神殿、昼ー。
アンナちゃんってたまにうっかりするよね。
こんちゃーっ、アンナちゃんですわぁー。
神殿ってやっぱりご飯美味しいわ。金も食い物も人も信仰も集まるわけだー。その分見えないところで贅沢してる。
お昼後の時間で、シスター達とおしゃべりですわ。貴族出身、庶民出身、王都外から来た娘、はたまた別の国からきた子もいるのねー。
「巫女、アンナ。大司教がお呼びです。」
楽しくおしゃべりしてたら呼び出しくらった。なによもー、いいとこだったのに。
しょうがないので大司教の部屋に。
「……昼後に来いと言った筈だが。」
「まだ昼ですわ?昼後ではないでしょう。そんなにせっかちだと、モテませんよ?やっぱりどうて」
「私は童貞ではない……。」
「うっわ、マジかよ。見えねー。」
「……それが素か。」
おっと。しまったね。
「何のことでしょう?」
「まあいい。用件を済ませよう。」
なにかな。
「君がどれほど動けるのか、テストだ。」
またテストかよ……お前は抜き打ち嫌われ教師か。
「で、なにするので?」
「簡単だ、こちらが指定する相手と手合わせをしてもらう。」
うへーーーーーーーーーめんどくせーーーーーーー。
「面倒くさそうな顔をするな。……入れ。」
「待ちくたびれたよ。」
剣持ったシスターが入ってきた。こいつとやるのかぁ。
「こいつも異端審問の所属だ。実働部隊の隊長をしている奴だ。かなり強いからな、心してかかれ。」
「新入りちゃん、よろしく。」
とか言って、木剣を抜くシスター。……ここでやんの?
「得物は何が得意だ?槍か?」
……本棚がスライドして、武器が沢山。なにこのギミック。
えー、適当なやつで。ど、れ、に、し、よ、う、か、な、と。
…………ナックル?
「ほう、それが得意なのか?」
「いや、適当に取ったらこれだったのですが……。」
「……遊んでないで早く選べ。」
ちぇ。せっかちね。
しょうがない。そこの目に付いた大剣にしよう!
「……今度は真面目に選んだようだな。」
いえ、遊んでます。このおじさん遊び心がわかんない人だなー。もー。
「さ、実力を見せてもらうよ。さあ来い、新入り!」
はーい。でもまだ行かない。この武器、大きいだけあって重いなぁ。板に刃と柄付けたようなものだしね。回か振って、感触を確かめる。木で出来てるけど、うーん。まあいいや。
よし。
「それじゃ、いきまーす。」
尖端を引き摺りつつ、歩いて近付く。んー、どう出るか油断せず見てるね。あと数歩で至近距離かな。よし。
ヤるかぁ。
ニタリと笑い、身体を魔術でサポート。剣が軽くなるっ!
一瞬、一閃。
「っ!速い、じゃないか!」
わお、受け止められた。目がいいね。というか力も凄い。
反撃が来る。おお、速い!そして重い!避ける!
……今の、本気じゃなさそうね。なのに当たったらヤバそう。
流石、隊長さんかな?
「これを避けるか。ほう……!」
なんかスイッチ入ったっぽい?連撃してきた。
「おっ、とっ、あぶ、ない、です、わっ!」
避ける避ける避ける避ける避ける避けるっ!って最後のやつガチで殺しに来てなかったかな!?
「素晴らしいな!」
うーん、危ない。……そろそろ攻撃しよう、うん。
床を踏み抜かない程度に、高速で突撃ー!首狩りじゃー!
うわ、膝から上半身水平にするすんごい体制でよけられた。どこのエージェントだよ!
着地した所を、脚掴まれて転ばされた。剣でガードするも、滑らせるように流されて、顔の横に剣がどーん。
負けちゃった。うーん、強い!
と頭打った、痛い。
「おい大司教。こいつ即日で出せるぞ……。」
「その様だな……。」
なんか話してるけど、私は頭打ってぐわーんぐわーん。子供の身体は頭重いんだよぅ。
「おい新入り。お前は私の所に来い。こき使ってやるから楽しみにしていろよ。」
なんか決まったみたいで。うーん、よろしくたいちょー。
ばたんきゅ。
「あ。」
「気絶したか……。」
アンナちゃんの狂い度が足りない……。




