雷雲轟キ影ハ唄ウ。
雨なんて気にするな!
どうも、アンナちゃんですよー。
すっごい土砂降り!雨で煙って先が見にくいわ!
ぼーっと見てたでっかい雲、あれの下すっごい雨!雨だよ雨!!!
大雨のカーテンと対面衝突!
いやあ、もうすっごい。しかもどうやらかなりでっかい雲だったみたいで。
雷すっごい落ちてる!風が強っよい!横殴りの雨!
いやー、これは凄いわ。スーパーセルってやつかしら。
そんな雨の中を、馬車の群れは走っていく。
馬がびっくりしまくってるけど、なんとか宥めてるね。
⋯⋯歩くよりかは断然速いけど、まーゆっくりした速さ。
この調子だと⋯⋯街に着くのは夕暮れ近くかしら。
すでに日がかなり傾いている頃だけどね。雲で見えないけど!
つまりもう直ぐ見えてくるって事で。
なんでわかるかって?そりゃああれよ、魔術便利って事で。
探査と遠視とグローバ・ポインティー・サーチャを駆使して。
いやー、本当に便利よねー。
⋯⋯あ。
ハラカラが街に着いた。
戦端が開いたね、街の外壁を攻略中かな。
⋯⋯この馬車の一団はその真っ只中に突っ込んでいく訳だ。
いやぁ、楽しみね。っふふふふふ。
さてさて?準備しておこうかしらぁ?
あはははははっ!
「街が見えたぞ!」
「もう直ぐだな!」
到着予想、ぴったり。
日が出ているなら、夕暮れ時。
今は曇天、豪雨、雨で視界がすこぶる悪い。
んー、外壁はまだ持ち堪えてるね。頑張るわねぇ。
というかハラカラも前見えてねえなこれ。外壁のでかい影を目標にしてはいるみたいだけど。
群れの半数は、周囲を彷徨いたりしてるね。攻撃待機してたりするのもいる。
途切れない攻撃か、やるねぇ。
知能の高い獣がいるかも。まあ、今はハラカラになってるけどね。
さてさて、皆様街へと急ぐのは宜しいですけど。
探査には⋯⋯周囲一帯にハラカラがたーくさん。
視界が悪くてまだ見つかってないけれど、それもそろそろ限界ですわぁ。
剣を抜く。馬車の上に立つ。魔術を待機状態に。
馬車の何人かが私に気付いた。
「姉御!何してるんです!」
「シレーティナさん!何を⋯⋯まさか!」
剣で前方を指す。
刹那、背後に落雷。
街の周りを埋め尽くす、黒い影。
落雷に反応したか、こちらを見る数多の赤い双眸。
「ま⋯⋯魔獣だぁ!」
「囲まれてる!」
「やべえ、多過ぎる⋯⋯!」
「戦闘態勢ーッ!」
「いや撤退だここは!」
ああ、五月蝿い。
魔術発動。ロア・スクリーム。
大きく息を吸ってー。吐いてー。もっかい吸ってー。さらに吸ってー!
響ケヤ響ケ、世界ヨ震エロ。
「GGGGGGGGGAAAAAAAAAAAAAARRRRRRRAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHHHHHH■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」
一瞬の静寂!馬も、人も、雨も、雷も、風も雲もハラカラも!全て全テ停止する咆哮!
よし。
ほら、お前等退きなさい。
私の食事の邪魔をしないで頂戴な。
「姉御!無茶です!」
五月蝿い、早く動いてよ。
おっと、ハラカラが一匹突っ込んできた。
右腕、変形、大針。手から直接出す形で。
突っ込んでくる勢いそのままに、串刺しと。お、果実あるじゃん美味しい。
「や、闇魔術か⋯⋯?」
考えてないで動きなさい、ノロマ。
その時間でお前等が退ける時間も私が退く時間も無くなるのよ。
「早く退きましょう!」
「そ、そうだな、撤退!⋯⋯すまねぇ姉御!」
「必ず戻って来てくださいね!」
はいはい。
おっと、馬車に近付こうとするハラカラ発見。
魔術発動、ストリーマ。撃ち抜く。
あ、撃ったハラカラに雷落ちた。面白いわ。
馬車を見送って、と。ああ、私の馬車はあるわ。
さてさて。
それじゃ、食事いってきまーす。
浮遊して。とりあえず一番近くのハラカラを切り飛ばす。
あ、そうだ。右腕、変形させて剣に纏わせましょ。
ぐにぐに、みょーんと。よし、これで斬りながら食べられるね。
それじゃ、頂キマス!
「GARRR!」
「GRHAAAA!」
アッハ、踊り食いの食べ放題!泣き喚いても容赦はなし!
魔術発動!風の刃!黒いモノをたっくさん乗せて!
ああ、今なら幻影は要らないわねぇ⋯⋯!
さあ無双演舞と洒落込みますわ!
突撃ー!!!
回転、斬撃、風の刃、ラヴァ、ラヴァ、跳躍、雷撃!
着地、右腕、地面に刺して。広域、展開、影の大針!
「喰ラエ♪喰ラエ♪眼前ヲ♪」
斬撃、斬撃、バックステップ、チャージ、横薙ぎ、斬撃波!
氷、生成、風に乗せて。回転、発動、ブリザード!
ラヴァ、ラヴァ、テレキネス!依り代、形成!メテオラヴァ!
「喰ラエ♪喰ラエ♪同胞ヲ♪」
ブラスト!ブラスト!コンセントレート!保留、斬撃、風の刃!
ストーム、ラヴァ、コンセントレート!保留、禁術!ワールシュトゥーム!
「侵セ♪侵セ♪動クモノヲ♪」
右腕、横薙ぎ、抉る爪!突撃、回転、斬撃波!
チャージ、狙って、剣を上に!貫ケ斬撃、クロススラッシュ!
保留、解放、コンセントレート。エクス、マグナ、連結セヨ!
「侵セ♪侵セ♪不動ノモノヲ♪」
想像、創造、放出セヨ!全テ、全テ、世界ニ轟ケ!
「染メRO、染MEロ!一ツNO色NI!」
創造、発動!ヴェル・ヴォルカノ・エクスプロード・ラヴァ!
噴出!
爆炎!!
大ッ!!!
爆ー!!!!
破ァーーー!!!!!
アーッハッハッハッハッハーーー!!!!!
辺り一面紅蓮に塗れて!全部全部灰になーれっ!
⋯⋯ふぅ。
楽しかった。
途中からなんか愉しくなっちゃって喰ってないわ。
失敗失敗!
さて、と。ハラカラはもう居ないね、逃げたのもいるか。まあいいや。
馬車に戻りましょ⋯⋯⋯⋯あれ。
アイツら、退いたと思ったら体制立て直して戻ってきてやんの。
で。
完全に、ぽかーんとしてるわ。
っとと、幻影纏わないと。炎を背にしてるから気付かれてないっぽいけど。
⋯⋯よし。
馬車を連れて、近付こうじゃないの。
ふわり、ふわりと。視線を合わせると、ビクリ、とする。ふーむ。
目の前、少し離れて停止。
「姉御⋯⋯だよ、な?」
そうですが。
「姉御⋯⋯大魔術師、だったのか。」
大?知らない。私はしがない旅の者よー。
「⋯⋯何者、なんだ。」
今は、何者でもないわねぇ。
それより、真下。
ステップ。飛び出てくるハラカラ、その先には⋯⋯右腕の剣。
両断、っと。果実は無し。チッ。
他に反応は無いね、よし。
「⋯⋯シレーティナさん。貴女は⋯⋯。」
気にしない事ね。
馬車に戻る。御者台に座って、と。
さ、街に入るんでしょ。いくよ?
「⋯⋯そう、だな。行くぞ。」
さ、街に入ろう!
やり過ぎだよアンナちゃん⋯⋯。