試し斬り、かしらぁ。
軽く身体を動かそう!
はっ、寝てましたわ!……アンナちゃんですわー。
隣は……あ、起きてる。ぼーっと街の方見てる。
「あ、おはよー。ぐっすりだったねー。」
「おはようございます。……今、何時でしょうか。」
「大体、昼前だねー。もうすぐお昼かなー。」
結構寝たわね……。
「お、鐘が鳴ったね。お昼、食べに行こう?」
「御一緒しますわ。」
食堂に行きましょ。
「結構混みますね……。」
「そだねー。」
席、確保。二人でお昼。のーんびり食べましょう。
「美味しいですわー。」
「美味しいねー。」
ここのご飯も美味しいのよねぇ。
ゆっくり食べて、食べ終わって。お茶でも飲んで。まったり。
で、また屋根にもどって、ぼーっと。
ゆるーい時間が流れていたのだけれど。
「……ねえ、なんか向こう騒がしくない?」
「そうですわね。何があったのでしょう。」
運動場の方。いやもっと向こう、森がある方。
「んー。」
魔術、拡声。向こうの声を聞こえやすく。
「生徒を逃がせ!」
「なんでここに!」
んん?
魔術、遠視。
逃げる生徒、誘導する教師、その奥に戦う数人の巡回兵士と……目が赤い、黒い狼が一匹。
魔獣!
「っふふ。魔獣みたいですわ。」
「えっ……。」
兵士は三人、頑張って相手してるみたいだけど……あ、一人死んだ。
「どうやら、巡回兵士では歯が立たないみたいですわ。」
「ヤバいじゃん。……森から来たのかな。でもあそこ、守護神の森でしょ。」
「みたいですわね。流石に守護神も森の外周部までは見きれないのかも。」
もしくはそこで発生したか。
なんにせよ、小隊が必要とかいう魔獣が一匹。
「腕試しといきましょうか……っふふふふふふ。」
いざ、目標は是に。
「ちょっと行ってきますわね。」
「えっ、ちょっと!」
屋根から飛び降りる。壁を蹴って、飛んで。
着地は滑るように、魔術を使って。
そして地面を蹴って、さらに加速!
逃げてきた生徒を横目に、魔獣の方へ。……今の集団、うちのクラスだったね。はぁ。まあいいや。
「……アンナ……?」
「アンナ様っ!?」
「おいっ、そっちは!」
なんか言ってたけど無視で。
魔獣が見えた!……兵士は、居ない、死体が三つ!やられたかぁ。
上々。存分に暴れよう。
「GHARRRRRR!」
こっちを認識したね、飛びかかってきた!
「……遅い、ですわ。」
簡単に避ける。反転してくる、けど遅い。
「さあ、先ずは一つ!」
剣で身体を斬る。ああ、毛皮も固くなってるね。斬れるけど。
適当にぐるぐると周りを廻って、観察する。うーん、これなら余裕で勝てるわ。危機じゃあないわね。
「これが小隊一つ分、かぁ。」
弱い。兵士が。
ま、私の知ったことではないのだけれど。
「GRA!」
「うるさい。」
攻撃してきた魔獣を適当に蹴り飛ばす。
「いたぞ!」
「アンナ様っ!お逃げをっ!」
……なんでお前ら戻ってくるかな。ひとまず兵士は連れてきてるみたいだけど、もう要らない。
「邪魔……ね。」
奴らに向かって、あっちいけのジェスチャー。
まあ、大人しくあっち行ってくれないんだけど。
「危ないですよ、こっち来ないでください。」
「アンナ様もはやくお逃げを!」
あー、面倒くさい。
「GRRRRAAA!!」
「キャアア!」
「アンナっ!」
うっせェ。
剣を逆手に、腕だけで真後ろに横薙ぎ。
吹っ飛ぶ魔獣。
「さっさと片付けましょうか。」
剣を持ち直して。
まずは……そうね。
また飛びかかってきた魔獣、それとすれ違う様に……一直線で身体を斬る!
で、反転。振り返り際を狙って、身体の反対側ー!
……これでも死なないか。となるとコア持ちかしら?
なら、これで。
「今回は上手くいくかしら……ねっ!」
魔獣の首を横から突き刺してー!
さっき斬った線に沿って、線を貫通させるように!
背骨に沿って、上と下になる様に!
斬ったら、首の切り口から……口角の部分まで斬る!
これでよし!上、下、背骨で!
「魔獣の三枚おろし、できましたわ♪」
上手におろせましたわ!
ついでに、コアを回収。赤いねー。
「兵士!この死体、回収頼みますわ。では。」
「……は、はっ!」
よし。屋根に戻りますかー。
魔術、転移!
クラスメイトが話しかけようとしてた気がするけど、まあいいや!
ばいばーい。
綺麗な三枚おろし。