71話 どうすれば良いのか
暫く訓練に集中し続けて居た俺だが。これで良いだろうと、俺は2丁のP90を両手に戻してから腰に装着し直した。
「ふぅぅ、俺はこれ位で良いや。後は・・・・どうした?」
きちんと装着されているか確認しながら皆の所に振り替えると、四者四様な表情だった。
イエイヌはいつもの様にしているが尻尾がゆらゆらと振られている。鼻息も微かに荒い所を見ると、多分だけど戦いたいのか?
オイバザードさんは、うんうん頷きながらそうだろうって表情だし。
ベルガ王は何だか驚愕してると思ったら渋い顔をしだすし、俺を見ながらゼルフは顎に手を当てながら何だか考えていた。
あぁソーマ様はやはり凄い方です!この方に着いて行く事を決めたのは、間違いでは無かったと改めて分かりました。ソーマ様は、ポジションが銃士と言って居られましたがアレは私から見ても普通の銃士じゃ無い事ぐらいは分かります。私を助けて頂いた時よりもお強い気がします。
そのソーマ様の力の一端を見る事が出来て、私は嬉しくて仕方がありません。ソーマ様は何故かご自分が評価される事があっても、それで騒がれたりするのはお嫌いな様ですので騒がないようにしなければいけませんね。
でも、種族の特性のせいでしょうか、もの凄く興奮してしまいます!私も何時か機会がありましたらソーマ様と戦ってみたい!出来れば・・・ソーマ様の番・・いや、お子だけでも・・・っは!私はいったい何を考えているの?!今は訓練をしなければいけないのに・・・・・
ソーマ君、君はやはり異世界から来たのだね。君から流れている魔力の質が、昔、子供の頃に会った事のある異世界の者から感じた魔力の質と同じ感じがするよ。
魔物に襲われていた私を助けてくれたあの人と出会わなければ、私も国王と同じ考えではなく下手をしたら他の貴族たちの様に異世界人をある意味道具の様に利用としただろうね。
あの人も散々利用されていたのに、恨みもせずに私たちを最後まで助けてくれていた。
あの人に貰った恩を、少しでも返すことが出来るように私は国王の考えに賛同した。そして君が、この世界に来て私と出会ったのはあの人の導きなのかも知れないな。
異世界人の力とはここまでの者なのか?儂は初めて異世界人が訓練とはいえ戦うために力を使う所を見たわい。正直・・・・凄いんですけど!?ここまでなんて聞いてないんですけど!?
いやいや待て待て、ソーマ殿が本気では無いとは言えアイマ殿やミルエル殿もそうなのか?もしかしたらイエイヌ殿もすごい力が秘められて居たりするんじゃなかろうか。
だとしたらこの者たちを、エンギニアの様な国や邪な者たちに捕らえられ、剰え利用されぬ様にせねばなぬまい。どうしたら良いものだろうか・・・・・
ソーマ殿の力、本気では無いにしろかなりのモノだ。出来てばだが、軍を預かる身として軍で働いて欲しい。しかしながら、それは無理だろうな。本人も言っていた通り、面倒事には関わりたくないだろう。
軍に入れば国の武力として戦地に赴くだけではなく、各領地で働いたり、下手をすれば貴族の駒として動かなければならないからな。
その様な事をあの男が了承する筈もないか。
ではどうするか・・・そうか、軍に入れる事が出来なくても協力してもらうと言う事だったら可能ではないのか?我が国の銃士隊は組織されているものの、実戦経験は少なく人材も少ない。周りの貴族からは潰しても良いのではと言われている始末だ。
それでも銃という武器は強力だ。安定した威力を発揮し弾の飛距離も矢よりも遠くに撃てる。但し懐に入られると途端に弱くなるし、矢と違って撃つ時に大きな音が出てしまう。銃や弾の開発・生産費が高く付いてしまうのも欠点だな。
利点に合わせてソーマ殿の協力を得られれば少しでも銃士隊の隊員の力量が上がる。それによって、実戦時に多くの魔物や敵兵を打ち取る事が可能なはずだ。
何と持ち掛ければ良いものやら・・・私の印象はあの時の事で悪いだろうし、息子もソーマ殿にやらかしてくれている。
あぁ、どうすれば良いものか・・・・・
俺を見ていた4人の意識が戻ってこないだけど。
俺はほっといて良いのか?それともショックボルトでも撃ち込んで、意識を強制的にでも戻した方が良いのか?そんな事を考えていると、隣から声をかけられた。
「突然すまないが、君に質問させて貰っても構わないだろうか?」
声の主に顔を向けると、そこにはさっき見かけた銃士隊と同じ装備を身に着けた人の好さそうな中年の男が立っていた。




