賑やか四人組と。
アンナちゃんの家に。
どうも、アンナちゃんよ。
賑やかな四人組の子供を家に招いて、お昼ご飯。
クロスを敷いて。
ナイフとフォーク、スプーンを並べてと。
あ、ブドウジュースも置いておこう。濃厚なやつ。
「さ、どうぞ。」
椅子を引いて、座らせる。
座らせたら、キッチンに。
さて、と。
あの魚モドキを解体して⋯⋯おや、これかしら。取られたっていう腕輪。魔石片を磨いて、繋げてあるのね。へぇ⋯⋯。
しっかり洗い落として、汚れがないのを確認して。
魔術、えーと。清掃。ついでに脱臭も。
これでまあ、問題ないかしら。
傷は⋯⋯これ、コイツのせいでついたのか前からあるのかわからないので、放置。何か言ったら直せばいい。
さて、それは置いといて。料理。
まずは、長い瓜の酢漬け。これを一口サイズにして、今朝取れたトマトと一緒に。塩を振って、チーズを振りかけて。
「まずはこれでも食べてて。」
「⋯⋯まるで前菜のようだな。」
「酢漬けとトマト、チーズ。酸味が強いかも。」
「頂きますわ。」
「⋯⋯見た目、城の料理だ。」
玉ねぎを刻んで。炒める。
炒めながらトウモロコシ、これを削ぎ落として。
お、玉ねぎいい感じ。トウモロコシをいれて、色が良くなるまで。
水を入れて、沸騰させて。沸騰したら、蓋ができる器に。
魔術、風の刃。ザラザラがなくなるまで掻き回す!
できたら、冷ます。よし。
次。
牛乳を熱して、小麦粉とバターをゆっくり、何回かに分けて入れて。混ぜる。
やってる間に、ここら辺で取れた美味しい野菜、これを盛り付け、ここに固く焼いたパンを小さく、四角にしたやつをぱらぱらと。
塩とオリーブオイル。よし。
「はい、サラダ。ここら辺は野菜が美味しいのよ。」
「サラダか。」
「南方の野菜だね、一番美味しい食べ方だ。」
「新鮮ですわぁ⋯⋯。」
「なあ、ここ城だっけ?」
お肉も切っておく。一口大の四角、塩と胡椒を振っておいて。
あ、ポテトも茹でておこう。一口サイズにして、お湯に。
次。あ、スープが冷めたわね。
サラダも無くなったみたい。
少し深めのお皿に入れて、クリームを少し。
「ほら、これでも飲んでて。」
「ほう⋯⋯!これは。」
「コーンスープ、だね。」
「頂きますわ。」
「⋯⋯ここ、城だっけ?」
あ、牛乳のやつ、いい感じになった。濾して、と。
これはソースにして。次、魚モドキ。
生で欠片を軽く食べてみてと。⋯⋯あ、これ美味い。
欠片にして、焼いて。ん、これはなかなか。
おっと忘れないうちに、自分で焼いたふわふわのパン。
「ほら、これもね。」
「やはりパンか。これはやはり⋯⋯。」
「自家製かな。いい焼き加減だね。」
「ふわふわもちもち⋯⋯。」
「ここ、城だっけ⋯⋯。」
よし、魚モドキを切り身にするわ。
これに塩と胡椒を振って、小麦粉を軽くまぶして。フライパン!
フライパンにバター、そこに切り身を。
両面、外をパリッとさせて。
火が通ったらお皿に。さっき作ったソースをかけて。ちょっとお洒落に、ハーブも散らして。
「ほら、さっきのヤツを焼いてみたわ。」
「ほほう⋯⋯これはなかなか。」
「ムニエルだね、それにベシャメル。白身なんだね、あれ。」
「蛋白で、ほっくり⋯⋯魔獣とは思えない美味しさですわぁ⋯⋯。」
「ここは城なんだ、きっと⋯⋯う、うめぇ⋯⋯。」
よしよし。
肉の状態を確認。ん、もうすぐかしら。
ポテトもよし。上げて。
フライパン!二つ用意!
両方に牛脂!
⋯⋯そろそろ魚も無くなったみたいね。
「これで口をさっぱり、とね。」
「これは、果物か?」
「南方の果物、それを凍らせて砕いたんだね。さっぱり、口直しにはもってこいかも。」
「ひんやりさっぱりーですわぁ。」
「南方って美味しいもの沢山あるなぁ⋯⋯。」
よし。牛脂を上げて。
片方に肉を投入!始めはしっかり焼き目を入れて!
もう片方に、茹でた一口サイズのポテトと、キノコを。
肉、ひっくり返す。
反対側は弱火でじっくり!
よし、いい感じ。火から上げて、切る。
キノコ、火が通ったら少しニンニク。
赤ワインを入れて、ふらっぺー!
肉汁がフライパンに残ってるから、これも入れて。
倉庫に作っては溜めておいた、フォン・ド・ヴォー!牛系の!
これも少し。
煮詰めて。ほんの少し、バター入れて。
お皿にお肉、そしてソースを!綺麗に、美味しそうに盛り付けて。
「お待たせ、さあどうぞ。」
「メインディッシュ!」
「ここ周辺の、一番美味しいお肉だね!赤ワインのソース!」
「柔らかジューシー⋯⋯!噛みごたえもしっかりー!」
「うめえ、うめえ。」
んふふ。
さて、次。
チーズ。常温にしてあるのよね。これを切って、お皿に。
黒い、チーズにあうお酢を。スプーンでささっとかけて。
お肉を食べ終わって、少ししてから出す。
「チーズか。」
「ここら辺の家畜で作ったチーズだね、スパイシーな赤ワインにあうよ。」
「濃厚ー!」
「最高だなぁ⋯⋯。」
さて。
ここら辺で採れる、沢山の果物。
これを、切る。酸っぱいの、甘いの、織りまぜて。
そうね、四角く切って、積んでみましょ。
「さあ、果物を堪能なさいな。」
「フルーツだな!」
「南方の、果物!説明不要ッ!」
「甘酸っぱー!あまあまー!」
「すっきりするぜ⋯⋯。」
よし。
次は⋯⋯そうね。
クレープ生地を焼いて。
卵と砂糖!これを混ぜる!
魔術、風の刃!高速回転!
あー、魔術本当に便利。
ここに小麦粉を入れて。
さらに混ぜる!
そして牛乳。混ぜる!
固さを調節。いい感じになったら、ここにまた果物、甘いのを切って入れる!
軽く混ぜて、クレープ生地にのせる!
半分に畳む!
皿に盛り付け!
あ、そうだ。ベリーを掻き回す!
これも風の刃!
よし、クレープの上にかけて。
周りにも軽く。
そして上に⋯⋯そうだ、ナカゴを使おう。
切って、乗っける。
完成!
「お待たせ。」
「これは美味そうだ⋯⋯!」
「カスタードフルーツクレープ⋯⋯!」
「美味しー!」
「うま、うま。」
食べている間に、コーヒー。お気に入りの豆を。勿論、自分でローストしてますとも。
食べ終わったのをみて。
「はい、これ。」
「コーヒー、いい香りだ。」
「これも南方の⋯⋯。酸味が少し強いけど、気にならない程度だね。」
「美味しいわぁ、美味しー⋯⋯。」
「ふはぁー⋯⋯。」
最後に、一口サイズの⋯⋯自家製チーズケーキ。
「はい。⋯⋯私のフルコース、口に合ったかしら?」
「うむ、美味かった。」
「ご馳走様でした。まさかここで、南方づくしのフルコースが食べられるなんてね。」
「正直、城の料理より美味しかったかも⋯⋯。」
「何者だよ本当に⋯⋯。」
「ふふふ、良かったわ。大国の王子とその婚約者に褒められるなんて光栄よ。」
んふふ。
「⋯⋯いつから気付いていたんだ?」
「アウル、アクロイ、エリー、レーネ。この組み合わせなら、流石に貴族やってたら気付くわよ。」
「やはり貴族の令嬢だったか。⋯⋯遅くなったが、私はアウル・センティ。この国の第一王子、だな。」
「私はエリューシャ・ファスティ。ファスティ公爵家の、長女ですわ。」
「俺はアクロイ・ルド。侯爵家、次男だ。」
「私は⋯⋯レーネリア・サーヴァントだね。一応、長女。」
上から、最初に発言したヤツ、美味しいわぁー、ここは城じゃないよ、見ただけでわかるとは食通だな!だね。
「私は⋯⋯アンナ。アンナ・グリムディア、ですわ。」
「グリムディア⋯⋯という事は、グラスゴルの侯爵家か。」
「⋯⋯もしかして、昔行方不明になったっていう⋯⋯。」
「確かに昔ねぇ。好きに生きて、今は隠居生活、ってやつよ。」
そういえば、妹は元気かしら。
「お会いしたことがある。今は⋯⋯家を継いで、女侯爵だな。かなりのやり手だそうだ。」
へえ、やるじゃん。あの性格に難ありだった子が。
「貴女を今も探しているみたいだぞ。とはいえ、心配はしていない様だが。」
「きっと今も何処かで暴れている⋯⋯でしたっけ。」
「あっはは!わかってるじゃないの。」
なら、心配はいらないか。
「私がここに居る事は、秘密にして頂戴。」
「何故ですか?国に戻るとかは考えてないので?」
「訳アリ、ってやつだねぇ?その歳で隠居なんて、何か理由がないとね。」
「そういう事よ。」
だから、ね。
「⋯⋯わかった。」
さて、こいつらを送りたいけれど。
「雨、か。」
「んー。強くなりそうねぇ。」
海の天気は乙女心ってね。止むまで待った方がいいかも。
「⋯⋯申し訳ない。」
「一国の王子が、そう簡単に謝るんじゃないわよ。」
「いい事言った、そうだよアウル。」
のってくるか人生エンジョイ娘。
「むむ⋯⋯わかった、世話になるぞ。」
さ、のんびりと、止むのを待ちましょ。
アンナちゃんの唐突な飯テロ!