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悪役令嬢(壊)の楽しいエンドレス人生!  作者: りんねしん(邪神)
3180周目!
157/204

深夜の邂逅。

夜は憂いを。

こんばんは、アンナちゃんよ。


⋯⋯この挨拶も、30越えたら変えようかしら⋯⋯。流石に年齢、考えろみたいな。


今は、深夜。なんとなく目が覚めて、紅茶でも飲みながら空でも眺めようかな、って。


紅茶を入れて。適当に上着でも羽織って。


洞窟の入口付近に置いた、椅子と机に。


⋯⋯おや、雨は止んだみたいね。星が綺麗。


紅茶を飲みながら、空を眺める。


未来のある、あの子達。


その未来、魔獣に壊されていいものでは無いわよねぇ。


赤い瞳で空を見る。⋯⋯おっと。


⋯⋯幻影、きれかかってる。また張り直さないと。


一度解除。


自分の姿を再確認。


⋯⋯胸の真ん中あたりまで、黒くなって。


黒い線は全身に。


目は完全に、両方とも赤い。


右腕からは、靄まで出始めている。これは結界を張り付けて、出ないようにしてる。


髪も、黒いのが混じって。


「予想では、10年持たない、か。」


それでも私は、まだ人間だ⋯⋯。


「出来る事なら、もっとマシな死に方したいわよねぇ⋯⋯。」


月は雲に隠れて。星空が煌めく。


⋯⋯綺麗。


しばらく、見蕩れる。


「⋯⋯誰だっ!」


この声は⋯⋯レーネリアちゃん。


「何かあったかしら?」


「⋯⋯目が赤い⋯⋯!しかもこの声は⋯⋯。アンナ、さん?」


しまったわ。見られた。


「何故、赤い目を⋯⋯?まさか、魔獣。けど、人の形をした魔獣なんて⋯⋯聞いたことない。」


⋯⋯。


「赤い目⋯⋯まさか、精霊王⋯⋯。」


そうきたか。


「さて、どうかしらね⋯⋯。」


少なくとも、金髪の精霊王なんて聞いたことないけどね。


「⋯⋯これが、訳アリっていう事なんだね?」


「ま、そういう事。まさか起きていたとはね。」


「さっき、ふと目が覚めたんですよね。」


「そう。⋯⋯できれば、秘密にしておいて。」


「いいけれど。⋯⋯どっち、なのかな。」


「⋯⋯見たらわかるわよ。」


右腕の結界も解除。


右腕から、身体を伝う靄。


「⋯⋯まさしく、魔獣だね。けれど、何故理性を保っているのかな。」


「私としてはその年齢でそこまで賢しいのが気になるけど。ま、いいわ。」


なんと答えよう。


「んー。そうね、気合?」


「気合入れてる様にはみえないけどぉ。」


ですよねー。


「ま、色々あるのよ。」


「色々⋯⋯。」


「そう、色々。」


「⋯⋯秘密って事だね。」


そういう事にしておいて。


「それで、アンナさんは魔獣だった訳だけど。⋯⋯元は人で、合っているよね。」


元は、か。


「元?⋯⋯私は、人間よ⋯⋯!」


「っ⋯⋯!ご、ごめんなさい。」


おっと、なんかこう靄と眼の光がぶわぁってなってた。


「失礼。⋯⋯私は人であってるわ。」


「はい。⋯⋯こ、恐ぇ⋯⋯。なにあの殺気⋯⋯。」


「聞こえてるわよ。」


「あはははは⋯⋯。」


まあ、いいや。


「それで、どうしたいの。」


「⋯⋯えーと。人を襲うつもりは。」


「それは魔獣として?人として?」


「⋯⋯人としてっつー選択肢もあるのねこの人⋯⋯両方で。」


「魔獣としてなら、襲うつもりは未だ無いわね。人としては、今の所無いわ。」


「そ、そうですか⋯⋯。」


「後々どうなるか、わからないけどね。今の所は、そういう気はない。」


「⋯⋯なら、いいんです。アイツらが危険じゃないなら。」


⋯⋯そうか。護るもの、あるのね。


「⋯⋯その護るべきものを、大切になさいな。」


「はい。⋯⋯その口ぶりだと、アンナさんもあったんだね?」


「ええ。導いて、育てて、護るべきモノがね。」


「⋯⋯子供?」


「私のじゃないわよ。けれど、あの子達の母親役みたいなものだったわ。」


きっと驚いて、探しているんだろうなぁ。


「心配なんだね。⋯⋯何故、離れたのさ。」


「⋯⋯傷付け無い為よ。ゆっくりと、けれど確実に魔獣へと変わる身。そんな姿を見せ続けるくらいなら、気付かれる前に。」


「⋯⋯わからないね。それじゃあ、遺された方は訳も分からず。探しに行くくらいしかないじゃないのさ。」


「⋯⋯貴女になら、解る時がくるわ。きっとね。」


尤も、そんな時は来ない方がいいのだけれど。


「⋯⋯ま、いいや。⋯⋯あー、そうだ。」


「何?」


「手合わせしてみたいかも。」


この流れでそうくるかお前。


「まあ、いいけど⋯⋯。」


「ならやろう!」


「⋯⋯そこの浜辺でやりましょ。」


浜辺に出る。ん⋯⋯月が綺麗ね。


「それじゃ、よろしくお願いしますーぅ。」


「ええ、よろしく。」


とりあえず、剣一本で。⋯⋯左手に持って。


「へぇ、メイスかしら、それ。」


「そうだよぅ、ンヒヒッ!」


⋯⋯雰囲気が変わったわね。


「それじゃぁ、行かせてもらう⋯⋯ぜェ!」


ほう⋯⋯。


叩きつけるのを躱す。砂浜に当たり、砂が撒き散らされる。


「そうらァ!」


横薙ぎ。切り返し、速いわね。


もう一回転、さらに上向きの逆袈裟。


「っハハ!避けてちゃつまんねーぜっ!」


私としてはこの変貌ぶりで、既に楽しいのだけれど。


「いいわ、攻撃しようじゃあないの。」


避けてねー。


メイスの振り終わり前を狙って、とりあえず一撃。


「おっととォ!」


ま、避けるよね。


「剣、速っえぇ⋯⋯。」


「ほら、驚いている暇はないわよ。」


「⋯⋯上等っ!」


突撃してくる。


⋯⋯反応。これは、魔術⋯⋯じゃないわね。


「構築ッ!」


「おっと。」


飛び退く。⋯⋯おお、砂浜から石の刺が。


「なるほどね、錬金術か。」


錬金術⋯⋯って、魔族くらいしか扱ってないと思ったけど。


しかも、グランダル周辺しか。かなりのレア物なのよね。難しいし。


「へえ、わかるんだねェ!びっくりでしょう!」


「ええ。⋯⋯グランダルが人の弟子を取ったとは聞いてないのだけれどね。」


「⋯⋯?誰、それ?」


あら、知らないの。


「魔族、錬の将。今いる錬金術師で最高の技術をもってるんじゃないかしらね。」


「⋯⋯!へえ、聞いたことあるぜ!魔族には錬金術師のすげえヤツがいるって!」


「それ、誰かから教わったのかしら?」


「いんや、錬金術師なんざ周りにはいないよ。というか聞いたことない。」


でしょうねぇ⋯⋯。


「⋯⋯ま、いいわ。その腕、確かめてあげましょう。」


「っ、いいねぇー!宜しく頼む!創造!」


おっとと。


「出が速いわね。」


「ほうら、大技いっくぜェーー!!!創造!生成!分解!形成!構築ッ!」


ほう。


「これがぁ!錬金術(・・・)だァ!」


なんか凄い反応が。


「ゴル!アル・キミア!」


砂が大量に上がったと思ったら。


「⋯⋯ああ、確かに錬金術だわ⋯⋯。」


視界が金色!マジで金、錬成しやがった!


しかもドロッドロの。溶けてるやつ。


いや当たったら死ぬから。


「その技術、本当に素晴らしいわね。」


とりあえずそれ、消し飛ばしますか。


禁術発動。ブラスティラヴァ。


蒸発しなさいな。


「⋯⋯ま、マジで?金、蒸発させたの?どんな熱量だよ⋯⋯。」


ま、そりゃあ、ラヴァですもの。


「つーか、それ禁術じゃね?ヤバくね?」


そうですよ。


「⋯⋯元だけど、魔の将をやってたからね。そのくらいするわよ。」


「マジかよ⋯⋯⋯⋯まさか、あれ?最近変わったっつー、その前の、人間だったっていう。えーと名前⋯⋯。」


「⋯⋯知ってるのね。グリディナよ。」


「わぁお⋯⋯。だから魔族の錬金術師について知ってるのか⋯⋯。」


そうですとも。


「⋯⋯ねぇ、アンナさん。」


ん?


「本気の一撃、見せてよ。」


「魔術?剣術?」


「合わせてできるんじゃないの?それで!」


「⋯⋯嫌よ。」


「なんでさ!一回だけでいいから!」


「嫌。」


「ほんと一瞬だけ!」


「えー。」


「先っちょだけ、先っちょだけ!」


「それ意味わかって言ってる!?」


「なんで駄目なのさー!みーせーてーよー!!!」


駄々っ子かよ⋯⋯。


「⋯⋯はぁー。わかったわよ⋯⋯。」


「やったぜ!」


子供相手にやるのはすっごく気が引けるのよ⋯⋯。いくら凄腕の錬金術師だって言っても、ねぇ。


「ちゃんと避けてね⋯⋯。」


「おっけェ!ばっちこい!」


はぁ。魔王あたりでも想像して⋯⋯。


あの変態ぶっ壊す。


よし。


「⋯⋯いくわよ。」


浮遊。


想像。あの竜を。


魔術発動。いや、違う。


剣に、纏え。


禁術。創り出せ。


「アンノウン、ケルヴィ・ゼロ。」


「⋯⋯え、ちょっ、まってそれまって!?」


残像すら残す、高速接近。


「ッ、アル・ニグレー!熱量最大!」


右腕で。突き破る。


「っ、や⋯⋯!」


寸前、禁術解除。


「⋯⋯っ、フゥ⋯⋯。」


あぶな⋯⋯。ちょっと止めるの遅くなった⋯⋯。


「う、うぅぁ⋯⋯。怖かったぁ⋯⋯!」


あっちょっ。


「大丈夫だからね、ほらね?」


頬をむにむに。


「っ、はー。よし、大丈夫ですわ⋯⋯。」


よしよし。


「にしても、なんだったの今の!あれ、空気も凍ってたじゃん!つーかケルヴィって!ゼロって!マジなの!?」


「⋯⋯一度食らったことのあるやつを再現してみたのよ。」


「マジ!?よく生きてたね!?」


「その後こうなったけどね。」


「あー⋯⋯。なるほどー⋯⋯。」


「ま、それも倒したけど。」


「そっかぁ、それはよかった。⋯⋯にしても、その⋯⋯禁術?それ、凄いね。⋯⋯錬金術でも、再現できるかな⋯⋯。」


「やれるんじゃない?きっとね。」


「⋯⋯よし、帰ったら調べて試してみようかな。ありがと!」


インスピレーションは大事ですともー。


「さて、どうする?」


「んー⋯⋯寝る!もう数時間もないけど⋯⋯。」


「そうねぇ。⋯⋯寝ましょうか。」


「あ、その前にシャワー浴びさせて⋯⋯。」


「ええ。」


さ、戻りましょ。














将来有望な錬金術師、か。

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