学友で遊ぼう!
だるだるアンナちゃん。
ちわーっすですわ、アンナちゃんですわー。
真に面倒くさいながら午後の実技の授業に来ております。
「今日は剣術と魔術を併せた戦闘の訓練を実戦形式で行う。最近じゃ魔獣が少しずつ見掛けられる様になったからな。」
へー。
「最も、魔獣専門に狩りをしている傭兵も居るらしいが、ここ一ヶ月は動きが無い様だしな。」
へー。
「君達にも、魔獣と戦わざるを得ない場面が出てくると思う。その為にも、より実戦に近い形で訓練をさせよ、という上からのお達しだ。」
へー。
「そこでだ、実際に魔獣と相対した事のある者を手本にしようと思う。そういう訳だ、グリムディア嬢。」
へー⋯⋯えっ?
「手本、とは。」
「アンケートをとったらな、獣とも戦ったことがない者が大半だった。だからそうだな、とりあえず獣と」
「面倒くさいのですが。」
「⋯⋯そう言うな。やらないと実技の成績が無くなるぞ。」
「それは貴方の一存?」
「上からだ。」
うへぇ。
とりあえず成績だけでも取っておかないと後々面倒くさいしなぁ⋯⋯。
「はぁ⋯⋯わかりました。で、相手は。」
「この角うさ」
「却下。弱過ぎ。」
「亀。」
「却下。動かない相手を苛めるだけになりますが。」
「⋯⋯狼。」
「却下、脆い。」
「とはいえ生徒の安全を考えるとこのくらいしかないのだ。」
「⋯⋯⋯⋯まあ、いいでしょう。生徒の方に行かないようにしてくださいね。」
「いいだろう。」
という訳で狼を倒せ、ということで。
檻に入った狼が来た。あー、うん。
「弱ってるわね⋯⋯。」
げんなり。
「ほら、行くぞ。準備は。」
「いつでもいいわ。」
剣すら抜きませんが。
「結界よ、生徒を守れ!」
観戦する生徒に、結界が張られて。
「檻を開けろ!」
開く檻。狼は軽くあたりを見渡して、結界に気付いて。
んで、私を見ると。
「お前も大変ね。ほら、本気をみせてみなさい。」
魔術、リフレッシュ。ほら、元気になったでしょう。
んー、驚いてるね。
「ほら、私と戦うのよ。来なさいな。」
手招き。
状況が解ったのか、戦闘態勢に入る狼。
ヤル気になってくれて悪いのだけど⋯⋯。
「一撃で終わらせてあげるわ。」
少し逡巡、力の差を分かっているのかしらね。それでも意を決して、突っ込んで来る狼。
「おやすみなさい。」
なんか可哀相になってきたし、気絶で済ませようかな⋯⋯。なので!
その頭を、蹴り上げる!
吹っ飛ぶ狼。頭が揺れて、もう立ち上がれない。
はぁ。
「これで満足かしら、センセイ?」
「う、ぐ⋯⋯。手本にならん⋯⋯。」
だから言ったのに。
結界の向こうでは、クラスの奴らが唖然としてる。はいはい、そういうのいいから。
「獣程度じゃつまらないわ。態々私にやらせるくらいなのだから、何かないのかしら。」
「ううむ⋯⋯。」
無いのね。
「魔獣くらい捕まえて来なさいよ。」
「⋯⋯⋯⋯わかった。少し待ってろ。」
あるの!?
とりあえず、待つ。その間どうしようかな⋯⋯雲でも見てるかなぁ。
「グリムディア嬢!」
誰。
「かなりの強者と見た!俺と一戦お願い致す!」
あー、武人君だ。
「⋯⋯暇潰しにはなる、かしら。いいでしょう、相手致しましょうか。」
暇潰し決定!
構える武人君、私は⋯⋯そうね、双剣の⋯⋯片方だけで。
「では、行きます!」
突っ込んでくる。あー、こいつ最初から肩を借りる感じかしら。
⋯⋯ふふ。わかったよ。
「せりゃあっ!」
「甘い。」
剣で受け流す。ほう、よろめかない。
「せいっ!」
横薙ぎ、これは避ける。
縦振り、逸らす。
袈裟斬り、流す。
その場でくるくる、受けて流して避けて逸らして、くるくると。
「やっぱりやりますね⋯⋯これならどうだっ!」
割と速い突き!んふふ。
「こうすれば動けない。」
ジャンプ!
突き、その剣の上に⋯⋯乗るよ!
「なっ!」
案の定止まる。
で、胸を蹴り飛ばす。よろめく武人君。
「ふふ、まあまあね。」
「⋯⋯やるッ!」
再度来る武人君。今度は剣で軽く相手。
というか、私はもはやダンスしてますけどね!
回って、ステップ、回転して、身体を反らして。
「ふんふふんふふーん。」
「くっ⋯⋯!」
「ころ?」
男のくっころはころころされるだけよー。
という訳で、ころころします。
剣を振った所を引っ掛けて、態勢崩させて。
ついでに勢いをつけて、転ばせる。
「うわぁっ!?」
おお、よく転がった。
「ほらほら、まだ時間はありそうよ。」
「⋯⋯行きますッ!」
そうね、次は⋯⋯あえて隙をつくってみよーかなー。
剣で相手、そこに一瞬の隙を入れる。
「⋯⋯!そこっ!」
受け流す。ほー、対応してくるね。
隙を突く練習、みたいな?そんな事をちょいちょいと。
で、武人君に隙があったら、そこを適当に攻撃。
⋯⋯もはやこれ、稽古じゃない?
「ま、いっか。ほら次よ。」
「せりゃあぁっ!」
流石にスタミナはあるねー。
けど、そろそろ飽きてきた。
「ほら、そろそろおしまいよ。全身全霊で一撃来なさいな。」
「いいでしょう、行きますッ!」
一瞬、息を整えて。剣を腰に、溜めからの。
「オォラァッ!」
踏み込み袈裟斬り。ほお、かなり速いね!
「なかなか良かったわ。」
剣を回して、迫る剣を飛ばす。よし、しゅーりょー。
「⋯⋯ありがとうございました!」
よし、暇潰し終了。さて。
「準備はできたのかしら。」
「待たせたな。研究用に捕獲したモノを持ってきた。研究者が観戦するが、いいか?」
「いいも何もどうせみるのでしょう。」
「まあ、な。⋯⋯では、よろしく。」
研究者がぞろぞろと。大きな檻、幌がかかってるのを持ってきた。
さて、何が出るのかしらね。
期待は⋯⋯しないでおこうかしらね。
期待のできないプレゼント⋯⋯。