魔の将のおしごと。
弟子達と少しだけ交流するアレ。
やっほー。アンナちゃんだよー。魔の将グリディナだよー。私は今、王領の闘技場にいまーす。
今日はあれ、ちょっとしたイベント。
「貴女が新しい魔の将だと、認めんぞ、私と戦え!私の方が上だと証明してやる!」
とかいう奴と戦うんです。弟子希望達も連れてね。
「グリディナ様、よろしいのですか。」
「何が。」
「その……。」
「見た目強そうに見えないから、ですわ。」
ああ、なるほど。
「女としての戦闘力はあるけどねっ♡」
「いやそうではなくて……。」
面白。
観客も結構いるね、つーか魔王もいやがる。他の将も。……錬のおじいちゃん、足腰大丈夫かおい。
「両者、前へ。」
面倒だけど、やるかー。殺してもいいらしいし。
「構え。始め!」
「くらえ炎弾」
おー、弱い。
「ふーん。」
手で掴む。で、投げ返す。
「なっ!く、これをくらえ!」
沢山飛んできた。当たらないやつは無視、当たるやつは投げ返す。
「ボール遊びにこんなのあったよねー。」
「遊んでるんじゃねえ!」
いや遊ぶわ。
めっちゃ飛んでくるけど大体こんな感じ。途中で面倒になって、自動で投げ返すように設定。
あくび出るわ。
「ふわぁ〜ぁ……。帰っていいかなぁ……。」
「こっ、の……!」
あ、止んだ。なんか長い詠唱してるわ。
「くらえ、我が必殺ッ!炎の激流!」
こいつ炎しかないのかなぁ。つーかこれだと観客に被害出そうなんだけど。わかってんのかしら。
「面倒ねぇ。ほんと。」
防壁展開、流れを止める。あー、んー、ああ、こんな感じの式。んー。
「消えよーねー。」
濁流を消しましたー。
「な……!」
「ウザそうだから、殺しますねー。」
魔術展開。んー、ちょっと派手にやるか。
「炎よ、もっともっと熱く、落ちろ。」
巨大な炎を落としまっす!
「え……うわ、うわああああああああ!!!」
おー、もえてーら。火柱たってら。すげー。
「生きてるー?死んでたら返事しなー。」
返事なし。人の形した炭があるね?
「勝負あり。勝者、グリディナ。」
「いえーい。」
観客に手を振る。あー終わった終わった。つまんねー。
「……次は、私だっ!」
うわ、二人目かよ……。いいの?
「……いいだろう。構え。」
まじかよ……。
「始め。」
剣を抜いて斬りかかってきたよ、それ魔術じゃなくね?
まあいいや。避ける。
「至近距離ならよけられんだろう!」
おー、風かー。密度濃いな。
って、髪の毛ちょっと斬られたんだけど!野郎……。
剣を抜く。髪の毛の怨みは恐ろしいぞ……!
突撃。反応してみなァ!
「ぐふぁっ……!」
「そうら……!」
剣に魔力を纏わせる。伸びろ。
「切り刻んでやるよ。」
髪の毛をな!ハゲろ!
「わ、私の髪がっ!」
観客から笑い声。接近。
「は、速……。」
それじゃあ、私の十八番!首筋から剣を突き刺して、背骨沿いに!そしてー!
「それじゃサヨウナラ♡」
首を引っこ抜くー!背骨付きッ!観客騒然!
「アッハハハハハハハハハハハハハ!!!!さあ次は誰かなァーー!!!!!引っこ抜いてやらぁ!!!ひゃははははははははははははは!!!!!」
壮絶に笑えば、青ざめ竦む奴ら。
「やめ、やめ。もうよいだろう。」
「せっかくノってきた所なのにー?つまんねー事言うなよ。なあ?」
「相手が戦意喪失しているだろう。」
「チッ。つまんねーの。こんな奴らが将になりてーとかさぁ。つまんねーつまんねーつまーんなーい。」
撤収しよ。帰って寝よ。はー、時間無駄にした気しかしない。
チッ。
「お疲れ様です、グリディナ。」
「おー、メアじゃん。どしたの。」
部屋なう。弟子希望達は、試合で目ぇ見開いてたけど再起動して研究に戻った。
「書いて頂く書類をお持ちしたのと、ついでにお茶でも、と。」
「いーねー、お茶用意するよ。」
侍女に頼むんだけどね。
「ケーキ、持ってきたんですよ。」
「いいね!……手作り?」
「ええ。」
「ワンホールあるよ……弟子希望達にもいい?」
「ええ、その分も含めてますので。」
呼んできた。ほら、座れ。
んー、このケーキ美味しいー!さすがメア!
「ありがとう。趣味でよく作るんですよ……。」
「けど食べる人いない、と。」
「ええ!けどこれで作っても消費される……うふふふふ。」
毎日ケーキはきついっす、メアセンパイ。
弟子希望達もおいしそーに食べてるね、特にツインテ。こいつも甘いモノ好きか。
「で、お茶だけじゃないっしょ。何の用?」
「バレましたか。ええ、先程の試合ですが……。」
「ちょっとやりすぎ?」
「いえ、あれでいいんですけど……。」
「なによ。」
「あの二人目、貴族の次男でして……。こうなる可能性は周知していたのですが、騒ぎはじめまして。」
あー。そーいう。
「まあ冷ややかな目で見られているんですけどね。魔族は力が全てですし。」
「そーだねぇ。」
「……たしか伯爵位の家でしたわ。」
「おや、知ってるのかいツインテ。」
そーいや貴族の娘だったねツインテ。
「ツインテ……え、ええ。実力も力もない、ただ口先だけの家ですわ。数代前までは良かったらしいですけど。」
「そうかぁ。……どーする、面倒くさそうだけど。」
「潰しますか?」
「賛成の人ー。」
全員かよ。
「少々怪しい噂もありますから好都合ですわ。」
「聞いたことあるな。人身売買だっけか。」
「私も聞いたな。呪いで従わせて売り飛ばす、って話だ。」
「その噂、裏付けが取れております。」
「へぇ、これはいい機会じゃないか。」
ニタリと笑う。面倒事は、早々に潰してしまおう。
「魔王様には許可を頂いております。」
「殺るか。……そーだね、お前達、やるかい?力を見せてみろ。」
「やりましょう。」
「是非。」
「潰して差し上げますわ。」
「いいかな、メア?」
「宜しいでしょう。地図は、こちらに。当主は今屋敷内に居ることがわかっておりますので。」
「早速いこうか。……皆殺し?」
「皆殺しで。」
「あの、仕えている者達は……。」
「どーする?有用?」
「……そう、ですね。逃げる者は追わず、来るものは殺すで。」
「おーけい、わかった。行くぞ諸君。」
つーわけでごー。
「ここがあの女のハウスね。」
「……当主は男です、師匠。」
わーってらぁ。
「んじゃ、各自連携して突撃。外から見てるからねー。片っ端からやっちまえ。」
「わかりました。」
「私は逃げる奴の中にいないか確認してるからねー、取り逃したら罰ゲームねー。」
「は、はい!」
「それじゃ、状況開始。」
突撃してった。魔術で扉ぶち抜いてらー。
待つこと、10分。逃げ出す侍女達、中にはいないね。
「戻りましたわ。」
当主一家の首を引っさげて、戻ってきた。ふむ、細マッチョが三人、インテリ一人、ツインテ二人か。
「……全部で五人?六人家族じゃなかったか?」
「一人は貴女が首を引っこ抜きましたでしょうに……。」
そーいやそうだった。わりわり。
「いやまて、娘がもう一人いた筈だ。」
そーだっけ?
「……どこかに隠れているのですかね。探しますか?」
「年齢は。」
「40。人間換算で10歳です。」
「放っておけ。探すのダルい。それに跡取りはいるだろーよ。」
私のように領地経営できるかなぁ???
「そうですわね。領地を割り振るのも面倒ですし。」
「その辺の感覚はわかんねぇなぁ……。」
「貴族の考え方だからねぇ。青い血がないとわかんないだろーね。」
「……グリディナ様も、貴族だったのですか?」
「あれ、言ってなかったっけ。私種族的には人間よ?」
「えっ。」
「やっぱりそうでしたか……。」
「グリムディア侯爵家当主、ってね。ま、覚えなくていいよ。」
さー、帰るか。
「お疲れ様です。娘を一人見逃した様ですが。」
「跡取りいるだろ。それ用。」
「なるほど。御配慮、感謝致します。」
弟子希望達は血を落としに行った。……まあまあ実力あったし、希望は取って弟子にしようかなぁ。気分で。
さー、書類書くぞー。あ、これ何処に提出すりゃいーの?
「基本的に私の執務室に届けて頂ければ、文官が処理しますので。」
わぁ、いいね。
「貴女の弟子にも書類を割り振ってもいいのですよ?」
「いやー、先ずは今やってる事の成果出てからだろーねぇ。」
簡単な書類は書かせてるし。申請書とか、報告書とか。ま、そっからだね。
話しながら書類書いてる。ばばーっと。領主経験がここで活きる!
「……はやいですね。うちの文官にも見習わせたいです。」
「慣れだよ、慣れ。」
おわったー。はい、よろしく。
「はい、頂きました。基本的に侍女か弟子に渡して届けてもらえばよろしいので。」
「はーい。」
侍女に頼もう。
「では、私はこれで。」
「また来てねー。」
「ええ、また。」
さってと。本の虫になるかー。
そーいえば、一人取り逃がしたし罰ゲームどーしよ。全員でやる?
罰ゲームなににしよかな。軽く変な格好させてみるかな。




