お持ち帰りはオッケーだよね?
アンナちゃんの気まぐれは良くも悪くも君に幸あれ!
幸福か不幸かは知らない。
どーもー!ヴィリアちゃんだよォー!
今!私は!学園長の!前で!
「早速⋯⋯何をしているのですか、貴女は、本当に⋯⋯。」
溜息をつかれています。疲れてる?大丈夫?
「今まさに疲れが⋯⋯いえ、問題ないですとも。」
今度いい薬草でも持ってこよう。うん。
「遠慮させて頂きますとも。⋯⋯して、その娘についてですが。」
はいはーい。
従者です。落ちてたからお持ち帰りしました。
「⋯⋯貴女は人を食べるのですか?」
「オイシイお肉ならなんでも食べるわぁ、結構イケるよぉ?」
「⋯⋯⋯⋯そうですか。生徒は」
「食べませんとも。美味しそうじゃないし。」
「美味しければ食べるのですか⋯⋯。」
そうともいう。
「⋯⋯⋯⋯監視を付けさせていただきます。」
「増員するのね、いいでしょうとも。」
勿論監視は付いているものですとも。そりゃそうだよね、得体の知れない召喚陣から得体の知れないヤツが出てきたら誰だって監視するよね!
「⋯⋯監視の者から、貴女は危険であると報告がありましたから。」
それだけなの?
「排除するべきであると、監視者の全てから来ておりますが。⋯⋯私は未だ決めかねております。」
ふむん?
「故に、更なる監視を。貴女がどのような方であるか、一側面しか見えておりませんので。」
「へぇ、まあいいけど。放り出すなら早めに教えてねー?」
遊びたいしー。
「それより、この食料はオッケー?」
さっきから意味がわからずぷるぷるしてるだけの食料の処遇を決めようぜー?
「⋯⋯一つだけ。貴女は人を食べねば生きていけないのですか?」
「まさか。美味しいものを食べたいだけ。」
美味しいから食べる、いいよね!
「そうですか。⋯⋯許可は出来ませんので。」
だめ?
「学内にて血の匂いがする事自体が異常ですので。例え個室であろうと許し難くありますから。」
まあ、そうだよねー。⋯⋯ならコイツをどうするかってハナシをしよう。
「ねえ、そこのぷるぷるしてるだけの元食料。お前の家族はどうした?」
⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯。
うん、恐怖しか見えないね!
「ヴィリア嬢、貴女は下がっていて下さい。これでは受け答えなど出来ませんでしょう。」
はーい。
「後でどうなったか教えてねー。一応拾った義理はあるし?」
拾った手前、結末は知っておきたいからねー。
「ええ。⋯⋯もし、身寄りが無いのであれば孤児院等に入れる事になりますので。」
ふーん。
「いいけど、使えるかだけは見といたらいいと思うよー。」
「勿論です。」
んー。それじゃ宜しく。
一人で学園長の部屋から出るよー。⋯⋯食料調達失敗。
ま、いっか。
さてと、これからどうしようかなー。
また講義でも見て回るかなー?
という訳で、学園の中をぶらついてます!
浮いてるんだけどね。勿論、隠密付きで。
今日はどんな講義やってんのかなーっと。
⋯⋯⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
あ、バカ殿下(仮称)だ。バカ女(仮称)もいる。なんの講義受けてるのかなこれ。
魔術の授業かー。ふんふん?
「で、あるからして、魔術というものは詠唱することで発現するものであり。」
は?
「詠唱破棄というものは、心内で詠唱しているからこそ発現する、という結論である。」
ははーん?
「詠唱無くしては魔術は発現しないものである。」
魔術のプロセスを解ってないんだねー。
「質問があります。」
「うむ、ヨムニール君。質問を許可しよう。」
お、バカ殿下。
「呪術のような、魔術で解呪する様なものは詠唱が存在しないと聞きます。基本的に魔術は魔術で相殺するものだとも。で、あれば詠唱の存在しないものでも魔術の括りに入るのでは無いかと疑念が。」
⋯⋯ほぉ。
「それについては、魔術は全てが解明されているものでは無いと答えよう。今現在判明しているものは、詠唱してこその魔術である、という暫定的な答えである。故に、今後の研究によってこの結論が覆されることもある、と。」
オイ。
「⋯⋯そうなのですか。ありがとうございます。」
「君達の今後の研究を期待する。是非とも、覆してくれたまえ。」
ぶん投げかよ。
「うーん⋯⋯違う気がするんだよ⋯⋯。」
バカ女も首を捻ってるのね、ほーん。
「時間だ、本日の講義を終了する。そうだな、次回までに各々の魔術論を考えておけ。」
ぶん投げーーー!
「⋯⋯茶でも飲みに行くか。」
「いきましょ!」
バカ殿下とバカ女が連れ立ってまあ。
ちょっと出歯亀といきますかー。
⋯⋯普通にお茶してるかと思ったら、さっきの講義について話してるねえ。
「こう、詠唱してなくても⋯⋯ぐわーっとしたら魔術が出るんだよね、だからなーんか違うんだよー。」
「⋯⋯その感覚はわからんが、詠唱は無くとも魔術は発現出来る様な⋯⋯感覚ではあるのだがな。」
ほほう。
「なんか、別のものが重要な気がするんだよねー、なんだろ。」
「何だろうな⋯⋯今一歩足りない様な⋯⋯。」
ほほほう。
「面白いコト話してるねぇ?」
「いひぇ!?」
「っ!⋯⋯貴女は、召喚の⋯⋯!」
ちわーっす。
「魔術、詠唱だけじゃ発現はしないよ。」
「⋯⋯ほう?」
「何が要なのか⋯⋯知りたいカナ?」
「お誘い、かな?ヴィリアさん。」
へえ、一発で見抜くかい。
「ああ、お誘いだとも。どうかな、魔術の講義だ。基本は実地、気が向いたら部屋でオハナシするかもしれない⋯⋯カモ、だよ。」
「貴女がやるのか?」
「そうでーす。シレーティナ=ヴィリアの魔術講義だ。少数で実際に魔術ぶっぱなそうぜの会!如何かな?」
どうかな?
「行く!」
確保ー。
「それは、魔術が不得手でも良いのか?」
「勿論。なんだったらコツを教えてもいい、便利なものは皆で使おうじゃあないか。」
下手なの?
「殿下はちょっと苦手なんだよ、だから魔術を勉強してるの。」
なるほどねー。歓迎しよう。
「⋯⋯であれば、宜しく頼みたい。」
おーけー。
「あと誰か興味のある人お誘いできるかな?まだ4人しか見つけれてないんだよねー。」
「ふむ⋯⋯。」
「ヨナちゃんとかー?」
⋯⋯ヨナちゃん?
「私の妹だ。魔術が得意でな。」
⋯⋯⋯⋯ヨナちゃん?
「知っているのか?」
いや、うん。いいけどまぁ。
「ヨナ・ヨムニール?」
「ほう、異国の地でも名が知れているのか⋯⋯。」
「凄いもんね、ヨナちゃん。⋯⋯ちなみに私達の名前は?」
「知らない。」
ガクってなったよコイツら。
「私はヨオミ・ヨムニールだ。名の通り。」
殿下って呼ばれてるもんね。
「私はー、ヒノ。一般生で、姓はないよ。」
随分学のある一般生だことー。
「改めて、シレーティナ=ヴィリア。勿論、偽名だよ。今はヴィリアちゃんでーす。」
よろしくー。
「ところで聞きたいことあるんだけど、イイカナ?」
「よいぞ。」
「君達の馴れ初めはー?」
いきなりぶっ込むスタイル!
「話せば長くなる⋯⋯。」
短く。
「助けて貰って、そこからなんか色々あった、かな?」
「色々?」
「話せぬこともあるが、まあ⋯⋯色々だ。」
ふーん。
「恋に恋してる目じゃないのもそれ?」
「⋯⋯凄いね。」
「私の目は誤魔化せないよォ?」
「詳しくは話せん。」
「なるほど政かー。大変だねー。」
関わらないスタイルでー。
「そうしてくれると有難い。」
「私的好感度急上昇かなー!よろしくね、ヴィリアちゃん!」
⋯⋯一応、教師ナンデスガ。
「ま、いっか。もう数日したら準備できるから、その時に参加者顔合わせといこう。待っててねー。」
応募もしてるからどんなのが来るか期待しないで待っててねー。
「さて、そろそろ次の講義がある⋯⋯。」
「ごめんね!」
「謝る必要はないよ、学びは君達の仕事だからね。よく学んできなさいなー。」
いってらっしゃーい。またねー。
⋯⋯。
さて。
あの元食料はどうなったのかなーっと。
いざいざ、学園長の部屋へ戻ろう!
びゅーんっと。
ヨナちゃん、アンナちゃん的に名前を聞けばあーそんなの居たねーくらいの記憶しか無い。
後のループであんな事になっちゃうのカワイソー!