60話 イエイヌ
大変お待た接しました!
話があると言ったイエイヌの表情から長くなると思った俺は、近くの喫茶店風の店に入って席に座る。
落ち着いて話す事ができる場を作った所で、イエイヌに話して見るように言った。
「私を・・・ソーマさんの従者にして下さい!」
従者?仲間にしろとかでわなくてか?
「・・・仲間にしろとかではないのか?
それにイキナリなんだ?話が突拍子過ぎるんだが。
そもそも何で従者なんだ」
「私は元々、私が生まれ育った村から迫害されて追い出された過去があります。
でも、家族である両親は私を庇っていてくれては居たんです。
最終的には追い出されたんですけどね」
「なんでまたそんな事になったんだ?」
「私が得たスキルのせいなんです」
「普通、スキルだけでそんな事になるのか?」
「私が得たのは神獣化というものです。
神獣化は通常の獣化とは違って、まず自分自身の見た目が変わり、ステータスも驚異的に上がります。また、そのスキルだけで街や最悪国を落とせる程だと言われています。
ただ、神獣化は一度発動させると自我を無くして周囲にあるものを破壊し尽くすまで止まらないと言われていました。
実際に過去には神獣化を使ってしまって悲劇が生まれたとも伝わってますから」
暴走する代わりに強力な力を得るのか、俺だったらあまり使いたくないな。
と言うかイエイヌさんよ、貴女普通に喋れるじゃないか。
「そのスキルのせいで私は、村から追い出された訳なんですが。
村から出てから直ぐに私は、盗賊たちに捕まって、奴隷として売り飛ばされる寸前の所でソーマさんに救われました。
それから短い期間でしたが、ソーマさんたちと一緒に居させて貰って感じたんです。
この人が私の仕える人なんではないかと。いえ、なんかではなくなんだと確信に近い感じですね」
「それが何で俺なんだ?
俺じゃなくてもアイマさんやミルエルでも良いじゃないか。
それに仲間でも良いと思うんだけど」
「私達の種族は本能的に自分が仕える相手を求めてしまうんです。
その相手が見つかるかは運次第の様な所があるから見つからない場合の方が多いんですけどね。
それとソーマさんと思った理由なんですけど、ソーマさんって面倒事は嫌いで出来れば関わりたくないと思ってますよね?」
見抜かれてる!恥ずかしいんだけど。
「あぁ、出来れば関わりたくないな」
「でもそんな事を言っていても貴方は関わってしまいますよね。
自分に関係なくても自分から関わりに行ってしまったり。面倒だと思っても、相手が助けを求めたり窮地に陥ってしまっていたら動いてしまう。
ご自身に納得できる言い訳を考えながら・・・違いますか?」
「・・・・・・そうかな?
いや、そうなのかも知れないな、俺はただそうしたいと思っているだけなんだと思う。
その事で動くための言い訳を作りながら・・・・・」
「だから何だと思います。
素直になれない、でも優しさを持っていて相手のために動ける。
でもその優しさが危険でもあります。
お気付きですか?ソーマさんが寝ている時、今まで殺して来た者達に夢の中で魘されながら謝罪を繰り返しているのを。彼らは殺されてしまっても仕方のない存在です。生前の彼らは罪もない人たちをその手で殺したりしていたんですから、逆恨みする権利なんてありませんよ」
「そんな事は・・・無いと思うんだが、正直覚えてない」
確かに、言われた通りの感じで言い訳めいた感じで自分に理由を作っていったのかも知れない。
この前のイエイヌの時もそうだ。別にあの時に連れて行かないで、置き去りにする事も出来たんだ。それをただ単に、気にいなった娘の今後を無理やり納得できる理由を考えて連れてきたんだ。
オイバザードさんが拉致られた時の戦闘もそうだな。結局、俺は戦闘で人殺しなんてしたくなかったんだ。やろうと思えば負傷させるだけで無力化も出来たんだ。
それでも結局、俺が居ない所でまた同じ事が起きるんじゃないかと思ってしまって、殺すことにしたんだ。
後悔はしてないって思っていたけど結局はそのまま後悔の念にその日は支配されたんだ。
未だにあいつらの顔が頭の中で焼き付いていて消えない。
俺自身も気が付かなかったけど、その後悔の念が夢にまで出てくるなんて。
「だからなんですかね。
私自身は何のお役には立てなのかもしれませんが、ソーマさんのお側でソーマさんが何かに迷われた時に背中を押してあげれたらと。
図々しいかも知れませんが、そう思ったんです。
私ではダメでしょうか?
いつか必ず神獣化も使えるようにしてみせますから」
「ダメって、本当に俺に仕える気なのか?」
「はい、本気ですよ。
あと、強い雄に惹かれるのは雌の本能ですから」
そんな笑顔で言わんでも。
惹かれるて・・・そう言えばイエイヌは狼系の血を引いているんだっけか。
「たく、仕方がないな。
仕えたければ勝手に仕えれば良いよ。
ただし、俺はイエイヌを家臣と部下だとは思わないし、そんな風に扱う気は無いからな。
俺はイエイヌ、君を仲間だと思って対等に接していきたい。
それでも良いか?」
あ、耳がしゅんって垂れ下がった。
でもそれは一瞬で。俺が全てを言い切ると、気がついたのか途端に耳と尻尾が元気に動き出した。
「ぅえぅっぐすっは、はいぃぃ。
ぁびぃがどぅごじゃぃますぅ〜うわ〜ん!」
「そんなに泣かんでも良いだろう」
涙をボロボロ流しながら耳がピコピコ、尻尾はブンブンと振られ。笑顔で泣くなんて器用な奴だな。
こうして自称家臣と名乗る改めて俺の仲間に成ったイエイヌを落ち着かせるために、頭を撫でてやりながら内心苦笑いしていた。
それでも。そっと陰ながら俺の内面を見てくれているイエイヌには、これから沢山の場面で助けられるんだろうなって思っている俺が居た。
結果はこんな感じになりました。
表現力がなくて申し訳ないです。




