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悪役令嬢(壊)の楽しいエンドレス人生!  作者: りんねしん(邪神)
3180周目!
182/204

デイ・オブ・ディサイド、イン⋯⋯。

決意、決断、決別の時。

「諸君!時は来た。」


城の正面から続く大通り。その先の、南門。


「諸君!時は来た!」


そこにある、前広場。


「この日を待ちわびていた。」


並ぶ騎士。


「ここまで長く、永い時であった。」


並ぶ兵士。


「外と断絶され。」


集う傭兵。


「友や、家族は喰われた。」


集う探索者。


「耐え忍び、嘆いてきた。」


集まる有志。


「しかし、その時も終わりだ。」


そのどれもが。


「今こそ、我等の力を見せ付ける時。」


覚悟し。


「愚かな影に、人の力を見せつけてやろう。」


高揚し。


「我々に歯向かう事を後悔させてやろう。」


その瞳に。


「今こそ、時は来たれり!」


その魂に。


「諸君は!我々は、奴等を喰らい尽くせる者だ!」


決死の光を宿す。


「さあ、行くぞ諸君!決戦の時だ!」


門が開く。


とてつもない量の魔獣が、見える。しかしその奥には、人の大軍が見える!


「前だけを見続けよ!」


彼等の希望が膨れ上がる。


「全軍!」


我こそはと、息巻く。


「突撃!」


王を筆頭(・・)に、走り出す。


死の濁流を突き抜ける為に。




どうも⋯⋯アンナちゃんよ。


私はまだ王都にいます。


王率いる第一波で道を開け、第二波を続かせて確実に通る。みたいな。


「第二陣!行くぞ!」


率いるのはクソ王弟。妹ちゃんや、ルナーラ達もそこに。


進んでいく彼等を見送って。


⋯⋯。


皆、行ってしまったわ。


『行かないのォ?』


私は、別の用事。


『アレなら、今⋯⋯そうだねぇ、このまま行くと第二波にぶつかるかなぁー。』


本当に?


『ホントだよー、おまんじゅううそつかない。』


⋯⋯そう。わかったわ。


なら、私も行きますか。


外壁を飛び越えて。


いざ、黒い濁流へ。




しばらくふわふわ、見渡して。


魔術、探査。


反応の強いのが、幾つかあるわね。


『アッチだよー。』


そう、なら行きましょう。


急降下。真下にいる同胞を踏み潰して。


⋯⋯サァ。始メヨウ。


魔術発動、ロア・スクリーム!


世界に、響かせる様に。


大きく息を吸って、吐いて。そして吸ってー!


「『GRRRRRRRRRRRRRRRAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!』」


全てが、一瞬硬直する。


さぁ、さぁ。


私のお通りよっ!


剣を抜く。先ずは先制!


禁術発動!ブラスティラヴァ!


「喰RAイなァ!」


焼ける同胞、道ができる!


魔術発動、風の刃!剣に纏わせ、刀身を長く!


そこに⋯⋯黒いのを混ぜて、真っ黒な刀身に!


「さーァ、踊りMAショ。」


一振りで、塗れ手に粟みたいに!


どんどん斬る!そして進む!


「死にたい奴カラKIナさいなァ!」


雑兵共ガ、邪魔ナノヨネ!


斬っても斬ってもわらわら来ますわねぇ。


斬る度にこちらは美味しいケドネ。


『ソロソロ、ぶつかるヨ。』


それはいけない、さっきと進もう。


魔術発動。コンセントレート。


禁術発動!ワールシュトゥーム!


回転、前に、貫く様に!


「雑兵ハ失SEヨ!」


吹っ飛び、吹き飛び、切り裂かれ、散らされる同胞!


道は出来た!そこを突き進む!


そうして風が、何かにぶつかって。


「『見ィTUケたぁ。』」


人など優に握りつぶせるほどの右腕。その先に付いた狼の顎。


太く、しなやかに、異形の姿をとるワームの左腕。その先に付いた、巨大な鋏のようになった鳥の嘴。


強固、頑強、筋肉の塊が下半身を形成し、その先に付くのは巨木かと見間違えるほどの猪の四本脚。


上半身は筋骨隆々、爛れた皮膚が禍々しいオークの身体。


そして頭は鳥の羽が埋め尽くし、その中から巨大なうさぎの一本角。狼の口に、禍々しく乱杭歯が生える。


羽の合間から見えるは、歪に肥大化した片目、もう片方の眼窩は角が飛び出す。


立ち上がった姿は木々を突き抜け、動けば木々をなぎ倒す。


それら全てがさらに巨大に、そして黒く染まって。


魔力線が、全てに履い回る。


暴走、暴食、災厄。


喰らいしモノ。


「久しぶRIネ⋯⋯蠱毒ノ王!」


こちらを振り向いた。⋯⋯おや、その向こうには。


「お姉様!」


やっほう、妹ちゃん。てことは第二波にぶつかってたのね。


『ギリギリセーフカナー?』


いや、進行ルートど真ん中にコイツがいるわ。


そして、第二波は止まってしまった。


⋯⋯チッ。


『アウトだったカー。』


第一波が作った道が塞がる。


「囲まれたぞ!」


「くっ、どうする!」


⋯⋯とりあえず、コイツを退かさないと進めないわね。


「GGGGGGGGGGGGGRHHHHHH!!」


ウルセェんだよ、醜悪な。


魔術発動、コンセントレート。


魔術発動、コンセントレイト・マグナ!


禁術発動、 エクスデトネイト!


邪魔なモノは、ぶっ飛ばすに限るわ!


「そゥラ!地の果テまで飛ンDEイケェ!」


大爆発!どうかしら!


爆煙を風で晴らす。⋯⋯マジかよ。


地面に下がった跡があるだけで、10mも動いてねえ⋯⋯。


「GGGGGGGGGGRRRRHHHHHHHHOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」


大咆哮!ウルセェ!


「GRRRR⋯⋯HARAKARAYO⋯⋯JYOUOUYO⋯⋯NANIYUEWARENIYAIBAWOMUKERU⋯⋯。」


⋯⋯え?


「GGA⋯⋯ッ⋯⋯。同胞ヨ⋯⋯女王ヨ⋯⋯何故我ニ刃ヲ向ケル⋯⋯。」


し、喋った⋯⋯!


「問オウ、我等ガ同胞ヨ!問オウ、我等ガ女王ヲ抱キシ⋯⋯輪廻ノ申シ子ヨ!何故ソノ姿ヲ惑ワス!何故、我等ト共ニ喰ラワン!」


蠱毒ノ王からの問い。


まさしく、それは私に向けてのもの⋯⋯。


「アンナ⋯⋯どういう事だ。」


「アンナさん⋯⋯?」


「お姉様⋯⋯?」


ましてや、コイツらの眼前で。


『コレハ⋯⋯答えないと、不味いヨネ。』


⋯⋯どう、答えろと!


『ナラ、私ガ答えてアゲヨウネ?』


え、ちょっと!


『クヒヒヒヒヒッ!』


私の影から、出てくる⋯⋯!


「お姉様の影が⋯⋯!?」


「クヒヒヒヒッ!ソレハネェ、コノ子ガ未ダニ人間デアル事ニ拘ッテルカラダヨォ。クヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!」


「我等ガ!女王!オ会イシトウゴザイマシタ!」


「ソウダヨネェ、アンナちゃん?クヒヒヒッ!」


やめろ。


「故郷ノ為ニ、姿ヲ偽ッテ。未ダ人間デアロウトスル心。素敵よねぇ。」


「けど、優シイ幻影モココデ終わり。モウ、その時ナンダヨ。」


「ナルホド、我等ガ女王。コノ申シ子ハ、その為ニ。」


やめろ!


「貴女の幻影、既に解析は終わってるんだヨ。ダカラ⋯⋯。」


「私ガ⋯⋯。シェイドクイン・レプリエイラが!貴女の優しい嘘を壊してあげるわ!」


「ヤメロッ!」


レプリエイラに向かって剣を振る。けれど、それも止められて。


「幻影、解除♪クヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!」


あぁ。


ここまで、かしら⋯⋯。


残念、ね。


「お姉様⋯⋯なの⋯⋯?」


「魔獣⋯⋯!」


「人型の魔獣⋯⋯だったのか!」


赤く光る目。全身は既に、黒く。黒い靄が、身体から立ち上る。


「人間だと騙して⋯⋯!」


「最初から⋯⋯!」


「シレーティナ、さん⋯⋯。」


「⋯⋯。そっ、か。」


ああ。


「そんな⋯⋯あんな姿が⋯⋯あれがお姉様である筈は⋯⋯。」


ああ。


やっぱり。


「私ハ、マダ⋯⋯人間デ⋯⋯。」


「そんな姿が!人間である筈はないだろう!この魔獣め!」


猛烈なる糾弾の声。


「お姉様を何処へやったの!この化物ッ!お姉様を返せっ!」


それは、何度も聞いた⋯⋯。


「相手は協力な魔獣です!気を引き締めてっ!」


私⋯⋯は⋯⋯。


「⋯⋯アーァ。クヒッ。クヒヒヒヒッ。」


「歓迎シヨウ、同胞ヨ。偽リノ時ハ、終ワリダ。」


そして、優しく歓迎する声。


私は、イツデモ、そこに向かって⋯⋯。


後悔。


怒り。


そして。


暴食ノ欲求⋯⋯⋯!


「ッ⋯⋯ああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアAAAAAAAAAAAAAAA!!!」


フザケルナ


ソンナニ喰イタイナラ


私ガ全テ


喰ライ尽シテヤル。


「ソウダネ⋯⋯。一緒ニ、食ベヨ、ネ?私ノ愛シイアンナチャン。」


いいだろうよォ!


「⋯⋯アッハ!クヒハハハハハハハハハハッ!来た、今こそ決断の時ッ!さあさあ皆様ゴ照覧アレ!これが!」


「世界ヲ喰ライシモノの宴ダヨォッ!クヒヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!」


そして世界に響く声。


「我等ガ同胞ヨ、今コソ!我ガ名ノ下ニ集ワン!」


「⋯⋯アハッ。サモン・トレイル。シェイド・ビースト。」


それは、地に這う神なる声。


「我等ガ女王ノ、愛シキ同胞。全テ、私ノ声ニ従エ。」


身体が、否応なく反応する。


「トレイル・トレイン・ロア・ア・ロア。」


ガクン、と。意識が引っ張られる。


「サアサア楽しんで行こう!黒い世界、楽しまなきゃ損損!」


「女王ノ仰セノママニ。」


「サア、唄オウ。」


魔獣の唄ヲ!


「喰ラエ、喰ラエ、眼前ヲ!」


「喰ラエ、喰ラエ、同胞ヲ!」


「犯セ、犯セ、動クモノヲ!」


「犯セ、犯セ、不動ノモノヲ!」


「染メロ、染メロ、色付クモノヲ!」


「染メロ、染メロ、色無キモノヲ!」


「「「「我等ガ主ハ此処デ唄ウ!」」」」


オーケー、私ハ。


「セッカクの魔獣ナンダ!楽しまなきゃネェ!アハハハハハハッ!」


ソーユーコトダカラサァ。


「もくひょー、ソコの⋯⋯私を化物ダト言った奴ラ。」


キミタチガ私ヲ化物ニシタンダヨォ?


ダカラ。


「責任⋯⋯トッテヨネェーッ!ヒャハハハハハハハハッ!」


狂笑!眼孔開イテルカモッ!


「ソウラ、アンナチャンノオ通リダァ!」


双剣両手ニ、突撃ーッ!


「来るぞ⋯⋯がふっ⋯⋯。」


ソーレッ!マズハクソ王子ィ!


「サリィっ!嫌⋯⋯!」


旦那ノ事心配シテル暇アルノカナァッ!


「嫌、い⋯⋯やぁ⋯⋯。」


ジャーネッ!地雷女!


「⋯⋯撤退っ!アレから⋯⋯何としてでも逃げるのよっ!」


アレ。アレ。アレカァ!


妹チャン、言ッテクレルネェッ!


「させん!」


「エリーナ様だけは!」


ッチ、面倒ナ護衛騎士ネッ!


家ノ奴等ナガラ、面倒クサイ!


「シレーティナさん⋯⋯残念です。」


「殿は俺達が行くッ!」


「ニーナ!ルナーラ様を!」


「⋯⋯わかった。生きて戻ってっ!」


「おうよ!」


「ああ!」


三人組⋯⋯チッ!


「デハ私ハ、女王ト共ニ。」


「そだねー、ここはアンナちゃんに任せて⋯⋯先に行った王を追うねエ。」


「御意。」


ヨロシク!


先ニ進ムレプリエイラト蠱毒ノ王。


ソレトハ別ノ方向ニ、撤退スル彼等。


私ハ、コレヲ追イカケル!


「そうはさせねぇ!」


「勝てる見込は余りない⋯⋯だが!」


立チ塞ガル護衛騎士ト、強力ナ探索者二人。


「ナラ、コウスルヨネェ!行ケ、同胞ヨ!」


周囲ニ沢山イルンダカラ、使ッテモ構ワナイヨネェ!


「問題ナイヨー!」


許可キタ!


「⋯⋯ッチ!」


「もはや心まで魔獣になったか!シレーティナ!」


⋯⋯コイツラ、マダ、私ヲ。


「問題、ナイヨネー?トレイル・トレイン・ロア・ア・ロア♪」


⋯⋯ソウ、ネ。


問題ナーシ!


「アッハハハハハー!ソウラ!喰ライ尽セェ!」


突撃、肉薄!


右腕ヲ⋯⋯狼ノ顎ニ!


「イタダキマァス!」


「クソがっ!」


ッチ、避ケタ!ケド、剣ヲ喰ッタヨ!


不味イー。


ペッ。


気ヲ取直シテ、モッカイ!


「同じ手に乗るかよ!」


オットット。アブナー。三方向カラ同時トカ。


「くらえ、フレイムアロー!」


熱ッ!クナーイ!


「魔獣ニ魔術ハ効カナインダヨォ?ヒヒャヒャヒャッ!」


「やっぱりかっ!」


アー、ソロソロ妹チャンモ逃ゲレタカナー。


「何シテルノ?トレイル・トレイン・ロア・ア・ロア♪」


ガ、ギギッ⋯⋯。


⋯⋯ヤメテ。


「ヤメナーイ♪」


ヤメテヨ⋯⋯。


「様子が⋯⋯今だっ!」


突撃キタ!


「邪魔クサイ、全部燃エロォ!」


禁術発動!ブラスティ⋯⋯


「させねぇよォーってなァ!ぎゃははははっ!」


後ロ!?


「ガファッ!?」


イッ、タァ!


「よーう、とうとう人まで殺る様になっちまったかァ。なあ、アンナさんよーォ。」


コノ声⋯⋯ハ。


振リ返ル。⋯⋯白イ。


髪モ、身体モ、服モ白。目ハ仮面デ覆ワレテ。


手ニ持ツノハ、巨大ナ⋯⋯メイス。


「久しぶりですねーェ。レーネリアでぇす。助太刀に来たケド、敵だったよー。」


⋯⋯四人組ノ、アノ子。


「ナンデ、ココニ⋯⋯。」


「兄弟国が危機ってんで、あの馬鹿アウルが行くぞ!って。ンヒヒッ、こちとら魔獣の殺し方は大体分かってんだぁー。」


⋯⋯ソウ。


ナラ!


「私ヲ殺シテ見セナサイナァ!」


「いいだろうよォ!」


⋯⋯私を。


殺して。


「キヒャヒャッ。トレイル・トレイン・ロア・ア・ロア♪」


ガギガガガッ。







我ニ従エ⋯⋯。

我ニ従エ⋯⋯。

我ニ従エ⋯⋯。

我ニ従エ⋯⋯。

我ニ従エ⋯⋯。

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