今度こそ朝だよ!
ふらふらぶらぶらーと。
おはようございますー!シレーティナちゃんよ!
朝ですわぁー。おもいっきり朝。
昨日遅くまで起きてたから眠いこと眠いこと⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯。
二度寝するわ!贅沢に!
眠いから仕方ないのですわぁ⋯⋯すやぁ。
すやすや⋯⋯。
っは。起きたわ!おはよう!
今何時⋯⋯おひるだぁ。おひるすぎてるけどぉ。
おなかすいた。
ふあぁ⋯⋯。
どーしよかなー。
食堂は⋯⋯あいてないよねぇ。
ってなるとやっぱ街かなー。
よし行こう、ごはんのために!
ごーはーんー!
という訳で街!
お昼過ぎてるから、空いてるかなーとか思ったけどそんなことはなかったみたい。
お店の人が食べる時間ってやつかな。大人の時間かしら。
テキトーにぶらぶらと⋯⋯あ、よさげな店みっけ。
お肉の匂いがする!入る!
「いらっしゃい!おや、可愛らしいお客さんだね!」
ちわっす!オススメお肉くださいな!
「肉だね?⋯⋯うちの店はちょっと多いけど、どうだい、半分にしとくかい?」
普通で!こう見えて沢山入るんだよ!
「無理はしないでおくれよ?余ったら、持ち帰りも出来るからね⋯⋯。」
オーケー!
⋯⋯肉の持ち帰りって大丈夫かって?大丈夫なんでしょう。割と頑丈な人達だしね!
で。
「オマチ!オススメ気まぐれ今日のステーキ!普通盛り1ポンドだ!」
でけぇ。いやでけぇ。
マジ?
多分今見た目相応のまんまるな目してる気がする⋯⋯。
「無理はすんなよ嬢ちゃん!」
「頑張んな!」
周りの体格のいいあんちゃんから応援されてーら。
けど、まぁ⋯⋯美味しそう⋯⋯。
イタダキマス!
歯ごたえ!肉汁!ミディアムレア!肉!肉!!肉!!!
ウメェ!
「す、スゲェ⋯⋯。」
「あの体格で全部食い尽くしやがった⋯⋯。」
「負けた⋯⋯。」
「いや何処に入ってんだよアレ。」
すっごい美味しかった!
「あはは!すごいねお嬢ちゃん!それ、コイツらみたいなゴツい奴しか大抵食いきれないのにさ!」
夢中で食べちゃったよ。
「嬉しいねぇ!お嬢ちゃん、歳もそういってないように見えるけど⋯⋯名前なんていうんだい?」
んー?あーと。シレーティナよ!いままだじゅっさい!
そう、じゅっさい。
「10歳⋯⋯すごいねぇ⋯⋯将来有望な⋯⋯。ウン、肉喰いのシレーティナちゃんだね!」
にくぐいのしれーてぃなちゃん。
「ヒュゥ!その歳で二つ名たぁ名誉なこってなぁ!」
「しかも割と強そうな名前ってな!」
「「ハハハハハ!」」
なんかすごいことになったきがする。
「ま、気にしないでおくれ。こっちが勝手に呼ばせてもらうだけさ!」
あー、うん。まいっか。
⋯⋯今の私に合ってる気もするしね。
そのあと適当にマッチョなおじさんたちと会話して、時間的に皆お仕事があるからーっていうことで帰ることに。
ご飯代はいいもん見せてくれたって奢ってくれた!サンキューマッチョ!
この店はまた来ることに決めた!美味しいし楽しかった!
で、消化がてら街をぶらぶら。
この前歩いてないところにいこう!
大通りの隣、まあまあ広い道。
んー、ここは街の人が暮らすのに必要なものって感じね。
大通りが学生向けだとしたら、こっちは生活用?
⋯⋯あら。こんなところに服屋⋯⋯しかも私が着れるようなやつ!
センス的には⋯⋯商人の娘向けかしら?
あ、でも貴族の娘向けのもサンプルにあるわね。んー。
保留。今は服って気分でもないしー。
まだ着てない服も沢山ストックしてあるしー。
まだ着れるのも沢山あるし!
一回着たら終わりは貴族ごっこしてる時だけでいいのです。
それにほらー。私、家から追っ払われちゃったしー?
がうがう。
そういや神殿は大わらわだろうねぇ⋯⋯多分あの陣からして、飛んでいった方向は判るだろうけど⋯⋯そこは邪神の悪戯。多分方向そのまま行ったら凄まじい所に到達したコトになりそうね!海の上とか大雪原の真ん中とかラビリンスの中とか絶島とか!
捜索隊の生死は知らね。
そんなこと考えながら歩いてたら、だいぶ人通りの少ない辺りに来た。
ここら辺は夜になったら賑やかになるあたりって感じね。所謂夜の街ってやつ!
学生は入れませんよー。
⋯⋯と。
やっぱりちょっと治安は悪そうねぇ。
路地の奥からケンカの声かしら。
やーねぇ⋯⋯。ここは早々に過ぎさっ
⋯⋯⋯⋯。
匂い。
いい匂い⋯⋯。
さっきの路地だねエ⋯⋯。
新鮮ないい匂いだ。
ふらふらと、誘われるように。
アッハ、やってるやってる。
食事してるゥ?オイシク食べてるゥ?
「⋯⋯ァ?なんだこのガキ。」
「へぇ、可愛いじゃねえか⋯⋯ヤるか?」
「イイねぇ。」
「しかも売れそうだ。」
ちっちゃいボロ雑巾みたいな塊から漂ういい匂い。周りには固そうな肉がイチ、ニー、サン、ヨン。
ていうか、この街にもこんなのがいるんだねぇ。
ま、イイケド。
「ねぇ、オニーサン達。」
「なんだぁ?お嬢様?ヘッヘヘヘ。」
ニヤニヤしてるわー。キモいわー。
「食事中ごめんなさいねぇ。私にも分けてもらおうかなぁーって。」
「⋯⋯あ?食事?」
そうそう、食事だよ⋯⋯?
「だってさぁ⋯⋯そんないい匂い!たれ流されちゃ食いたくなるでしょうよぉ!」
魔術発動、闇の爪!
「んなっ」
「ソーユー訳だから、全部食わせて貰うよぉ!」
一番前に居た肉の、首をズバッと!
飛び出る血、直接出口からゴクゴクってね!
「な、吸血鬼⋯⋯!」
「今は昼過ぎだぞ!?」
夕方近くです。
「とっ、とにかく逃げ」
させなぁい。
逃げようとした肉!お腹から爪が生えちゃった!
私が背中から貫いたんだけどね!アハッ!
それを見て固まった肉はほっといて、走ろうとしてる肉!
飛び越えてー。前に着地する時に胸からお腹を切り開きましょう!
開いたらー!中からー!胸骨と皮の間に手を入れてー!皮をひっぺがしましょう!
心臓ドクドクいってるね!アッハァ!
めくれたらー!邪魔な腕を肩からバツンといきましょー!
そしてー!ぐるりと首の皮に切れ目を入れてー!
おもいっきり背中からひっぺがーす!
わぁスゴーイ!あなたは自分の皮をスカートにする肉なんだねぇ!
あ、心臓止まった。ショック死かな?失血死かな?
ま、いいや!
で。
そこで腰抜かして水溜まりつくってるあと一つの肉はーっと。
とりあえずー。
魔術発動。バインド。
おまえは何も動かせない!
そこで待っててね!まずはコレを食べるから!
っていってもコレ、あんまり食べるところないなぁ⋯⋯。
硬いし。マズ。
うーん。失敗だったかなぁー。
おっと、そういやボロ雑巾があったね!アレはなんだったかなーっと!
⋯⋯お?
おおー?
エルフィだ!エルフィのちっちゃい娘だ!
ちょっとやせ細ってるけど⋯⋯それでも充分!
アタリをひいたね!しかもまだ生きてる!
「こぉんにちはぁ。こんなところで寝てどうしたのかなぁー?」
つんつん。痛そうにしてないねぇ。
「っえ、ぁ⋯⋯。」
おお!こんな状態でまだ喋れる!活きがいい!
「ぁ⋯⋯さ⋯⋯。」
うんー?あさー?オハヨー!
「さむ⋯⋯ぃ⋯⋯たす、け⋯⋯て⋯⋯」
助けて、かー。
「ええ、助けましょう!助けてあげましょう!」
魔術発動、えーとリフレッシュ!
気分はよくなったかなぁ?
「あ⋯⋯いだい!いだいいいいぃぃぃぃ!!!」
気分ダケ、ね?感覚だけねぇぇ?
痛みも感じなくなってたのにねー?
アッハハハハ!
「なんでっ、なんでえっ!」
何で、ねぇ。
「美味しそうなモノは、活きがいいうちに食べたいじゃない?」
だからさ!
「美味しく食べさせてもらうわぁ!いただきまぁす。」
柔らかいお腹にガブッと!
んんー!甘くて美味しーい!
しかもこの娘!純粋種のエルフィだわ!レアものじゃない!
こんな機会滅多にないわ!ああっ本当にいいモノ見つけたわぁ!
「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
肉も、ワタも全部あまぁい⋯⋯!素敵、素敵!
⋯⋯んー?しかも⋯⋯あぁすごぉい⋯⋯。
なんでエルフィがどんな種族とも交わることが出来るのか⋯⋯わかっちゃった!
こんなに甘くて美味しくて、とっても柔らかくて柔軟で!しかも再生能力がすごいのね!だからどんなモノも受け入れられる!
⋯⋯⋯⋯うふ。
うふふふふふふ。
持ち帰っちゃお。
「っは!おまえ気に入っちゃった!全部は食べないであげる!」
魔術発動。リフレッシュ!今度はちゃあんとね!
「え、あ、え?」
戸惑う美味しい娘!ニヤリと嗤って覗き込んで。
「オマエは私のオヤツだ⋯⋯いいね?」
呪術⋯⋯否、ただの恐怖。それだけでもう、逃げられない。
「私に付いてきな。少しはマシな生活が出来るかもしれないよぉ?食べるけど!アッハハハハハ!」
うーん、絶望的な目をしてるね!カナシイネ!
さてと、学園に戻ろうかな!コイツは拾ったってことでー。従者で通す!
あ、忘れてた。
固めたままの不味い肉。どうしようかなー。
不味い肉も残ってるしなー。
片付けるのもめんどくさいしー。
うーん。
よし。
バインド解除。
呪術発動。クイダオレ。
さあ、その肉を片付けておくれ。残さずちゃあんと⋯⋯ネ?
「あ、ぁ、いやだ、いやだあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
おーおー、必死で貪ってやがるわぁ。嫌よ嫌よもナントヤラ、かしらぁ?
んじゃあとはヨロシクー。それ食べたあとは適当に食えば?ヒャハハハッ!
どうせ死ぬまで食い続けるしかないんだから!だぁれも呪術だとワカラナイ。わかったとしても解けやしない。かなしいねぇ、カナシイネェ!
⋯⋯インテリやニーナが見たら泣きそうね。
⋯⋯うん?誰だったっけ⋯⋯。
まいっか!
かーえろー!
あ、学園長には話しとかないとね。この娘のコト。従者で!
なに持ち帰ってるの⋯⋯。




