朝だと思ったかー!
まだまだ寝ないよ!
こんばんはぁー!ヴィリアちゃんだよ!
私はいま、森にいる!
学園の裏手、寮の裏の林から奥に進んでー。結界を壊さないように超えてー。
獣の息づく森の中!
いやー、なんだか動きたくてー、なんかねー!
森の中をてくてくと。
場所が変わると生えてるのも違うよねー!面白いよねー。
それにしても、ここはいい森ね。
人の手は入ってるけど、それを感じさせない様な。
美しい森。獣も、木々も⋯⋯生き生きしてるねぇ。
ほんと、元気が良くて⋯⋯。
「ギャギャゴャァ!」
襲ってくるんだけど!なんなの!
何こいつ!鳥?鳥だよね!脚四本あるけど!私の身長くらいあるけど!なにこいつ!
とりあえず面白そうだから斬る!
爪を装着!魔術、闇の爪!
飛びかかってくるのを、すれ違い様にズバーっと。
うーん、血がどばっと。
どばっと⋯⋯。
おいしそうなにおいするなぁコイツ!
食えるかな!食えるよね!
食う。
食わなきゃ勿体ないもの!
残したら起こられちゃうからね!
誰に?さあ?
翼を裂いて!
脚をちぎって!
胴体開いて!
ハラワタにがぶっと!
んー⋯⋯あれね。
結構油の多い⋯⋯。なんだろ、肥えてる!
焼くと美味しいやつ。焼こう。
火の玉ー、火力で一気にパリッと!
うわ、めっちゃ燃える。脂多いなぁ。これホントに鳥?
ま、いっか。
焼けたのをもぐもぐ。美味しい。
美味しいけど、フツー。フツーだー。
この鳥?はべつに食べなくてもいいやつだったねぇ。
残念。
まあいいや、とりあえずお腹は膨れたし⋯⋯戻ろうかな。
森を抜けて、林も抜けて、寮の前⋯⋯を通り過ぎて。
夜の学園をふらふら。
ひとっこひとり居ないねー、そりゃあそうか。
だぁれも居ない学園。ふわふわ。
浮きながらゆっくりとまわる。
だぁれもいない。
だぁれも⋯⋯
いた。
「っ!喰、血、死、死、死⋯⋯⋯⋯は、ヴィリア⋯⋯さん?」
「イエース、ヴィリアちゃんだよぉー?こんな時間にこんな場所に、どうしたのかなーっ!」
魔眼ちゃんだ。こんな夜更け⋯⋯と言っても日付は変わってないけど。一人でなにしてるのかなぁー?
「⋯⋯風景をみてたんです。文字の何も視えない風景を。」
おや、全部文字で認識してる訳じゃないんだね。
「ええ。⋯⋯クラウディア様も仰ってましたが、私は対象の感情と、纏うものが文字として視えます。」
「否応なしに、ってやつだねぇ?」
「そう、です。だから」
邪魔な文字のない、人の見えない風景が見たいと。
「⋯⋯はい。」
⋯⋯この子、多分人の姿も文字で埋め尽くされてるんだろうなぁ。
どうなってるのかなぁ、この魔眼。
「⋯⋯ねえ、魔眼ちゃん。」
「⋯⋯魔眼ちゃん⋯⋯やっぱり魔眼なんですね、これ⋯⋯。」
「愛国者のお嬢様も魔眼持ちって言ってたしねー、私からも魔眼に見えるからねぇー。」
「ヴィリアさんがそう言うのであれば、確定したようなものですよね⋯⋯。」
「そうでもないけどねー。フフフ!」
魔術は凄く得意で魔の将とかしてたけど完璧とか万能では無い!
「それで、なんだけどさ。ちょっとその眼、調べてみたいんだけどー。」
興味あるし。
「調べて、何かわかるのですか⋯⋯?」
「おや、今まで調べたことが?」
「⋯⋯はい。今まで様々な方が調べていきましたが⋯⋯何も分からなかったこの眼です。」
例えば。
「魔術士、神官、精霊学者、文学者、医師、他にも色々⋯⋯。」
とっかえひっかえかよ。
「ま、私が興味あるだけで、何かわかるかは知らないけど。ダメ?」
「⋯⋯いいえ、構わない⋯⋯です。ただし、一つ交換⋯⋯と言ってはなんですが。」
うん?
「私の、この眼を活かせる事を⋯⋯探してほしいです。魔術や、武術⋯⋯何かの職でもいいです。この眼があるのなら、私はこの眼を活かさないと。多少不便ですが、折角の天からのギフトです。持ち腐れはしたくない⋯⋯。」
本気の目だね。⋯⋯それにしてもギフト。ギフトときたかー。
「いい目をしてるね。承った!」
「はい。よろしくお願いします。」
「それじゃ、ちょっとみさせてもらってもいいかなー?」
「今ですか?」
「うん。邪魔なのが周りにないからねー、絶好の機会ってやつよー。ああ、こっちは気にせず風景を見ててくれていいから!」
「⋯⋯わかりました。」
よし。
では早速⋯⋯
魔術発動。コンセントレート。
魔術発動。コンセントレート。
魔術発動。探査。精査。
その魔眼を深くまで!
⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯。
情報量が多いわ!
しかもぐっちゃぐちゃ!
ええい、外部記憶領域が欲しい!
あ、魔石があったわ。それに入れよう。
ええ、魔獣の魔石ですとも。食べても美味しいハラカラの魔石!
そこに大量の情報を入れてと。
「⋯⋯ど、どうですか⋯⋯?」
「すごいね、すごくぐっちゃぐちゃ!整理するのに時間かかりそうだねぇ!」
1年くらい掃除サボった部屋みたいな!
「それは⋯⋯かなりグチャグチャですね⋯⋯。」
「だから整理するのに時間を貰うよ。ああ、頼みはちゃんと考えるからさ。」
そうそう、私の講義も受けて貰うからね。
「講義、決まったのですか。」
そう、講義。準備期間はあるけど。ただし口では説明しません!実践あるのみです!
「身体を動かすのですか?」
「魔術っていっても実際に使わないと解らない事とか多いしねー、だからこの国の地下でやんややんやとやるのさー!」
洞窟だけじゃなくて、森とかもね。
その中で君の眼も見させてもらおうかな。
「わかりました。できたら受けたいものでしたし⋯⋯是非。」
「決定だねー。話はしておくとも。」
さて、夜も更けてきました。
「それじゃ、私は戻るかな。魔眼ちゃん⋯⋯キラクテちゃんも夜更かしは程々にねー。」
「ありがとうございます。調査、よろしくお願いします。」
「わかったよー。んじゃ、おやすみなさい。」
さ、部屋に戻って寝るとするかー!
あの魔眼はなんだろーねー。




