予想通りってすげーよね。
第一王子と駄弁るだけ。
やっほう、アンナちゃんだよー。もりの なかに いる!
「それで、どうなったのだ。」
「第二王子ったら不信買ってやがんの!信仰の力って怖いからねぇ。とりあえず民衆の信心深い所と神殿から不信が広がる様にね。」
「噂を広めるのか。」
「正解。影動かして、噂好きの人に伝わる様に。後は、自然とね。」
「ちなみにだが、どんな噂だ。」
「第二王子は神から祝福を拒まれた、神の森を穢した野郎は第二王子の命令で動いていた、第二王子は第一王子を殺そうとした、第一王子は今修行中、どなど。」
「……実際にあった事だな。」
「そうそう、噂だからね、ここからどんな尾ひれが付くか……。」
楽しみだね!
「ちなみにこの噂、貴族にも流れてるよ。もちろん、神殿にもね。」
逃げ場はない。
「それと、周辺の……というより、この国全土に広めてまっす!」
逃げ場はなぁい!!!
「噂が広がるにつれ立場が弱くなるんじゃないかな。この国一神教だし。神殿は政治に介入しないけど、力は凄まじいからね。」
「そうだな、この国を動かすには神殿との関係が必要不可欠だからな……。」
そこを、最悪な関係にしたのが第二王子。ほんと、バカだねぇ。既に第一王子を帰還させて次代の王にしろ、あのバカを消せって声もあるらしいね。
「そーいや貴方は信心深い?」
「……そうだな、盲信するほどではないが。国を創った神だからな。神としても、古強者としても、国の祖としても信仰できる。」
「あっはは、ならよかった。第一王子は信心深いって噂流しちゃったし。」
「……まあ、なんだ。朝の祈りは毎日している。あと食事のな。」
「いい子だね。」
「い、いい子……。」
私も食事の祈りはちゃんとしてるよ!美味しいご飯ありがとーってね!
「……それにしても、グリムディア侯爵は時たま年上に見える。」
「……一応、私もレディーなんだが。」
「……すまない。だが、何故その様な……強者の貫禄というか……?」
「……色々あるんだよ……。」
「そ、そうか……。」
聞くな。
「あ、そうそう。もうすぐ王が死ぬから準備しといて。」
「……何故わかる。」
「んふふ、女の話って怖いよね。」
ポロッと、重大な事を口にする。
「……そうか。」
「ま、私も余りそういうのは言っちゃいけないって毎度言ってるけどね。」
なかなか、ね。
「まあいい。となると私がどこにいるかわからない内に弟が王になるか。そして。」
「バカやり始めた所に君が神と共に出てくる、って訳。民衆と神殿を味方につけて、第二王子を降ろす。」
「……なあ、何故そこまで私を王にしようとする?」
「何故、ねえ。」
試したことの無い事。楽しいからさ。
「この国には君が必要だろうよ。」
それに。
「今回の事で、隣の国……仮想敵国のやつだ、あれ。あれがきな臭い動きしてるらしい。第二王子の所もな。」
「……まさか、な。」
ニタリと笑い。
「そのまさかさ!やっぱりアレはバカだ、国を売るつもりかな!もはや売国奴と言っていい!」
「何故、だ?」
「民衆を黙らせるには武力、それを貸与するってんで飛び付いた訳よ!その後に起こる事なんざバカでも解るってのにな!周りは反対してたみたいだけど、独りでやりやがった!」
正真正銘の大馬鹿。
「……お前が馬鹿だと言う理由が解ったよ。我が弟ながら、大馬鹿者だ……。」
うなだれてやんのー。
「そーいう訳なので。兵を動かす準備もね。騎士団は動いてくれるからね。声かけだけして、他を。」
王都の騎士団、その団長は国想いの名士。交流を計ったけどなかなか、見極めが上手い人だったよ。あの人なら大丈夫だろーよ。
「騎士団長は動くか。解った。ならば他の者にも声をかけよう。国を失う訳にはいかないからな。」
「うん、宜しく。戦う時は私も出るからね。」
「ああ、頼む。」
暴れたいだけ、なんだけどね。
「さて、私はそろそろ学園に戻らないといけない。あーーーめんどくさーーーい。」
「まあ、そう言うな。必要な事だろう。」
「なんで既に解ってる事もっかいやんねーといけねーのよ。つーか私領地があるんだけど。滞るんだけど!」
「そ、そうだな……。」
「さっさと養子でもとろうかなぁ……。」
「……養子か。」
「二人ぐらい。そんで鍛えて、片方は表、片方は裏でサポートみたいにねー。ああ、片方は表の婚約者でもいいかな。」
勝手な未来予想図。本当にこうするかは、その時までわかんない。
「こちらでも考えておこうか?」
「んー、とりあえずよろしくー。候補だけね。」
「わかったよ。」
「それじゃ、そろそろ戻るわ。また来るよ。」
「ああ、またな。」
寮にもどりまーーー。
第一王子「今更すぎるけど何故こいつはタメ口なのだろうか……。」