二人で戻る。
沈む魔王。
こんにちは、アンナちゃんよ。
魔王が沈んでますわ。⋯⋯まあ、結構気に入ってた奴だったんだろうね。
「落ち込むのもいいけど、周りを警戒しなさい。」
「⋯⋯く、わかっている!」
だめだこりゃ。はぁ。
探査。周囲に動くものはなし。
「⋯⋯休憩するわよ。」
「⋯⋯わかった。」
少し開けた所で休憩。
座った魔王、項垂れてるわ。
「⋯⋯はぁ。何、そんなに気に入ってた奴だったの。」
「⋯⋯ああ。あいつとは昔からの付き合いでな⋯⋯。」
魔王曰く。
所謂幼馴染み。昔からつるんでた友人。気が合う、魔王になってもよく行動を共にしていた仲間。外に出る時は一番信頼のおけるアイツを、共に連れていたとのこと。
「⋯⋯そう。」
「死ぬまで共に行こうと、話していたのに、な⋯⋯。」
目頭を抑える魔王。
はぁーーーー。
しゃーないわね。
「はぁ。ここには誰も、見ている人はいないわ。」
魔王を抱きしめて。
「これで私も見えないわ。ほら。」
胸を貸してやるよ、まったく。
「すまない⋯⋯く、ぅ、あああああああああっ⋯⋯!」
あっこら、私を抱きしめるんじゃない。
ああもう⋯⋯胸冷たい⋯⋯。
まったく、もう。
⋯⋯頭くらい、撫でてやるさ、もう。
「⋯⋯すまない。感謝する⋯⋯。」
「少しは気分晴れたかしら。」
あーもう、服、胸の所べったべた。
「ああ⋯⋯。問題、ない。」
「無理はしない様にね。」
水を出して、と。
「ほら、これで顔洗いなさい。頭スッキリと、ね。」
「助かる。」
ばしゃばしゃと。
「ふぅ。⋯⋯これで問題ない。」
「タオルよ。」
「何から何まで、すまない。」
「⋯⋯さっきから気になっていたのだけど。王があまり謝るものではないわ。」
王はどっしりと、威厳を持って。
「⋯⋯そうだな。感謝する。」
「それでよし。」
さて、と。
「移動しましょ。」
「そうだな。」
出発。魔王は、戦った方向を向いて。
「お前の事は、死しても忘れん。長く、共に居た事を、決して。大儀であった、ゆっくりと、休め。ウィグロス、俺の、無二の友よ。」
黙祷。
友の死を乗り越えて、先へと進もうじゃあないか。
友よ、永遠なれ。