亡霊アンナ、魔族に紛れて。
いろんな物全部すっぽかしぼ亡霊アンナちゃん魔族領に立つ!
「バイバーイ、グラスゴル!!!あの世でシャムシャラにキスしてこいッ!!!ヒャハハハハハハ!!!!」
さようならッ!我が故郷!
そして私は、転移術式。
「私は魔族の所にいるからねぇーーー!!!!追っかけてきたらいいよぉーーー!!」
サヨウナラ。
はい、どーもーアンナちゃんだよ!大量虐殺してきた直ぐ後!私は今、魔族領の草原にいます!うーん、涼しい!ここって高原なんだよね。空気が美味しいー!
「さってと。」
ここ何処。
とりあえず探査魔術!んー。近くに泉があるのかな? そっち行ってみるか。
てくてく歩いて、面倒になって、魔術で浮いて動く事にした!魔術便利。
ちょっと寒いので、ローブを着て、と。あ、これちょっと長いわ。浮いてるからいいけど既に脚見えねー。
泉についたら、休憩。水を飲むために泉を覗き込む。
……うっわ、なにこれ。
捻れた角が生えた仮面、血みどろの身体、歪んだ口元に長いローブ。そして。
「え、なにこれ。」
右眼から青白い炎?みたいなのが出てる……。仮面を外しても出てる……。なにこれ……初めてなんだけどこんなの……。
「……まさに亡霊のようだ。」
ま、魔族領に入るには都合がいいかもしれない、うん、そういう事にしておこう、うん。コワイ。
「これ引っ込めれないのかなぁ。」
力入れてみたり、脱力してみたり、魔力使ってみたり、瞑想してみたり、踊ってみたり、飛び込んでみたり、色々してみたけどダメだったよ……。くっ。
「もういいや……。」
1晩ここで休んでいこ……。
おはよう、アンナちゃんですわ。朝日が気持ちいいですわー。どこからともなくお茶セットを取り出して、朝の1杯。うーん、私の朝は1杯の紅茶から始まる……。
お腹は空いてないけど、とりあえず携帯食料を取り出して食べる。不味い。ああ、どこから出したって?魔術便利、とだけ。
さー、進もう。遠くを見ると、かなーーーーーり遠くの方ででっかい雲が。というか土煙?あれか、メテオライトのあれか。てことは、あっちに進めばいいのかしらん。
ふわふわ、ふわふわ。ゆっくり景色を楽しみながら、飛んでいく。まるでピクニックみたい!
しかしまー、私も凄い選択をしたものねえ。計画とか構想とか全部放り出して、ただ一時的な快楽に全振りしちゃったよ。あの時名乗りを上げたら英雄かな。
しくは、ちょっと暴れて死ぬエンドもあったかもね。
ま、いいわ。今を楽しもうじゃあないか。
「お、あれは。」
第一村はっけーん!近寄る。
「こんにちはー。」
「ん?旅人さんかい?」
旅人、ふむ、その設定いいね。
「そうなんですよー。村に立ち寄っても?」
「若いのに大変だね。ああ、それは村長の所に行ってくれ。」
「村長だね、わかったよ。一番立派な家でいいかな?」
「……そ、そうだとも。」
「ありがとー。」
あの人?(獣人だった。ウサミミ!)私の足元見てビクッてしてたね。浮いてるのが珍しいのかしらん。
まって……浮いてるのって基本有翼種かレイス系だよね。私の知識に誤りがなければ基本そうだよね。私翼ないよね。
……まあいっか♪
「ごめんくださーい。」
村長の家、わかりやすかったよ!村の真ん中だった!
「おや、旅人……さん、かな?」
村長はイヌミミだった!
「旅人であってますよー。立ち寄るならここに行ってくれ、っていわれたのでー。」
「ふむ?見た所レイスか……その上位種に見えますが。こちらには、何を?」
上位種か。
「あはは、王領(魔族のね!魔王領だよ!都とその周辺地域!都には城があるんだよ!)に行くついでにぶらりと。ついでにここの美味しい食べ物ってないかなー、ってね。」
「なるほど。……食べ物は。」
「ふつーに食べられるから心配しなくていいよー。」
そーいやレイスは魂を食べるんだっけ。正確に言うと魂にある生のエネルギーだけど。魂自体は食べないよ。
「そうですか。ならいいのですが。」
「あはは、正直魂よりいろんな物食べたいじゃん?その方が美味しいよー。」
「わかりました。……こちらに泊まられますか?」
「うん、よろしくー。あとお湯もあったら……。」
「ええ、用意致しましょう。」
「ありがとー。あ、お代金先に払っておくねー。」
金貨を二枚くらい。ああ、魔族ん所でも使われてるやつね。貿易用ってやつー。あは、目ェ見開いてらぁ。
「こ、こんなに頂けません!」
「いいの、こんな見た目だから怖がらせる迷惑料も入ってんのよー。」
お金は使ってこそ価値がある!……この眼じゃなければこんなに払わないけどね……。ハハハ……。
ま、たっぷりあるからいいや。
「とりあえず先にお湯ちょーだーい。」
「わかりました。家内に持っていかせます。お部屋はこちらです。」
二階の部屋か。なかなか綺麗な所じゃん。
「ありがとー。ついでにこの村で美味しい所ってあるー?」
「そ、そうですね。でしたら……娘に案内させましょうか?」
「娘さん居るの?」
「え、ええ。一人。」
「大事にしなよー、最近物騒なんだから。」
「物騒?」
うん、物騒。
「ほら、人間の街が一つぶっ潰れたらしーよー。」
「そうなのですか……。」
「なんでも、大規模魔術だとか。怖いねぇ。」
「恐ろしいですな。」
「お、お湯をお持ち致しました。」
「ありがとー。」
「私共は下におりますので、何かありましたら。」
出てった。足音が遠ざかるのを待って、服と仮面を脱ぐ。で、身体を拭く。
……やっぱり。眼だけじゃない。身体に変な……線?青白いのが入ってるね。左胸が中心かな?真っ直ぐで、途中少し折れ曲がってる。今のところ右眼と、手のひらまで一本ずつかな。れはそこまで目立たないね。
でも、これなんなんだろう……。
考えても、メテオライトかもしくは1度に殺し過ぎたかぐらいしか思いつかない。でもメテオライトはそんな効果ないし、昨日より殺した数多い時もこんな事はなかった。なんだこれ???
まあいいや。害はあまりないかな。
身体拭く続き。
うーん、髪が固まってる……。えーっと、こういう時は魔術で……。清掃、だっけ。
よっし綺麗になった!服も綺麗にしよう!
さっぱり。仮面も綺麗にして、と。服着よう。全裸は寒い。
よし、おっけー。一階に。
「村長さん、お湯ありがとねー。あとご飯所おしえてー。」
「いえいえ、お湯程度でしたら。娘を呼んで来ましょう。」
娘さんかー。
「これが私共の娘にございます。」
「は、初めまして旅人さん。」
「うん、初めまして。」
なかなか可愛いじゃないの。顔立ちもいいし、モテるぞー。
「旅人さんに美味しい所を紹介してきなさい。ついでにご飯を食べてくればいいよ。」
「は、はい。」
「昼飯代は」
「ああ、私が出すよ。案内料ってね。」
「すみませんな……。」
ちょっと私を見て怯えてる気もするけど気にしない気にしない。
「それじゃ、案内よろしくー。」
「は、はい。」
食事処!
「いらっしゃい!おや村長の所の娘と……レイス、かい?」
「あはは、旅人だよー。美味しい店だって案内されてねー。」
「食べられるのかい?」
「勿論!一番美味しいのをおねがーい。」
席に座る。娘さんと対面で。……緊張してら。
「そんなに緊張しないで、美味しいのが食べられないよ。」
「は、はい……。」
あー、うん?
「この仮面が怖い?」
無慈悲な女神の顔、だっけ?なんか違う。でもそんな感じだしね。外すか。
「えっ……。」
「これならいーでしょ。」
目ェ見開いてらぁ。
「怖い?」
「き、綺麗……。」
おう、そうきたか。
「おまち!……あんたべっぴんさんじゃないか。なんでそんな仮面してんだい?」
「寄ってくるじゃん?」
「あはは、なるほどね!」
美味しそ、いただきます!
「美味しい……。」
笑顔になるね!……娘さんや、見惚れてるとご飯冷めるよ?
慌てて食べだしたけど、チラチラ見てらー。
「にしても、なんでレイスなんかになったんだい?」
うーん。どうしようか。
「んふふ、秘密♡」
ウィンクして、可愛く!
「女の秘密ってわけかい!ははは!」
よし。
さてと、美味しかった。
お代金ー。銀貨一枚。
「ち、ちょっと多すぎだよ。釣りを持ってくるね。」
「いや、いいよー。美味しかったからさ!」
「……なら、遠慮なく貰うよ!」
「ごちそーさまー!」
「また来なよ!」
いいおばちゃんだった。
「あの、ご馳走様です。」
「はーい。」
いい子だ娘さん。
その後村を娘さんと散歩して、色々買った。食料とかね!
んで、村長の所で晩御飯。奥さん料理上手いですなぁ!
就寝。すやぁ……。
見た目が人外に近づくアンナちゃん……。




