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短編

私の何が悪いんですか!?

作者:

 高島雨音たかしまあまね、只今ニート……じゃ無かった、就活真っ最中のアラサー女。


 いやぁ、世の中甘くないよね。知ってはいたけど、今現在も荒波に揉まれまくって生きる気力が無くなりそうです。世知辛いってこういう時に使うのかな?違う?


 去年の10月に長年勤めた職場を辞めた。全国に100を超える店舗を持つ、有名な雑貨店。6年10ヶ月、オープニングから頑張ったなぁ。でも、ずっとアルバイトだったけどね。社員登用制度はあったけど、中々にグレーな会社で給料と労働が見合ってなかったので、融通の利くアルバイトのまま働いた。転勤があったのも私的には無理だった。

 しかも、アルバイトでは雇用保険にすら入れる人数に決まりがあった。雇われ条件は勤務日数週5~6日、実働7.5~8h、休憩1h有。

 本来ならば雇用保険に入らなければいけない条件だったらしい。入社した時は二十歳過ぎのまだまだ若い時で、社会保障なる制度もあまり理解してなかったから気にしてなかったのだけど、仕事を辞めてから困った困った。今現在、お金に困る生活してるからね。借金が膨れるばかり……


 だから、次の職場は社会保障がしっかりしてる所を!!最低でも雇用保険には入りたい!!という気持ちを持って仕事探しをしているのだけど……全然決まらない……


 『未経験者歓迎』とか、『この業界に詳しくない方でもやる気があれば大丈夫』とか書いてるところに行ってみるも、次々と返送される履歴書達。

 証明写真だってタダじゃない。履歴書が返送されるのは助かるが、すべての会社が返してくれるわけではないのが痛い。

 

 一体私の何がいけないのか……やる気はあるよ。未経験の仕事でも少しでも早く役に立てる様に努力する。やっぱり、面接が苦手でその辺を上手く伝えられないのが悪いんだろうか?それとも容姿?たしかにおデブですが……顔は平凡ですよ?それだけではダメですか?


 母親と2人暮しで、このあいだ母も職を失いまして……母娘揃ってプー太郎。お金を借りるのも闇金に近い所からだし、なんでこんな悪循環になっているのか。本当に泣きたい。泣いてどうなるわけでもないのだけど、周りにそういった事に詳しい人が居ないし、頼れる人も居ない。助けて欲しいときに、助けてと声を上げれる場所を知らない。社会人になって、正社員で働いた事もないアラサー女が、まともな職につく事は許されないのだろうかとまで思ってきた。

 何か手に職があるわけでもない、大した資格も持ってない。今までが運が良すぎたのかもしれない。きっと今が転機なんだと言い聞かせて頑張っているけど、日に日に後ろ向きになる思考を、悟られないように明るく振舞って必死で隠す。


 一人になった時に考える。無知ほど恥なものはない。こんな状況なのに、何も知らない自分に腹が立って、才能の一つでもあれば楽に呼吸が出来たのにと何度も考える。そんな夢みたいな事を考えるから馬鹿なのだと、悲しくてひたすら泣いて疲れて……そして、歯を食いしばってまた前を見ようと頑張る。


 話を聞いてくれる友は居ても、助けてくれる友は居ない。誰かにそばにいて欲しいのに、彼氏すら居ないから心がどんどん病んでいく。それが滲み出してしまうんだろうか……


 10代の時に思い描いた夢は、所詮夢でしかないと大人になって実感する。『諦めずに自分の思った道を進むと自ずと昔の思い描いた自分に近づく』とか、色んな成功者が言ってるけど、パラパラと読んでて気づくのは、皆そこまでお金に困る生活をしてなかった人達ばかり。

 一握りは、『借金〇〇〇円から、年収〇〇〇円になった』みたいな人も居るけど、運を物にした人達なんだなって思う。そんな人達はちゃんと才能があるって分かってる。


 自分にもそんな才能があったら、借金なんか無ければ、宝くじが当たれば……

 『たられば』でしか話ができない自分に更に腹が立って、現実を見ようと1人、ほっぺたをぺしぺし叩いて喝を入れる。そんな生活もやっとこ終りを迎えようとしていた。


 20も超えた面接件数、手帳を見ながら溜息をついたその時、スマホが着信を知らせるメロディを流した。


~♪~♪~♪


「もしもし」

『もしもし。私、株式会社あさま屋採用担当者のくれと申します。』

「あ!はい。」

『先日は面接にお越しくださいまして誠に有り難うございます。本日は採用のご連絡をさせて頂きました。』

「…………えっ!!あっ、有り難うございます!」

『はい。出勤日のご相談なのですが、面接の時にお伺いしたように即日の勤務可能に変更はないですか?』

「はい!何時でも勤務可能です。」

『えっと……でしたら、明後日の朝9時よりの勤務でも構いませんか?』

「はい。出れます!」

『有り難うございます。そうしましたら、明後日の朝9時にお店の前で私、呉がお待ちしておりますので。』

「分かりました。有難う御座いました!!」

『はい。失礼いたします。』

「失礼いたします。」


 電話を切った後、思わず「やったぁぁぁぁぁぁ!!」と叫んでしまったのは仕方ないだろう。働いてみたいと思った場所とは違うけれど、正社員での契約で、交通費も全額支給だし社会保障もばっちり付いている。給料は20万無いが、前のバイトの時も交通費含めて14万あったらいい方だったので、保険料等引かれても、バイトの時と同じくらいは手元にある筈だ。やりたい事や、欲しい物をやっと我慢せずに済む。


 とりあえず、支払いを待ってもらっている市民税を分割にしてもらうべく役所に電話だ。去年の分から払わないといけないから分割で。本当は1万ずつ払いたい所だけど、6千円ずつでもいいかなぁ?一昨年は6千円ずつ10回払いでお願いしたからいけるかな?この市民税も会社が給料から天引して払ってくれるところもあるって聞いたけど、前のバイト先はそんな事もしてくれて無かったからなぁ。店長に聞いた事あるけど、社員すらもされて無かったらしい。


 今回受かった所はちゃんと会社がやってくれる事も確認済み。とりあえず、支払いできる目処はたったし良かったぁ。後は、地道に借りた借金の返済と、クレジットカードの返済、市民税に定期購入してる雑誌の支払い、ネット代に携帯代……全部含めて5~6万は消えちゃうからなぁ……

 クレジットカードも何とかリボ払いで凌ぐって事もしなくて済むから良かった。リボ払いって便利だけど、ただの分割払いだから使える上限が減っていくんだよね。しばらくは使う予定もないから早く払い終わりたい。


 本当に就職までの道程が長すぎて、このまま就職出来ないかと思った。良かったぁ、また働ける。落ち着いたら友達とお茶に行こう。いっぱい話し聞いてもらう。カラオケにも行きたいし、遊びにだって行きたい。欲を言えば彼氏も欲しい!!だって彼氏いない歴イコール年齢っていうかなり残念なアラサーですから……友達はすぐに彼氏作るんだけど、どこで捕まえてくるんだ?って、友達の交友関係広いからな。誰か紹介してくれんだろうな。


 さて、明後日に備えてカバンの準備!!メモ帳にボールペン、電卓にハサミ、カッター。お母さんが帰ってきたら報告しなきゃ!!早くお母さんも仕事見つかればいいなぁ。

 

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