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悪役令嬢(壊)の楽しいエンドレス人生!  作者: りんねしん(邪神)
3180周目!
108/204

黒き災厄、喰らいしモノ。

世界に産まれ堕ちるは、蠱毒の果て。

やっほう、アンナちゃんよ。


もりのなかにいる!


でかい反応に向かって、森を進んでいる訳なんだけど。


「……おかしい。おかしいわ。何故虫の声すら聴こえない……?」


虫が鳴く音、地を這う音、木々を飛び抜ける音、地中を進む音。


その全てが聞こえない。


魔術、探査。…………おかしい。何も反応しない。あるのは、奥のデカい反応のみ。


……とても、嫌な予感がする。今までこんな事は無かった。この世界が特殊だから?


それにしては、異常すぎるわ。


「……ここで進むか、引き返すか。」


ここで決めないと。


「……引き返すゥ?私が?突き進むしか能のねェ私がかァ?」


そんな選択はありえねー。


「ふふ、そうね。私には進む事しか無い。」


「そうだとも、進もうじゃあないか。輪廻の果てまでなァ!」


「ッフフ。よし、行くわよ。」


目標、奥のデカい反応。


森を掻き分け奥へ、奥へ!




「……ここがあのナントカのハウスね。」


森の奥、小さな広場。獣の死体が散乱して、ひどい臭い。なのに、死体に虫が湧いてない。


その真ん中に、何かの……繭?


「デカい、わね。」


大体、5mは優にある繭。


「コイツから逃げて来てたのね。」


辺りに動くモノの反応無し。


「よし。壊すかな。」


孵化する前に、ね。


剣を握って、いつでも斬れる様に。


魔力を待機状態に。


「さあ、行くわよ。」


禁術発動。ブラスティラヴァ!


噴き上がる炎に呑み込まれる繭!


「……。」


まだ、形は残っている。


「……。」


まだ、溶けはしていない。


「……!」


まだ、壊れ……っ!


咄嗟に飛び退く!一瞬前にいた所に、巨大な……顎!?


「……おいおい、マジかよ……。」


繭が壊れて、黒い靄が噴き出す。中から出てくる、人など優に握りつぶせるほどの右腕。その先に付いた狼の顎。


太く、しなやかに、異形の姿をとるワームの左腕。その先に付いた、巨大な鋏のようになった鳥の嘴。


強固、頑強、筋肉の塊が下半身を形成し、その先に付くのは巨木かと見間違えるほどの猪の四本脚。


上半身は筋骨隆々、爛れた皮膚が禍々しいオークの身体。


そして頭は鳥の羽が埋め尽くし、その中から巨大なうさぎの一本角。狼の口に、禍々しく乱杭歯が生える。


羽の合間から見えるは、歪に肥大化した片目、もう片方の眼窩は角が飛び出す。


立ち上がった姿は木々を突き抜け、動けば木々をなぎ倒す。


「なに、これ。」


キマイラ?いや、違う。キマイラならもう少し整っている。


探査に反応。


「コイツ、魔石を六つ持っている……?」


神話に出てくる、魔獣。その中でも、暴走、暴食、災厄となるモノ。


「おいおい、まさか……!」


魔獣同士が喰らい合い、蠱毒のように力をつけたモノ。


「蠱毒ノ王……。モンスター……!」


青が危険視したシロモノ。


「ッフフフフフ!」


こちらを認識する、化物。


「相手にとって、不足ナシ!」


これ、これだ、これこそが!


「私の求めていた戦い!」


「GGGGGGGGGGGGGGGHHHHHHHHHHHRRRRRRRRRRRRAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!」


世界に響く、絶望の声!


「いいねぇいいねぇいいわねぇ!さあ、殺ろうか!」


私の方向に踏み出すモンスター!


「そうらァ!先ずはこれよ!」


禁術発動!神鳴!


禁術発動!ダイダルウェーブ!


禁術発動!ブラスティラヴァ!


「ッハ!効いてねえわ!」


駄目か!表面焼け焦げたけど、効いてる感じしないわ!


「んなら、これはどうかしらァ!」


剣を!そして、魔術発動!風の刃!


脚を狙って斬り、抉る!


「ほぅら!一本貰いっ!」


斬り飛ばす!


「どうか……なぁっ!?」


斬った所!肉が蠢いて!再生してるっ!?


「……けど、飛ばした方は崩れ落ちると。」


ボロボロの肉塊に。ふむ。


「…………アッハァ♪勝機、見えたりィ♪」


要は……あれね。


「ミンチにしてあげる。」


さあ、やるよ!









モンスター、それは世界の怒り。

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