愚か者は喚き散らす。
裏方なアンナちゃん。
はーぁーい。アンナちゃんだよー。せっかく領地に戻ったってのに、朝ごはん食べたら王都にとんぼ返りだよ。ほんっとやだやだ。
つーわけでー。お昼時。王都の、城前広場。真ん中に木製の台。そこに突き刺さるは、鋭利な大鎌。そう、これよりチャラ男君の処刑でございまぁーす♡
繋がれて、台に登るチャラ男君。処刑人が、罪状を読み上げる。神聖なる森を穢した罪。民衆もそれを聞いて、怒り狂う。んー、愛されてるねラディーちゃん。
処刑人が、祝詞を読み上げ、自らを浄化。大鎌を手に取り、ひざ立ちにされたチャラ男君の首にかける。
「さあ、罪人よ。最後に言い残すことはあるか?」
「いやだ、俺は悪くないっ、死にたくない……助けてくれぇっ!!」
わー、喚いてるわー。
「残念だ、罪人よ。」
処刑人が振りかぶり。
「待たれよ!」
水球が処刑人に当たる。吹っ飛ばされたね。大鎌も弾かれて、台に転がる。
「その者は、神に伺いをたてに行ったのみ!処刑される者ではない!」
おおう、第二王子。やっぱりきたかい。
「皆に問おう!供物を捧げ、祈る事が穢す行為だと言えるのか!」
民衆は戸惑う。
「否、それを穢す行為だとすれば、我らの信仰はどうなのか!」
賛同する民が出てくる。
「私は第二王子として……否、次代の王としてこの処刑を許すわけにはいかないっ!」
歓声。んっふっふ、演出ご苦労。さて、お仕事といきますかぁ。
れでぃーすあんどじぇんとるめーん。始めにおこしますは、神の雷!
魔術発動、雷。
「な、なんだ!?」
轟音を響かせ王城に落ちる雷。
さあ、続いてはこの国で崇められる神の花、黒き旋風をプレゼント!
……ラディーちゃんに貰った花、魔力流せば流すだけ花びら落ちるのよ。花自体はそのままなのに……謎すぎる。
その花びらを、風に乗せて舞わせます。
「これは……神の花……!?」
第二王子、正解。大声で皆に判るようにしてくれてありがとう!
「どうやら、神は私を祝福し」
「嘘ハ、イケナイ。」
世界から響く声、ラディーちゃん神きたー!
「なんだ、この声は……。」
「我ガ森ヲ穢ス、淫ラナル行為ガ供物トスレバ、我ハ邪ナル神ダトサレテイル訳デアロウカ。」
「まさか、守護神様……!?」
「罪ナル者ヨ。」
「ハッ、ハイッ!?」
「汝、ソノ罪ヲ魂ニ刻ミ償エ。」
黒い花吹雪が大鎌を浮かす。そのまま、花を纏い罪人の首目掛け……
「う、うわあああああ!!」
「果テヨ。」
フゥー!ナイスショット!首がスッパリ!そして、倒れた身体に突き刺さるッ!
静寂とする民衆。呆然とする処刑人。開いた口が塞がらない第二王子一行。ウケる。
「ソシテ、愚かなる、王ノ血ヲヒク者ヨ。」
本題。
「我ハ、汝ニ祝福ヲ与エタ覚エハ無イ。」
「なっ……。」
「ソシテ、コレカラモ与エル心算ハナイ!」
そこにもう1発、雷!
「……貴様、守護神ではないな!何者だ!」
「我ハトレイル。トレイル・ドライアーディー。」
守護神の名前、トレイルってのは広まってるからね。でもドライアーディーは熱心な信者しか知らない。神官なら確実に知ってる。
「我ハ、常ニ貴様達ヲ見テイルゾ……。」
「ふざけるな!神を騙る貴様を必ずや見つけ出してやる!」
あーあ、信心深くない事が解る事を言っちまった。信心深い民衆から、疑いの目が向けられてらぁ。すぐに広まるぞぅ、あっはは。
黒い花を舞い上げ、民衆に降り注ぐ。
演出エンド!呆然としてる人達置いて、さー戻ろう!
あっはっはっは!
共同作業、ラディーちゃんが喜ぶね!