51話 今後
俺が作った、と言ってもコンビニで買った材料で、誰でも作れるものだけど、を食べて貰った結果は良好だった。
特に女性陣には良好だったみたいだ。
おかわりを要求された時には若干引いたな、カレーを食べた上でのパンケーキだったのにだ。
その上、既に事前に用意されていた食事も全て食べきっていたのだから。
特にデザート系をだ。
遠慮が無いな。
「ソーマ、其方はここの料理人として働くきがないかの?」
「無礼を承知で申し上げます。
それは、お断りさせて頂きます」
全員の食事が落ち着き、それぞれが飲み物を飲みながら落ち着いている。
若干1人、イエイヌが、無表情のまま、されど尻尾はフリフリと揺らしながらデザートを食べ続けて居る。
それをアイマさんやミルエルがペットに餌を上げるかのように新しいのを上げている。
因みに給仕役の執事やメイドの人たちは、イエイヌのデザートに対する食欲に若干引いてるみたいだ。
そんな中で、ベルガ王が俺に働かないか聞いてきた。
「即答か、惜しいのぉ。
其方の腕ならここの料理人の腕も上がるし皆も喜ぶんじゃがのぉ」
「おれ・・・私は出来るだけ自由に過ごしたいのです。
ですから出来るだけ束縛される事が無いように動きたいのです」
「ソーマ、喋り辛ければいつも話すようにしてくれて構わぬぞ。
しかし、そうか、勿体ないのう」
「済みません、気ままの方が良いんで」
「もしも、其方が良ければの話になるんじゃが、偶に作って貰うのはどうじゃろうか?
其方に依頼のいう形で頼みたいんじゃが」
「わかった、それなら大丈夫です。
だけど、俺の活動場所はメルギルなんで、ここに着くまでに2週間ぐらいはかかりますよ」
「そうか、それは仕方あるまいて。
依頼する時は、城で行われる式典などの大きな行事の食事なんかを依頼したいだけじゃからな。
その時期は人手が足らなぬからのぉ、其方なら即戦力じゃろうし、先ほどのカレーの様に珍しい物も食せるしのう」
って、ことは、向こうの料理を作らないとイケないのか?
そんな式典用何かに出せる様なモノは知らないぞ。
「ベルガ様、そろそろお話を始めませんと」
ゼルフの一声で、ベルガ王は思い出したのか、給仕役の人たちを合図で部屋から下げると、ブロウグさんが進行役なのか、話を始めた。
「ではそろそろ始めたいと思います。
皆さま宜しいでしょうか」
今まで寛いでいた皆が話を聞こうと緊張の面持ちで椅子を座りなおす。
「・・・では、今後のエンギニアにて行われた勇者召喚。
それに呼び出されたユウカ・アイマ様の今後について国王様からお話があります」
「では、ユウカ・アイマ殿、今後の我が中立国クレメルとしては貴女を向かい入れる用意が有る。
この国で保護しようと思うが如何だろうか?」
「は、はい。
でも、私は何をすればいいのでしょうか?」
この展開は大よそ想像道理だな。
この国は他の国より人道的だと聞く、尚且つ国王の立場からすればなおの事だろう。
「特に何も要求は無いの、ユウカ殿の好きな様に過ごすと良かろう。
ココで暮らすも良し、ここ以外で暮らすのも良かろう。
ただし、ここ以外で暮らす場合でも、数人の護衛が付く事となるが構わないだろうか?」
「もし・・・もしもそれを断ればどうなりますか?」
アイマさんが、少しビクビクしながら聞いてる。
別に怒られる事は無いと思うんだけどな。
「それも良かろう、されどユウカ殿は如何なされるつもりか?」
ベルガ王が真剣な目でアイマさんを見ている。
それは、相手の事を真剣に見ている証拠だ。
「・・・これは、前から考えていたんですけど。
できればソーマさんと同じ所で働きたいと・・・」
チラチラと、俺を見ながらアイマさんが答えてる。
そんなに頼られるような事したっけか?
あ!そうか、同じ世界の人間が近くに居ると安心できるからか。
「それは、ソーマがこれまで護衛してきたからかの?
此方の騎士や兵士たちもかなりの手練れだが?」
ゼルフが無言で頷いている。
「それでも近くに居たいです。
それに、私の使い魔たちは、ソーマさんのフリムとも仲が良いですので、できれば一緒に居させてあげたいですし」
「ふむ、使い魔には、魔物使いとしてではなく、厚き情で接するか・・・
余としてはそれでも構わぬが、ソーマは如何する?」
「俺は、別に構いません。
アイマさんにはアイマさんの好きな様に過ごして貰うのが良いと思いますし。
俺も良くして貰ってますからね」
フリムの面倒を良く他の使い魔と一緒に見て貰ってるからな。
それに、俺の予想が正しければ・・・
「活動場所はメルギルになるのかの?」
「はい、俺は、一応そこに拠点を置くつもりですので。
ただし、メルギルにずっと居るかは分かりませんけどね」
「それもそうだろう。
ユウカ殿を見て貰う以上は、活動拠点を変える時は連絡を入れて欲しいんじゃがな」
「それは、そうします。
連絡なしで移動はしません」
「では、次にユウカ殿?」
「はい」
「今回、エンギニアでの起きた出来事で、諜報部隊の者から預かった物を出しては貰えぬか?」
ベルガ王の要望で、アイマさんは、大事に仕舞っていたであろう録音用の魔道具を取り出して、ゲルが王の前に置いた。
「これが、話にあった物か・・・
ゼルフ殿、頼む」
ゼルフが置かれた魔道具を手に取り、起動させると、記録された内容が再生された。




