すごい世界に来ちゃったよ、アンナちゃん!
新たな世界はちょっと、特殊。
……はっ!
ここは神殿っ!
こんにちは、アンナちゃんですわ。
また、私はループしたのですね。
「輪廻神の、祝福か……。」
「なんと……家の娘が……。」
……あれ?なんか雰囲気が。
「邪神と言われる神の巫女、か。いや、よそう……。」
「そう、か。……アンナ。」
なんですか父上。
「お前も解っているだろうが……今、この世界には危機が迫っている。」
……んん?
「お前も、これから先戦いに否応なく巻き込まれる。ましてや、輪廻神の巫女というモノになってはな。」
ちょっと、状況が掴めません。
「まさか、私の娘が……。」
父上?私の肩掴むのはいいけど項垂れないでくださいまし?
「……えっと、あの、お父様?ひっじょーーに言いにくいのですが。」
「なんだ……。」
「この世界について、再度説明を頂けません?何が、どう、危機なのか。」
「何を言っている?」
「……えっと。」
全然解りません。しかしまあ説明しようもなし……うーん?
いきなりバラしてみましょうか。
「お父様、先ずは私……輪廻神の巫女について、現在の状況を説明します。」
「……よくわからんが、聞こう。」
神殿の奴らも興味あるみたいで、聞き耳たててる。
「えー、では。」
なんと説明しようかな。
「私、こんな世界の経験ないですわ!あっははは!こんな始まり方は初めてかも!」
「あ、アンナ……?」
「ああ、お父様、私はアンナ・グリムディアと申します。輪廻神の巫女にして、シャムシャラの亡霊にございますわぁ。」
「亡霊……?」
「まて、その名前を何故知っているのだ!」
ああ、禁書だっけ。
「昔、昔、読みましたから。……別の世界で、ね。」
「別の世界だと?」
「ええ、そうですよぅ。これで、……何回目の世界でしたか。」
「ま、まて、何を言って。」
「まあ、いいでしょう。ふふ、輪廻神の巫女はですね。同じ様な……世界を廻り続けるのですわ。輪廻の様に。」
「な……。」
「しかし……生憎とこの世界は初めてですわね。前知識も無し、何が脅威なのかしらね。」
「……。」
「まあ、簡単に言うとですね。私は何を殺せばいいのかしら?魔王?」
「魔獣、だ。輪廻神の巫女。」
聞いたことある、女の声。
「久し振りですわね、アンナ。」
こっちも聞いたことある、女の声。
「お前達、勝手に入ってきては!」
「いいじゃないか、神殿長。同じ巫女なのだし。」
「そうですわ。堅いこと言ってはね。」
「……とりあえず、魔獣とは?」
「神話に出てくる、黒き獣。精霊王の逸話にある、門を守る獣だ。」
「ああ、そんなのもありました…………ね?」
暴走して、大増殖して、世界を滅ぼしかけたやつ。大体赤いののせい。
「今、魔獣が複数の場所で確認されているのですわ。今は小動物程度が魔獣化している程度ですが。」
「神話のとおりだとすれば、手を打たなければ世界が飲み込まれる。」
「だから、危機が迫っている、って事なのね。」
はー、獣狩りかぁ。
まあ、人間同士で滅ぼしあってる訳ではないのね。
「とはいえ、アンナ。」
途中空気だった父上。何かしら。
「お前が幾つもの世界を廻っていた、という事は……理解しがたいが、飲み込もう。戦えるという事も。」
ええ。
「しかし、お前は未だ10になったばかりだ。先ずは、ゆっくりと、この世界について学ぶべきだ。」
あら。
「そうは思わないか、巫女達。」
「そうだな。危機が迫ってはいるが……まだ、余裕も少しはある。」
「なに、今日は確認に来ただけですわ。」
えっと、なに。まだ戦わなくてよろしいので?
「ならば、私達は失礼する。少々、話し合わなくては。」
えー。
ま、いいかしらー。
「よくわかりませんが、失礼致します……ところで、誰?」
「ああ、失礼。私はスティティーラ。秤神の巫女をしている。」
「私はレティシア。戦姫神の巫女をしておりますわ。……幼い頃にお会いしましたわよ?」
…………ああ、レティシアお姉様か……。じゃじゃ馬の……。
「……うっすら、と思い出しましたわ……。」
「ふふ。数年後、アンナが戦える年齢になってからまた、お会いしましょう。」
……そうですかー。
とりあえず、父上に連れられて神殿を出る。
しかしまあ、なんでしょうね。
「少々特殊な世界なのかしら……。」
魔獣が出た、なんて聞いたことも無し。
今回は獣狩りメインの周になりそうですわね。
……さて、と。
3180周目。いきましょうか。
アンナちゃん、一度壊れて吹っ切れてはいるけどまだ、狂ってはないと時のお話。