王領着いたわ!
久々の王領。
はろはろ!アンナちゃんよ!
「は、はろはろ?テルシエちゃんですよー⋯⋯。」
「なにをしているのだ⋯⋯。」
「いつもの、よ。」
「はろはろって何ですか⋯⋯?」
「適当よ!」
聞いちゃいけないわ!
「もうすぐ王領だからといって、気を抜くなよ⋯⋯。」
「わかってますわー。」
ま、もう見えてるんだけどね。というか目の前。もうすぐ列に並べるかなーって所。
「魔獣が王領に近づいている事もね。」
「なんだと!」
あっち、空から。私達の上を通り過ぎるね。
「見えてきたね。⋯⋯うわ、また竜かよ。」
最近竜とエンカウントし過ぎじゃない?
「しかも真っ黒⋯⋯。」
「反応としては、弱いけどね。」
前戦ったのと比べてね。
「⋯⋯ワイバーン、か。」
「殺る?」
「分かりきっているだろう。」
「よし。撃墜しましょ。」
「中には落とすなよ。」
「はいはい。」
魔術発動!神鳴!脳天直撃ー!!!
「はい、終わり。しゅーりょー。」
風で落ちる方向もキメちゃう。
「まあ、そうなるよな⋯⋯。」
「ワイバーンですから。」
竜っていうよりほぼ翼の生えたトカゲ。
さ、王領入ろう。
王領、入りましたー!
魔王が居るから並ばずに入れるね!流石魔王!
「そんなもので褒められてもなぁ⋯⋯。」
城に直行。なんでも、既に連絡はとってあるらしい。そういえば、道中何か書いてた気がする。
まあいいや、話が進むならいいのよー。
そういう訳で、城。
「それでは、暫し待ってくれ。謁見の間で会おう。」
「はーい。いってらっしゃい。」
「いってらっしゃいませ⋯⋯!」
テルシエったら、緊張してら。さっきまで一緒に居たのに。
「お、公の場って言うんですかね、そう思うとなんだか⋯⋯。」
ふぅん。
「大丈夫よ。私が傍にいるでしょう。それに、ここの奴らは良い奴ばかりよ。」
安心なさい。
さ、紅茶でも飲んで、ゆっくりしてましょ。
「場慣れしてますね⋯⋯。」
そりゃあこう見えても貴族の令嬢ですから。
「ほら、今から緊張してたらもたないわよ。」
「はい⋯⋯。」
だめねぇ。
テルシエの緊張を解しながら待つ。
「準備が整いました。」
「行くわよ。」
「は、はい⋯⋯!」
うわ、動きぎこちなっ!
で、謁見の間。
「入ったら、真ん中あたりまで進んで、跪くのよ。後は任せなさい。」
「は、はい。」
という訳で、入ります。
「人間⋯⋯?」
「子連れか?」
「姉妹だろう。」
「後ろの娘はエルフィか?」
なんか色々ぼそぼそと。
適当に入って、真ん中あたりまで行って。
テルシエが跪く。私は跪かない。
「ッフフ、ごきげんよう、魔王。」
「⋯⋯ほう。貴様は跪かんのだな。」
「私に必要、あるかしら?」
威厳たっぷりな雰囲気で、魔王は腰を据える。
私は、腕を組んで、片脚に重心を置く、リラックスした体勢で。
周りに居るのは貴族と将と側近と。戸惑う半分、いきり立つのが半分。
「陛下に対して無礼であろう!跪け、小娘!」
「って、雑兵が喚いているけど、どうなのよ?ゼルノ。」
「⋯⋯非礼なのは確かだが。」
「はいはい、失礼いたしましたぁー。」
「お前な⋯⋯。」
「陛下っ!その人間、無礼ではないのですか!」
「ですってへーかー。いやあ、忠誠屋だねぇ。」
「寧ろお前に分けてやりたいくらいだ。」
「陛下っ!」
「よい。コイツはこういう奴だ。とうに諦めた。」
「しかし⋯⋯。」
「ねえ、そろそろ五月蝿いのだけど。本題、まだ?帰るよ?」
「このっ⋯⋯!陛下!」
「ふむ。⋯⋯まあ、良いだろう。」
「あららぁ?」
「殺すなよ。」
ああ、そういう?
「魔族を舐めるなよ、人間ッ!」
はー。
「テルシエ、少し下がってなさいな。」
「あうあう。」
こいつ固まってるわ。動きそうにもなし。
「はぁ。全く。」
剣を構え、突撃してくる五月蝿い貴族。貴族っす。
「這い蹲れ、人間!」
「人間人間って、やーねぇ。」
魔術、結界。手に。
剣を、素手で掴む。
握って、離さない。
「んなっ!?動かんっ!?」
「弱すぎ、本当に五月蝿い蝿ね。」
魔術発動、ブラストヴィンド。
「蝿なら飛ばないとね。」
バゴン、って音と共に吹っ飛んで、壁に。
「さて、問の1。蝿に似合うのはどれ?5択から選んでくださいな。」
私の周りに、六色の魔術。圧縮してあるから、かなりヤバイものだとバカでも解る。
「焼死。凍死。感電死。爆死。窒息死。圧死。」
おっと。
「ああ、これでは六択ですわねぇ。ついでに、全部、というのも追加しましょうか。」
周りの貴族は怯え始める。将と側近は、納得した顔を。
「反応、無し。ねえ、生きてる?」
気絶した?
「気絶してますわ。あらあら。」
側近が確認したよ。あらあらあら。
「弱すぎない?私これどうするの?」
出しちゃったよ?
「引っ込めろ。」
「属性持たせた魔力って回収しにくいんだからね?全く⋯⋯。」
回収。あーやだやだ。
「⋯⋯とまあ、見た通りだ諸君。後釜には最適だと思うが、どうだ。異論がある者は、剣を抜け。」
抜かない貴族。
「なら、決定だ。この者、これより魔の将グリディナとする。」
「はいはい、よろしく。テルシエは私の所でいいのよね?」
「ああ。⋯⋯それとは別に、弟子等もとってもらうがな。」
「ま、そういう話だったからね。わかってますわ、陛下。」
貴族な礼を一つ。堂に入ってるのに、驚く周囲。
「陛下、この娘はどこから?」
「グラスゴルからだ。貴族の令嬢、らしい。」
「グリムディアの娘ですわぁ、よろしくぅ。今はグリディナだけど。アハハッ。」
ところで、まだ?
「他に質疑はあるか。」
無し。将達は後で来そうな感じ。
「よし、では⋯⋯メア。」
「畏まりました。」
「メアについて行け。案内させる。」
「よろしく、側近ちゃん。⋯⋯ほらテルシエ、行くわよ。」
「はひ⋯⋯。」
なんで疲弊してんのよ⋯⋯。
謁見の間、出るわよー!
はい、魔の将。