これ、どうなってるのかしら。
アンナちゃんの身体どうなってんのー。
おはよう、アンナちゃんですわよ。
魔王と弟子共とメアは氷雪竜の骸を確認しに行ってる。普通に行ったら時間かかるけど、まあ魔王いるからいいか。
私は一人、部屋。紅茶でも飲んで。
魔獣に関する本。
神話。
もう片っ端から読み耽る。
なんでってもうあれよ、右腕とこの線よ。
こんなの見た事無いし。
とはいえ全然記述無し。
なんなの、これ。
「⋯⋯少し出るわ。」
「かしこまりました。」
禁書庫。あそこにならあるかもしれない。
とはいえあそこは⋯⋯。まあ、頑張ろう。
禁書庫!
「⋯⋯⋯⋯。」
禍々しすぎでしょう、ここ。
「ここ、中に延々と居たら死ぬ気しかしないわ⋯⋯。」
なんでも、王領の奴らも奥は知らないらしい。
「結界張って、行きましょうか。」
探すのは、神話の魔獣に関する本。
もしくは、精霊王、赤とシェイドクインの本。
魔術や呪術の本は無視。とにかく奥へと進む。
移動速度重視、飛んでいくわ。
奥へ、奥へ。
「ここらへんは大規模魔術⋯⋯まだ、奥かしらね。」
空気が淀んで、さらに禍々しく。
「まだいける⋯⋯か。」
更に奥へ。
「神話の本、けどこれは違う。」
魔獣の本じゃない。
探す。うーん。
少し気持ち悪い。
「広すぎるわよここ⋯⋯なんなのかしら。」
移動速度低下。うーん、これは⋯⋯。
「限界かしら。」
収穫無し、けれどこれ以上は危険、戻るわ。
禁書庫の入口。
「っはー、空気がおいしいわ⋯⋯。」
収穫無し!
「⋯⋯もっと奥にあるのかしら。けどこれ以上は進めないわねぇ⋯⋯。」
残念。
「⋯⋯⋯⋯となると、これ自体に色々やってみるしかない、か。」
どうやろう。
「一先ず部屋に戻りましょ⋯⋯。」
で、部屋。
「さてさてどうすべきかしら⋯⋯。」
右腕、幻影に包まれて普通の腕に見えるけど。
「⋯⋯⋯⋯使えるモノはこの部屋にしかないわねぇ。」
侍女もいる。今は出てるけど、弟子共も基本この部屋に集まる。
「⋯⋯戻ってくる前にやれることはやっておこう。」
適当な器具。測定用、採取用、えとせとら。
右腕、服を捲って。
とりあえず何で出来てるか確認しないとね。
短剣を左手に。
「⋯⋯えい。」
ぶっすり、ぐっさり!抉って、肉片?を取り出す。
「ぐ、グリディナ様!?」
「実験よ実験。気にしないで。」
侍女がびっくりしたけどまあいいや。
「で、治癒。」
⋯⋯するまでもなかったか。ふぅむ。回復してる。
まさに魔獣の腕、ね⋯⋯。
取り出した肉片、そこに。
魔術発動、探査、精査で。
「⋯⋯痛く、ないのでしょうか⋯⋯。」
「痛いでしょあれ⋯⋯。」
侍女がなんか言ってるけど無視。⋯⋯⋯⋯痛く、無かったのよね。
で、精査したけどまぁ。
「⋯⋯まるで泥の様ね。」
どうやら私の右腕は液体のようですわ。
あの小さな黒いモノ、あれと同じ様なモノで出来ている。
魔獣の靄、その粒子。
「魔力でこの形になってる、か。ううむ。」
まるでスライムとかそういった⋯⋯化物みたいな。
「⋯⋯誰が化物だ⋯⋯私は人間よ⋯⋯。」
とりあえず何で出来てるかわかった。
次はこの線ね。
上半身を肌蹴る。
「グリディナ様、どうされたのかしら⋯⋯。」
「うわ、綺麗な身体⋯⋯。」
「⋯⋯おっぱい大きい。」
無視。
とりあえずこの線、右腕が魔力で形成されているならこれも?
魔力を流す。
⋯⋯。
何も無し。
魔術発動、もう一度探査。これも精査で。
「ん⋯⋯?」
今、少し変化した?
精査を全身に。これを継続。
「⋯⋯魔術発動、風。」
変化あり。
「魔術発動、火の玉。」
変化あり。
「⋯⋯ふむ。」
魔術発動。
想像。魔力。充填。吸収。充填。
「水よ。」
詠唱。想像。発動。発現。
「⋯⋯吸収の時、そして発現した時に変化あり、か。」
主に、左胸で。
左胸はどうなっている?
「⋯⋯精査を体内に。」
もう一度、魔術発動。風。
⋯⋯。
「吸収時に、魔力が渦を巻く。少しここで魔力が食われてる。」
周囲の魔力、少し多く吸収されているみたい。
「発現時に、渦を巻く魔力⋯⋯?これは魔力なのか?」
少し違う、まるで搾りかすの様な、けれど別のモノ。
「魔力が何かに変換されている?」
なんだ。
「この肉片⋯⋯その構成物に近い。」
靄に近いモノ?
「魔石の魔力にも近い。」
魔石にはこれが入っている?
「これは、研究してみる価値があるわね。」
自分の為にもね。
「とはいえこれは私の中にあるモノ⋯⋯流石に心臓を抉る訳にもいかないし。」
動きそうにもない。
となると、色々と飲んで試して⋯⋯って事になるのかしら。
「人体実験⋯⋯っふふ。」
まあ、これも一興かしら。
色々試してみましょうか。
アンナちゃんは人間。




