ゾンビ (短編小説)
なんの脈絡も、なんの意味も無い物語です。
01
私は、とある悪魔と契約を交わした。
契約内容
①私が得たものは強靭な肉体と、不眠の能力。
②私が失ったものは『心』。
02
そんな私にとある者は、私の事をとても美しいという。
そしてとある者は、私の事をとても醜いという。
私の事をとても美しいという者は、私には余計なもの(心)が無く、ただただ純粋に鍛え上げられた肉体美があるのみなので美しいという。
逆に、私の事をとても醜いという者は、私には心が無いので、そんなものはただのギリシャ彫刻のようなものだ。ただのオブジェクトだ。という。
しかし、心の無くなった私にとっては私自身が美しいか醜いのかどうかはもう、そんなのはどうでもよい事である。
私は全く眠らなくても生きてゆける。
1日、8時間眠らなくても、つまり人生の3分の1を無駄にせずに生きてゆける。
今の私にとっては睡眠とは意味のあるものなのか? それとも睡眠とはまったく意味の無いものなのだろうか? ・・・・・・なんて、もうどうでもよい。
そして私は、他の人よりも30パーセントの時間長く人生を生きられると思ったのだけれどもしかし、悪魔はそんなになま優しくは無かった・・・・・・。
03
実は私は、眠らない30パーセント分早く年をとるようになったのだ。
私は他の人よりも30パーセント寿命が短くなったのである。
しかし心を持たない私にはそんな事は本当は些細な事であった。
私はゾンビとなった。
私は生ける屍。
私は虚無な存在となった。
私は意味無く無意味に夜の街を徘徊し、昼の墓場を徘徊した。
心を失った私は生きてゆく意味を失った事すら気がつかない。
快楽も、苦痛も、眠る意味も、食べる意味も、人と会話をする意味も失った。
私はただ存在するだけ。
ただ存在するためだけに存在をしている。
意味も無く。
目的も無く。
これではもはや私は、存在も無く存在をしているようなものである。
04
そして、私はやがて悪魔となった。
心を欲する悪魔と化した。
今や私はいずれ、他の誰か人間と悪魔の契約を交わし、その交換条件として心を手に入れて、人間として死ぬであろう。
そして今度はその誰かが、美しい虚ろな彫刻と化して、醜いゾンビと化して、失ったものを取り戻したい悪魔と化するであろう。
これはそんな、なんの意味も持たない物語である。
比喩も、皮肉も、意味深長も、解釈も、啓蒙も、警告も、警鐘も、ことわざも、格言も、なんの教育ももたらさない物語である。
05
しかし敢えて言うならば、なんの脈絡も無いが、矛盾に満ちているが、鏡に映っている自分の姿を好きか? 嫌いか? と、想う心。
人生はいかに、自分が自分で自分に意味をつくりだすかなりけり。
【終】
☆あとがき☆
これはなんとなく書いてみた物語です。
他の短編小説もよろしく読んでみてね☆




