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75話 開始

漸く、書き始める踏ん切りがついた気がします。

少しずつですが、書き進めたいと思いますので宜しくお願いします!







 決闘が決まり、周りがザワザワと騒ぎながら決闘をする為の準備をしてくれている。

俺の周りには勝利を信じて疑わないイエイヌが控え、隊長さんはうんうんと頷きながらこれで良しと言った感じだ。この人は熱くなると、意外と人の話を聞かないんだな。

オイバザードさんは流石の良識人だよ。そっと申し訳ないねっと言った感じの表情を向けてくれている。俺もオイバザードさんには大丈夫と合図で返しておいた。


 場所の準備が出来るまでに、この国で使われている銃の説明を銃士隊の兵士から受けた。

見た目はウィンチェスターライフルに近いが素材から違う。鉄系の金属に銀を混ぜた素材だそうで、魔力の通りが良くなっている。何故そうなっているかと言うと、本来弾丸に使われている薬莢内の火薬の代わりに魔力を使っているからだ。銃の引き金を引くと、蚊が止まる位の気にならない量の魔力を吸い取り撃針に送られて、薬莢の雷管の位置にある魔法陣を突く。すると魔法陣に刻まれている魔法が薬莢内部で爆発して弾丸が発射される仕組みらしい。本来は実弾ではなく魔力その物を弾丸にして発射するそうだがそう言った物はすでに遺跡から発掘される破損した状態の物ばかりで使えないそうだ。

各国でも使える物がなく、今のような物が限界らしいが、その有効性は弓よりは高いとされている。

弓の方が現在の銃よりも有効性が高い。弾丸と矢では矢の方が安いし生産性も高い。弓本体も同様だ。

しかし、射程距離や威力は銃の方が高い。

それでも弓が使われるのは発射の際の発射音がしないからだ。(まあ俺の銃だったらサイレンサーを付ければ音はしないから問題無いな。)

それとコストで考えると弓が勝る。弾丸1つに対して矢が10本の価格で済むらしい。まぁその価格は、弾丸の本体になる弾頭の素材によっても変わるそうだが。


「準備が整いました!ご案内しますので会場にお越し下さい!」


 俺に説明してくれていた兵士とは別の兵士の人が準備が出来たと呼びに来てくれた。

「分かった」っと返事をして迎えに来た兵士の人と会場に向かう。

会場となった訓練施設は広い射撃施設から一転、障害物等が設置されているインドアフィールドの様な形になっていた。


「ふん、良く逃げずに来たものだ」


 オービスが試合会場の中央で待ち構えていた。

装備品は見た限りだと金属製の防具を一部、プロテクターの様に流用して関節部や急所を守る防具を身に着けていて。武器はこの国で採用されているライフル銃だけの様だ。・・・見た限りではだが。


「俺が逃げる意味が有るとでも?

まぁ確かに逃げたくなるくらい面倒だけどな」


 相手を挑発しながら俺も中央に向かう。


「私と戦うのが面倒だと?この私は貴様なんぞとは違い、責任ある貴族なのだぞ。

それも地位ある貴族だ。貴様のような平民が軽々しく口を利いて良い存在ではないわ!

訓練とは言え、私と一戦交える事を光栄に思うが良い」


「はいはい、大変光栄ですよ。直ぐに忘れそうだけどな」


「減らず口が、その口を結果で黙らせてやろう」


 向こうはやる気満々だが、俺はやる気は相変わらず起きない。そもそも俺に何のメリットもない争いだ。考えもなく勢いで言ってしまっただけの事だからやる気が起きようもない。

だからと言って負ける気もないけどな。


「分かった分かった。っで?どう言うルールなんだ?

まさか相手が死ぬまでって事じゃないんだろ?」


「当り前だ。今回は決闘とは言え、殺しては自分も死罪になる。

万が一の事故で、相手が死ぬのは仕方のない事だがな」


 万が一の部分で口がニヤケていやがる。こいつ何かしでかす積もりか?


「双方中央へ!」


 隊長さんが審判役なのか、レフリーの様に支持を出した。と言っても俺もオービスも既に中央に居たんだけどな。


「試合の前にルールを確認する。

1つ、実戦では無いので実弾ではなく着色弾を使う事。着色部分を当り判定とする。

1つ、真剣の使用は禁止とする。剣等の刃物類の使用は模造刀とする事。

1つ、今回の試合会場はランダムで決められた会場である事を了承する事。

   不服の場合は事前に申告する事。

1つ、勝敗の判定は審判3人での判定。若しくは対戦者の棄権が有った場合とする。

1つ、試合中の事故による負傷、及び死亡についての責任は自分自身にある者とする。

両者とも宜しいか?」


 お互い無言で頷く。

実弾については先きに聞いていて、コンビニにしれっと買いに行ってあるから問題ない。出費が無駄に嵩んだがな。

ナイフの模造刀だけ借りといた。これも便利なもので、刃の部分からインクが出てきて刃でなぞった部分や突いた部分にインクが付くようになっている。


「では、両者とも所定の位置に!」


 隊長さんの合図で俺とオービスは、会場の両端にそれぞれ移動する。所定の位置に着くと相手の位置が見えなくなる様に障害物が設置されていて、行き成りの打ち合いが始まる事はない。


「・・・しかし、これはまた依怙贔屓じゃないか?」


 俺の立ち位置からでも直ぐに分かった。

オービス側の方だけ勾配が高くなっていたからだ。基本的に高い位置を確保できている者が銃を持っていると狙いやすく、下の位置に居る者は狙いにくい形となる。

隊長さんが会場の事を言っていた時に心苦しそうな顔をしていたのも頷ける。

オービスの奴が根回しでもしたんだろうが。


「それでは・・・試合初め!!」


 合図と共に試合が始まった。

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