VS騎士団長(稽古)。
これの一時間前にも投稿してますので注意ー。
アンナちゃんだよ。午後。あれから学園長にも話が行ったみたいで、全校生徒が見てるわ。クソが。
「グリムディア侯爵様、頑張ってください。」
「応援しております!」
「……ああ、うん……。」
応援されてもなぁ……。
「準備はいいか。」
「いいわけねーだろ……。大々的にバラしやがって……。」
「直ぐにバレると思うがな……。」
はぁ、まあいいや。やるからには、本気で。それを所望みたいだしー。
「では、始めよう。肩を借りるっ!」
「ああ、よろしくー。」
「では始める!双方共に、構えっ!」
学園長も張り切って出てきてやがらぁ。
「始めっ!」
騎士団長がゆっくり詰め寄ってくる。私はその場で構える。
「始めの一撃を、お願いするっ!」
「ハァ……わーったよ……。」
意識を切り替える。よし。それじゃあ、
「んじゃーやろーか。」
だめだわ、気分乗らねぇ……
「せいぜい楽しませてくれ。簡単に死ぬなよー小僧。」
「っふ、宜しく頼むッ!」
ほんの一瞬、殺気をぶちまける。観客から悲鳴。
突撃ー。
「っぐぉ……!」
真正面から突っ込んで、瞬きすらする間もなく右の剣を剣にぶち当てる。
「はい、一回目。」
左の剣が首元に。
「くそっ……!」
離れる。反応できてねー。
「簡単に死ぬなって……。」
「速すぎる……ッ!」
魔力開放。
「今度は本当に斬るから。避けてねー。」
治癒魔術を発動待機。修復魔術を発動待機。
さて。
「はい、二回目ー。避けろって。」
どてっ腹に剣が突き刺さる。そのまま左右に両断。
「ガフッ……」
回復ー。
「お前はサンドバッグか何かか?それとも案山子か?」
蹴り飛ばす。
「なんとか言ったらどうだ。」
「ぐ……!」
「本気出させてくれ?」
つまらん!
「一回仕切り直し。」
回復。
「っは、なんと……ッ!」
「なあ、本気出させてくれよ。つまんねーんだけどよ。」
「ここまでとは……!」
「もういい、今度は攻撃してくれ?稽古にしてやる。」
だっるー。
「すまない……ではいくっ!」
きたきた。まあ、普通に速い方。けどおっせー。
斬りかかってきた。
「そこに隙。」
蹴り飛ばす。あ、腹に穴開いた。
回復ー。
「くっ、これなら」
「はいだめー。」
「次」
「はい死んだー。」
「ウオォォ」
「うっせー。死ね」
「くそ」
「ほらまた死んだー。」
飽きてきました、はい。
「はー、はー、強い……。」
おっさん鍛えてもなぁ……。
「ほら、もっと出来るだろう。」
「宜しく頼むッ!」
もはや肩借してる感じ。一応この国で一番強いんだけど。
……経験があり過ぎるのも考え物かもなぁ……。
「ほら、脇が甘くなってきてるぞー。」
「っく!」
「あの騎士団長が、手も足も出ていないだと……。」
「す、凄い……。」
「これ見るだけでも稽古になる……!」
観客もまあ言いたいこといってるわ。
はー。
「もうそろそろ終わりでいいんじゃないかな……。」
「もう少しお願いしたいっ!」
「はー、わかったわかった。満足するまで付き合ってやらぁ。」
「有難い!」
攻撃してくる所の隙、防御の隙を突く。あえてこっちが隙を作って、そこを打たせる。流すけど。
「今のはいいねぇ。」
「っはい!」
あ、完全に初心に戻ってら。あー。なんか。
「……なんつーか、こーいうノリ、嫌いじゃないんだよなぁ。」
少しやる気出てきた。
「ふふ、無茶が出来るのも久し振りだろう?」
「本当、だっ!」
なかなかいい動きになってきた。……こいつもなかなか適応力があるみたいで。
「さあどんどん速くしてみるか!」
「お願いするっ!」
だんだん速くなる。おお、ついてくるか。
その場で打ち合う形で、連撃の応酬。
楽しくなってきた。
「っはは、いいね!流石かな!」
「っ、だが、まだまだ……っ!」
「未だ上を目指すか、素晴らしいね!」
けど、そろそろ。
「くっ……!?」
ついに剣がブレる。最速の状況を長くやってたらそうなるよね。
「限界かなっ!」
すくい上げるように、吹き飛ばす。
「ぐぁっ!っは、はあ、はあ……。」
「さて、そろそろ終いだよ。」
「は、は、では、最後に、一撃、お願い、しますッ!」
「わかった。」
構え。
本気の、神速の一撃ッ!
一瞬、それで首筋に剣が添えられる。
「は……。」
「以上。」
剣を収める。
「有難う御座いましたッ!」
「そ、そこまでっ!」
拍手が巻き起こる。ふー。
「是非、またお願いしたいっ!」
「あー、うん。機会があればね。」
……かーえろ。
騎士団長は初心を忘れないおじさま。どっしりと構え、若い者からも学ぶ姿勢もあり、相互に高め合うため騎士団の練度も高い。また気配り上手で綺麗好き。人を見極める目もあり、能力に応じて適切な判断もできる。そのため部下からの信頼も厚い。あと、今でもかなりモテるらしい。
って城勤めの侍女から聞いた。(アンナ調べ)