とりあえず、お勉強でも。
お勉強する(しない)。
こんにちは、アンナちゃんですわ。
はい、例のごとく時間が飛んで、15歳になりましたわ。
だって、その間本当に何も無かったのですから……。
危機とは、一体。
まあ、いいですけど。
ひとまず、学園に入学。何時もの彼等と顔を合わせて。
私は、彼等とは話しませんが何か。
……関わるとろくなことがない。
何度殺したことか。
何度殺されたことか。
まあ、いいですけどね。
「アンナ・グリムディアです。宜しくお願いしますわ。」
簡単に。
第三王子の方を見もしません。
「アンナ様、第三王子と婚約の件、どうなっているのですか?」
「あまりそういう噂を聞かなくて……失礼ながら、直接伺いに参りましたわ。」
「そうねぇ……。」
「それについては、私の方からも聞きたいな、アンナ。」
「……。」
チッ、第三王子が入ってきた。
「何用で。用が無いのなら不用意に口を開かない事です。」
「なっ。」
とんでもなく冷たい瞳で!
「まあ、見ての通りですわ。」
「えっ、と……。」
「ま、まてアンナ、何故私をその様な目で見る!私が何かしたか!」
ええ、過去で沢山。
「……。」
話すのも面倒くさい。
「答えろ、アンナ!」
面倒くせぇ……。
「おい、聞いているのか!」
あぁ、鬱陶しいなァ……。
「あ、あの、アンナ様……?」
「なにかしら。」
「え、その……。」
「おい、アンナ!」
第三王子の顔に急接近して、ぶつかる間際まで近づいて。
「軽々しく私を呼ぶんじゃねェよ下郎が……。」
小声で。
殺気を存分に込めて!
「な、なっ……!」
さて逃げましょ。早速授業をボイコット!
「ごめんあそばせ、おほほほほ……。」
転移!屋上!
行き先の痕跡すら残さない、だって私はアンナちゃんだから!!!
うふふふふ。
屋上に来たら、屋根の上の物陰になる所に。ハンカチでも敷いて、座る。
さてさて……家では出来なかった事をしましょうか。
「まずはこれ、愛剣の手入れですわ!はぁ、ようやく出来ますわ……。」
巫女になった時に、いつの間にかあった代物。切れ味抜群、強度もかなりの、白い双剣。
そう、白い双剣。これを磨いていく。
「ふんふふーん、ふふんふーん。」
造形も綺麗だし、生きているモノを斬ると喜んでる気がするこの双剣。かなりのお気に入りですわぁ。
「なんだか、何かを斬りたくなってきましたわ……。」
とりあえず、いい感じの敵を想像して、振る。
「そうねぇ……ラディーちゃんあたりを想像しましょ。」
立ち回り、回避、くるくると。
避けて、避けて、懐に。
廻って、廻って、背中へと。
首を斬り取り、持ち上げる。
「あらら……残念、上手く抜けませんでしたわ……。」
やっぱり、引っかかる……。途中で折れちゃう。
「うーん……。おっととと。」
コアを抜き取り忘れるなんて。
「危ない危ない……。」
まあ、行動パターンは読めているのですけど。
「ふぅ……。」
……さて。
「そこにいるのは誰かしら。」
剣は握ったままで。
「先客が凄い剣さばきの剣客だった件について……。」
「……サボりの取締かしら?」
先輩かな。
「いや、私もサボりだ……とりあえずその剣をどうにかしてくれないかな……。斬られそう。」
「おっと、失礼しましたわ。」
剣を収めて。
「ありがとう。……それにしても、見ない顔。新入生?」
「ええ。という事は、先輩かしら。」
「そうだよー、三年目。」
あらま、二個上。
「ま、歳とか気にしないでー。それより、凄い剣さばきだったねー。」
「ふふ、ありがとうございます。」
まあ、かなり経験しましたから。
「まー、私はだらーっとしてるから。気にしなくていいよー。」
屋根に寝転んで、ぼーっとし始めたわ……。
なら、そうね。
隣に寝転ぶ。
「あれ、もう剣振らないの?」
「空を眺めるのも良いかと。」
「そだねー。」
二人で、ぼーっと。……隣から寝息が聞こえてくる。早い。
私も寝ましょうか……。
すやぁ。
この時はまだ、剣は白い。そしてラディーちゃんは既に攻略済み。