竜と遊ぼう!
水の中、一番効く攻撃ってやっぱりあれしかないよねぇ?
こんばんはぁ、アンナちゃんですわよー。
夜の泉、水中。対峙するのは、風飛竜!
纏う風のせいで水がかなり乱れてるけど、そんな事は知るか!
「さぁて、始めましょうか。」
魔術発動、結界!まずはフィールドを作ろうか!
一つ、あの逃げさせた娘の方に影響がないようにする!魔術的にも物理的にも!
「これで、周りに影響はないわね。」
更に結界!
一つ、アレを逃げられなくする!水面も封鎖!
「これで、お前は逃げられない。」
更に更に結界!
一つ、自分の魔術でくらわないように!
「これで、私は大丈夫と。」
更に更に更に結界!
一つ、魔術効果を増幅させる!
「これで、存分に戦えるわねぇ?」
準備完了!
「GRRRRR!」
突進してきたわね!流石に速い!
「んふふふっ。」
避けますわ!水流でぐるぐるしちゃうけどね!
「んふふふふふふ。」
魔術発動、コンセントレート。
風の刃が来た!避ける!
魔術発動、コンセントレート!
突進、避ける!
魔術発動、コンセントレート!
尻尾、避ける!
魔術発動、コンセントレート!
風、避ける!
魔術発動、コンセントレート!
噛み付き、避ける!
魔術発動、コンセントレート!
また尻尾、避ける!
魔術発動、コンセントレート!
水流、避けない!
魔術発動、しない!
「GRRRAAAAAAAHHH!!」
イラついてるね!
「んっふふふふふっ!」
溜めて溜めて溜めて溜めて溜めて溜めてー!!!
「まだ撃たないー♪」
「GRRRRRRRAAAAAAAAAAAAAA!!!」
あははっ、めちゃくちゃイラついてますわねー!
「攻撃して欲しいかしらぁ?でも撃たないー♪」
溜めたのを保留しながら、延々と避けまくるよ!
「まだかなぁー、まだかしらぁー、まだかにゃーん♪」
にゃーん♪
10分くらい、延々と避けまくる!
「GRRRRR!」
うふふふふ。
「そんなに吠えてちゃ、息苦しくないかしらぁ?」
酸欠は怖いわよぉー?
「GHHHHHHHAAAAAARRRRR!!!」
おや、溜めてるわね。一気に開放して、壊すのかしら?
「っふふ、私の魔術を舐めてもらっては困りますわぁ。」
その程度じゃ、本気でつくった結界は壊れない。
「GROOOOOOOOOWWWWW!」
範囲攻撃だね!フン、そんな魔術で大丈夫かしら?
「っふふふっ。余裕ね。」
さてさて、そろそろかしらね。
底の穴の奥から、歌が聴こえてくるもの。
「お出迎えが来ましたし、そろそろおくたばりあそばせ。」
コンセントレート開放。
「遥か天球の更に果て、その頂きの光で染まれ!」
魔術発動!エクス・エルヴブラスト・マグナ!
真っ赤に染まる、至高の放電!
視界が真っ赤に染まる!
肌に触れる水の感触がなくなる!
周囲の空気すら分解される!
そして。
「収束する。」
空気が一気に雪崩れ込む!
視界が戻る。目の前には、水底だった場所。
そして、竜だったモノの残骸らしき、灰と⋯⋯魔石。
魔石、残ってんのかい。私もまだまだね。
紫電の這う水底だった場所。すっごい、水が上に登れない。水滴が水面から少しずつ出てきて、浮いてる。
「⋯⋯私にも紫電が這ってるわ。」
ちょっとぴりぴりする。
「おまた⋯⋯せ?えっと、なんで水がここまでしか⋯⋯?」
水の中から話しかけてくる、娘。ああ、顔は出さない様にね。
「しばらくしたら戻るわよ。それより、後ろのは?」
なんか、沢山武器持った人達が。
「えっと⋯⋯竜は?」
「アレ。」
灰の山を指す。
「じ、じゃあ、さっきの真っ赤な光は⋯⋯?」
「私の魔術よ。案の定、消え失せてしまったわ。」
ニヤリと、笑う。
「これで驚異は去ったでしょう?っふふふふ。」
視界にちらつく紫電。ああ、もう、鬱陶しい。
「魔術発動、キャンセラー。帯電、解放。」
指を鳴らす!紫電が消える!水が吹き上がる!
「わわわわっ!?」
だばーっと、娘とその仲間達がなだれこんでくる。
「これで元通り、っと。」
さてさて。
「さあて、報酬を貰おうかしらね?」
「ほ、報酬⋯⋯?」
「貴女の危険を救って、聖地も竜から奪還したのよ?報酬、出るわよね?」
「う⋯⋯。」
ま、適当に言ってみただけなんだけど。
「⋯⋯旅の者よ。」
なにかしら。一番年上っぽいの。
「申し訳ないが、私達に出せるものは少ない。それでも良いのであれば。」
「具体的には?」
「⋯⋯金銭は余りない。食料は、さほど余りを取っていない。」
「ふーん、そう。それで?」
こいつ交渉下手なのかしらね?というか人と会ってないからか。
「⋯⋯ひとまず、我等の村で饗そう。」
「⋯⋯まあ、いいか。なら、案内しなさいな。」
報酬はそこで決めるのかしらねー。つーかひとまずって言ってしまったからもう。あーあ、下手くそ。
まあいいや、村にごー!
泉が一回り大きくなったのは秘密。