村に到着っ!
さらりとした殺し。
こんばんはぁ、アンナちゃんよー。
セイレエルフィの村に連れてってもらえるってことで、遠慮なくついていきます!
水底の穴に入って、進む。真っ暗だけど、明かりの魔術が使われてるね。
結構、眩しい。
「それで、どれ程進むのかしら。」
「もう少し先です⋯⋯。」
へー。
「ところで、なんで片目を閉じているのですか?」
「んー、なんとなく?」
適当にとぼける。
「なんとなく、ですか⋯⋯。」
魔術発動、探査。
「結構遠いのねぇ。」
「そうですね⋯⋯。」
幾つかに枝分かれした水中洞窟。水が透き通ってるわねぇ。
「あ、⋯⋯。ですが⋯⋯。ん⋯⋯、そうですか⋯⋯。」
「どうしたの?」
「いえ、何でもないです⋯⋯。」
ぐねぐねと、分岐を進む。
「にしても、遠いわね?」
「そう、ですね⋯⋯。」
ふーん。
「ねえ、明かり近過ぎ。眩しいわ。」
「すみませんね。」
ふーん?
隠蔽。発動待機。
「そういえば、貴女の名前を聞いておりませんでしたな。」
「私?そうね、グリディナ、とでも。」
アンナちゃんですわ!
「グリディナ殿ですな。おぼえておきましょう。」
「覚えなくていいわよ。」
さて、そろそろかしらねー。
「⋯⋯もうすぐ、です。」
「へぇ。」
「ところで、グリディナ殿。」
「何かしら?」
「村へはたどり着けそうにありませんのでな。」
ふ、と。明かりが消える。真っ暗!
「貴女にはここで⋯⋯。」
「死んでもらおう、って?」
待機解除。魔術発動、スパーク。電の弱いやつが、周辺に!
「ぎぃっ!?」
「あぐうっ!?」
「ひぃんっ!」
「見え見えすぎるわー、つまらないわー。」
閉じてた片目を開けて、と。うん、まあまあ見えるわね。
探査、精度を上げてと。うん、良く見える。
「はめるにしてももうちょい上手くやれないの?馬鹿なの?むしろ間抜け?」
「な、何故分かったのだ⋯⋯。」
「古典的すぎるわー。つまらないわー。つーかどいつもこいつもはめるの分かった時から顔に出てるんだわー。」
間抜けー。
「く⋯⋯!皆、やってしまえ!」
「はい、ビリビリー。」
スパーク。水の中だからもう簡単に止めれる。
「だから言ったのに⋯⋯。」
「ねえ、娘ちゃん。コイツって長?」
「いえ⋯⋯。長の息子です⋯⋯。」
「ならコイツらは?」
「その、友達かと⋯⋯。」
「そーう。なら死んでも問題ないわね。」
「そ、その⋯⋯!」
「コイツらは私を殺そうとした。いいね?」
「う⋯⋯。」
「殺される覚悟もない奴が。世界を舐め腐りすぎなのよね、その身を持って悔やみ死ね。」
魔術発動、風の刃。水の中でもスパッと切れる!切れ味抜群!奥さん、お一ついかがでしょう?
娘ちゃん以外を、すぱっと。ああ、首は貰っておこうね。
「さ、村に案内しなさいな。」
「⋯⋯ぐすっ、はい⋯⋯。」
何を泣いてんのよ。
「なんでも、ないです⋯⋯っ。」
ふーん、まあいいや。
娘ちゃんについていく。ああ、やっぱりそっちよねぇ。
そこから数分しないうちに、上に続く縦穴。
そこを上がって。ああ、ゆっくりとね。急いだら後がキツいよ。
おや、光が見えるわ。
「着きました⋯⋯。」
「ようやくかぁ。」
ここもまた、入った泉みたいに一部が穴になってるのね。
水面から顔を出す。
「ぷはー、あー空気が美味しいわ。」
すご、岩肌に囲まれた、でっかい縦穴。上から光が射し込んでる。
岩壁を削って、そこを住居と通路にしてるのか。凄いわねぇ。奥には滝もあるね。
「少し、待っててください。長を呼んできます。」
「はーい。」
魔術、水流操作。
水面に座って、待つ。んー、遠まきに見られてるわね。
あ、娘ちゃん話しかけられてる。んー。
魔術発動、拡声。こっちに聞こえるようにね。
「ねえ、アイツらはどうしたの!」
「竜が出たってのは!」
「あの人、何?」
「その、今から長を呼びますので⋯⋯。」
「たしか今、客人が来てるとか言ってなかったっけ。」
「かなり偉い人らしいけど。」
「私、入れますかね⋯⋯?」
「なら、俺が行こう。呼んで来ればいいんだな?」
「アンタなら入れるかもね。」
「なら、お願いします。」
大変だねー。つーか、客人?
まあいいか。
盗み聞きしながら、適当に待つかー。
客人⋯⋯はてさて。