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悪役令嬢(壊)の楽しいエンドレス人生!  作者: りんねしん(邪神)
3180周目!
137/204

というわけで、仕事始め。

いつもの場所、いつもの奴ら、いつもとは違う事。

ちわーっすですわ!アンナちゃんよー。謁見の間から大体五分経ったわ!


「部屋ってこっちであってたわね?」


「え、ええ。⋯⋯来たことがあるのですか?」


「まあ、ね。」


そりゃあ何回もやってますしー。


「到着ー。掃除はしてあるのよね?」


「ええ。連絡がありましたので、綺麗に。」


「ならよし。」


入る。


「で、侍女は何人?」


「四名です。」


変わらないわね。


「弟子希望は?」


「⋯⋯四人です。」


変わったね。ていうか増えた。


「へえ、もう居る?」


「ええ。⋯⋯入りなさい。」


ぞろぞろと。


「こちらの四名が、この部屋、身の回りの世話をする者達です。」


「はい、よろしく。」


「そしてこの四名を、弟子として扱って貰います。」


釣り目ツインテ、ポニテインテリ、短髪細マッチョはいつもの。⋯⋯で。


「⋯⋯⋯⋯、アンデッド?レイス?」


「いえ、デミホーント・リッチです。」


ちっさめの、襤褸ローブの、リッチ。半分霊体。


「尚、女の子です。」


「⋯⋯少々、お顔を拝見。」


青白い、薄幸そうな女の子。ボサボサロングロリ。略してボサロリ。


「野良ネクロマンサーが死んだ為、救出された娘です。」


そ、そうなの。


また妙なのを拾いやがって、というか何故私の所に?


「魔王様が、魔の将の所で預かってもらえと仰られたので。尚、かなり強いです。」


そ、そう。


「まあいいわ。過去がどうとか、種族がどうとか、何を求めるか、なんてどうでもいい。」


私は私のやり方でやらせてもらう。


「そういう訳だから、よろしく。私はグリディナ。このプルプルしてるのが、テルシエ。こいつは私が拾った奴、素人だから色々教えてあげてねー。」


「よ、よろしくお願いします⋯⋯。」


ぷるぷる、わたしはわるいエルフィじゃないよ!みたいな。


「紹介も終わりましたし、私はこれで。」


「ありがと、メアちゃん。今度何か食べに行きましょ。ケーキとか。」


おお、ちょっとクールな顔。


「⋯⋯ええ、その時は御一緒に。⋯⋯それでは。」


メアちゃん退室。さて、と。


ソファーにだらーんと。


「弟子、弟子、弟子ねぇー。また七面倒臭いわねぇ。とりあえず、侍女達はお仕事。大抵ここの部屋やってた人達でしょう。違ったら覚えて行ってね。」


「畏まりました。」


「弟子希望達は好きな様にしてちょうだい、やりたい事があるならそれをやる、無いなら見つける。テルシエに魔術を教えてくれてもいいわ。」


あ、それと。


「後、奥の私の部屋は入らないでね?入ったら、怒るわよ?」


これでよし。


「それじゃ、解散。適当にやってて。」


「あ、あのー⋯⋯?」


「質問?はいどうぞインテリ君。」


「い、インテリ君⋯⋯。ええ、と。魔の将様は⋯⋯。」


「グリディナ。」


「⋯⋯グリディナ様は、どうなさるのですか?」


「私はー。そうね、好きな事。色々とねー。」


「好きな事、ですか⋯⋯。」


「質問がありますわ。」


「はいどうぞツインテちゃん。」


「貴女は魔の将に選ばれたのですよね。確かに、謁見の間での魔術は強力でした。」


「ええ。」


「我々は、魔の将から多くの事を学ぼうと、ここに来たのです。ですが。」


「教える気はあるのか、って事よね?」


「っ、ええ。その連れてきたという娘も、貴女が教えるのでは無く我々が?貴女には。」


「先達としての誇りがあるのか、かしら?」


「⋯⋯っ!ええ!」


これ、毎度言われるのよねぇ。ツインテ、最初は誇りとか貴族としての精神とか、そういうのこだわるのよね。


「そうねぇ。ツインテちゃん。貴女にとって、誇りとはどういうもの?」


「強者として、上に立つものとして、人を従える者として立つために必要なものですわ。強き者は弱き者に施しを与えるものだと。」


「ノブレスオブリージュ、ってやつね。」


毎度お馴染み、ね。私が言うのも、お馴染みの言葉。


「そんな誇り、捨ててしまえ。」


「なっ⋯⋯!」


侍女も含めて、全員が驚くのよねこれ。


「貴女、貴族の子女よね。ま、私もなのだけど。誇りなんて、魔術には無駄な物。むしろ、唾棄すべきものよ。捨ててしまえ、そんなもの。」


それに、だ。


「ノブレスオブリージュ。そんなものは、強者の使命なんかじゃないわ。弱者の要求よ。従う必要なんて、一切ないわ。」


弱者が喚き求めるだけのモノよ。


「⋯⋯貴女は!弱者を蔑ろにしろと!?」


「してるかしら?」


テルシエを示しつつ。


「選ぶ余地、って考えてるかしら?何を取り、何を捨てるか。まさか、全部捨てているなんて訳無いでしょう?」


「く⋯⋯!」


「それより、先程から気になっているのだけど。」


これは言わなきゃねぇ。


「貴女、自分が強者だと思ってるの?」


「なっ。」


「ねえ、聞きたいのだけど。貴女のその誇りはどこから来ているの?」


だってねぇ。


「それは、私の魔術で、」


「確かに、ここまで来たのは貴女の力かもしれないわね。けれど、そこに至るまでの教養は?力は?それを学べる環境は?全部貴女が魔術で掴み取ったのかしら?」


これは。


「そ、それは⋯⋯。」


「違うでしょう?親が、師が、与えたものでしょう。」


この言葉は。


「自惚れるなよ、貴様等。弱者だという自覚をしろ。」


「っ⋯⋯!」


「例え上に立ったところで。その上は確実に居る。確実にね。」


そう、上には上が。


「強者、結構。強いのでしょう、貴方達。しかし自惚れるな。強者は同時に弱者でもある。」


私とて弱い。


「到底至れぬ高みがある。」


遥か上。


「到底辿り着けぬ場所がある。」


遥か先。


「到底勝てぬ者がいる。」


遥か遠き、天上の。


「⋯⋯ねえ。」


問おう。怒りと愉悦を織り交ぜて!


「そういうのってさァ、すッッッッッげえムカつかねェ?」


「っ⋯⋯!」


狂気を笑みに、凄絶に!


「誇り、結構。必要だと思うなら持てばいい。力、結構。必要とあればつかみ取ればいい。教養、結構。必要なら、学べばいい。」


「過去、結構。必要なら、縋るがいい。未来、結構。必要なら、夢想すればいい。」


「それでアイツを倒せるなら。それであの場所に辿り着けるなら。それで上にいけるのなら。」


命短し進めや魂。


「貴様等はこの場所に辿りついた、結構、結構。しかしてここでは満足しないでしょう?」


「自らの力を上に、更に上に進む為に来たのでしょう?」


「ここには、その為の物が沢山あるのよ。私が教えるとしたら、その先。」


究めるには、最高の場所がここ。


「ここにある物、全て。好きに使いなさい。好きに壊しなさい。足りない物がある?書け、私に出しなさい。揃えましょう。」


「それでもわからない?なら、私の出番。私の知る全てを持って、与えましょう。」


ここは、その為の場所よ。


「長くなったけど、これが私のやり方よ。いいかしら?」


その魂に火を灯せ。


「他に質問は、あるかしら?」


「⋯⋯。」


驚き、されど炎を灯す瞳。よしよし。これでコイツらは本気でやり始める。


「無いわね。ああ、そうだ。何をするか、紙に書いて出して頂戴。偶に、どんな状況か報告しなさい。なに、時間はたっぷりとあるのだから。焦らず、されど迅速に。」


いいね。


「⋯⋯さあ、始めましょう。解散。」


各々が猛烈な勢いで書き出したものを貰って、本棚ダッシュを見送る。⋯⋯って、テルシエも行くんかい。まあいいや。


私は紅茶を飲んで、ゆったり。


それにしても。


「黒歴史よねぇ⋯⋯。」


毎度の事ながら、ガラじゃないわ⋯⋯。


とりあえず何やるか読もう⋯⋯。


細マッチョは、身体強化、魔術と格闘術の融合。魔術の効き辛い魔獣に、有効なものを、か。


インテリは、解呪と呪術。呪われ死んだ友の様なものを無くすため、か。


ツインテは、大規模魔術と禁術。仇討ち、巨大、強大な化物を殺すため、か。


ボサロリは、死霊術と治療術。屍に生を、生には治癒を、か。


テルシエは、歌と魔術の効果支援。得意な歌、それを力にしたい、か。


魔獣が出る世界だと、少し変わってくるのね。というかボサロリ、天使かお前。いい子すぎだろ。


テルシエはうん、とりあえず読める本持ってきてからかしらねー。基本はしっかり。


さてと。私は読書しよ。ここの本、大体多すぎるのよ。読みきれないから。しかも毎度違う本がある。


面白いからいいのだけどね。忘れてるものもあるし、今回も全部読みましょうか。


さ、読書といきましょう。


⋯⋯そうだ、後でメアに魔獣調査の人員を頼んでおきましょ。






ボサロリってお前、センスどうなんだお前。

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