我、既ニ。
さあ、突っ走ろうか。
化物トナリシ⋯⋯。
ヤッホウ!アンナちゃん⋯⋯改め!ヴィリアちゃんだよ!
王都の⋯⋯黒い森に向かってマース!
「⋯⋯アンナさん。一つ、聞いていいかな?」
「何ー?レーネリアちゃん。」
「なんでヴィリアなんだ?」
「⋯⋯エー、適当?フルネーム短縮?略しすギ?」
「略しすぎだろうそりゃあ⋯⋯。」
「⋯⋯なんとも、アンナ様らしいですなぁ⋯⋯。」
どーいう事ですかねぇそれは。
目を逸らすんじゃあない。
「それより姉御。王都に入るんだからその姿はどうにかならねぇのか?」
⋯⋯あー。真っ黒だし靄出てるし赤い目だシ。
「⋯⋯幻影面倒クサイ!」
「フードでも被ったらどうかなーっとォ。」
「ソースルワ!」
フードフード⋯⋯食料ではない。
ヴィリアちゃんはローブを被った!
怪しさが増した!
「これで問題ナカロウ⋯⋯フフフフフフ⋯⋯。」
「⋯⋯まあいいか。」
王都に入るよ!
王都に入ったよ!
「しっかしまァ、人居ねぇなァ。」
「そりゃあ⋯⋯皆、引き篭もってますし。」
「戦える奴等は全部出ちまったしな。」
「俺達を除いて⋯⋯だけどな。」
うーん、末期ダネー。
「こーいうの、なんつーか。アレだねェ。外には魔獣、中は末期。レプリエイラの災厄まんまだわ。」
「ココが最後の砦ではナイけどネ。」
「そいつぁウチの国でやんねーとなァ。」
⋯⋯レーネリアちゃん、知ってるんだ。
「ソレルに、な。」
⋯⋯ソレル。
っていうと⋯⋯⋯⋯精霊王!?
「の、分体だね。やらかして魔獣に成りかけた所を助けて貰っ⋯⋯ごめんなさい。」
「いや⋯⋯いいノヨ⋯⋯精霊王は気まマグれだっていうシ⋯⋯。」
私はむしろもっとやれされた感じあるけど。
それにしても⋯⋯。
⋯⋯なんとなく、わかった。
精霊王が気にしてる奴っての、レーネリアちゃんだ。
多分、白い身体に紅い目ってのが⋯⋯昔は違ったし、何かされたのかもね。
まあ、いいや。
さて、そろそろ王都の真ん中辺りを過ぎる。
城を横目に、協会の前を通って。
学園の横を通り過ぎて。
森の前。
「誰かいるねェ。」
女⋯⋯が、二人。協会の服着てる。
「ようやく見つけましたわ!」
「全く⋯⋯まさかこうなろうとはな。」
聞き覚えがある声!
「御機嫌様、アンナ。」
「姿は変われど、魂は変わらないな。」
⋯⋯え?
「っふふ!覚えてないかもしれないけど⋯⋯私達は言ったわよ?」
「戦える年齢になったらまた、会おうと⋯⋯な。」
⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯!
「ええと、スティティーラと⋯⋯レティシア姉様!」
うわ、完全に忘れてたわ。
何故、ここに。
「私達は⋯⋯守護神の暴走を止めたいのよ。」
「とはいえ、神には勝てようもなし。」
「ならば、それの出来る者に。」
「道程は過酷、だが露払いは出来よう。」
「そうでしょう?アンナ。」
⋯⋯そっか。
「⋯⋯ハッ!愛されてんなァ、アンナさんよォ⋯⋯。」
⋯⋯。
「着イテ来たいナラ勝手にシナ。」
「ええ、勝手にさせて貰うわ。」
「頼んだぞ。」
同行者が二人増えたよ!
という訳で、森へ侵入シマース!
森。
「⋯⋯鳥の声も聞こえない。」
「不気味だぜ⋯⋯。」
何時もの森とは、様子がかなり違う。
花は草臥れ、葉は萎れ。
地面には倒れた獣の死骸。
虫すら湧かず、ただ腐るのみ。
そんな中を、ひたすら進む。
「嫌な気配。」
「チッ。なんて有様だクソッタレ。森が死んでやがる。」
⋯⋯。
魔術発動、探査。
⋯⋯。
敵性反応⋯⋯周囲に、凄まじい量!
「気をツケろ!」
警戒。
しかし、魔獣の姿は無し。
「いや、マテ。違う、コレは。」
「どうしたの?」
周りを見渡す。
探査の反応、これは。
「木⋯⋯から、敵性反応?」
「何?」
「皆、気をつけなさい。ここは既に⋯⋯守護神の腹の中の様だ。」
木がざわめく。
しかし、動きはしない。
「いつ動き出すかわからんな⋯⋯。」
「なら、斬ってしまえばよくって?」
⋯⋯レティシアが一本斬っちゃったよ。
木々がざわめく。
「何も起こりませんわね!」
「お前な⋯⋯まあ、いい。」
警戒しながら、進みましょ。
「さて、そろそろか。」
「彼処から、黒くなっているな。」
「行きましょう。」
黒の森へ。
全員が入っても、何も起こらない。
「⋯⋯進むぞ。」
「こりゃ、待ち構えてんなァ⋯⋯。」
また進⋯⋯っ!
「おい!後ろの道が!」
「ッチ!」
後ろ、木々が動いて。
枝が絡まり蔦が伸び、道が塞がったよ!
「ヨウコソ⋯⋯我ガ森ヘ⋯⋯。歓迎スルワ、盛大ニネ!アッハハハハハハ!」
周囲、反応多数!
「サモン・トレイル!」
「魔獣だ!」
「囲まれてるぞ!」
チッ!
「突っ切ルよ!」
「殿は私が行こう!」
「ヨロシク!」
スティティーラを後ろに、前には⋯⋯。
「私ガイキマスワァー!オーホホホホホ!」
⋯⋯バーサーカー。
もとい、レティシアを!⋯⋯いつ発動したんだよ。
「サッキデスワー!オホホホホ!」
突貫力なら最強だよ、アンタ⋯⋯。
レティシアが蹴散らした道を、突き進む。
「獣風情ガ、正義ノ前ニハ無意味ヨ!」
後ろも殺ってるわ。
「我ガ神ハ貴様等ヲ否定スル!」
魔獣、じゃない所がミソ、ね。
「オ前ヲ否定シテハ、ナ。」
⋯⋯そうね。魔獣⋯⋯だものね。
蹴散らし損ねたのを狩って、まだ進む!
「オーッホッホッホッホ!ネェ!コッチデヨカッタワネ!」
あってるわ。
ああ、そこの一段高い所に行って。
「ワカッタワー!」
上にも魔獣、けれどそれもレティシアが蹴散らして。
その先。
光の差す、広場。
「ツイタワー!」
「追ッテハコナイカ。」
「⋯⋯あれは。」
広場の中央。
佇むモノ。
「遅カッタネ⋯⋯。言葉ハ、イルカナ?」
「要ラナイ、ヨネェ。」
「私ヲ殺シニ来タノデショウ?」
「私ヲ喰ライニ来タノデショウ?」
「ソシテ、死ニニ⋯⋯来タノデショウ。」
「ナラ、語ル事モ無シ。」
「輪廻ノ先ニ、送ッテアゲル。」
「森黒神、トレイルガ⋯⋯貴様等ヲ屠ッテクレヨウ。」
黒キ森ニ、惑イ果テヨ。
魔獣化 森黒神 トレイル・ドライアーディが 勝負を 仕掛けてきた!
強化版ラディーちゃん。