だった、でいいだろう。
「……お前。」
睨まれてもね。
「被害気にして動けないなんて、仕事にならないでしょ?この前だって、雇われていた従業員には敬遠な教徒も居たはずでしょーに。アレはよくてコレは駄目?何が違うのさ。教えてよ。」
何を拘ってんだろーね。
「……少々過激ですが、言っていることは間違っていないかと。」
「そうね。気にしちゃ負けですわ。」
「そうこうしている間に儀式は進む。」
賛同得たり。
「…………わかった。そう、だな。」
心は決まったかい。
「……何処を壊すか。」
「南の大通り。」
「東の大通り。」
「橋。」
「領主の館付近。」
「……私は西の大通りだな。」
「なら北の大通り壊せばいいんじゃね?」
「いや、そこは流石にまずいのでは……。」
「ここで一番人の多い所。」
だからこそ大騒ぎになるんじゃん。
まあいいけどー。
で、結局決まらなかったのでくじ引き。結果、南の大通りになりました。
「ふう。では、昼飯にしよう。食べに行くぞ。」
外食だー!ここもティティ御用達みたい。
ふむ。
「ここは美味い。」
お勧めを頼む!
……うめえ。ここいいわ。
沢山食べて、おおきくなるぞー!
つっても正直どうなるかわかってるんだけどね。
さあもっと昼飯じゃー!
剣、かなりエグい代物になってます。




