45話 旅のついでの人助け
月1ペースになってしまい、申し訳ありません!!
何でだろうか?
最近の異世界での旅路では安全な旅は出来ないのであろうか?
再出発してからの数日、魔物や野生の動物に襲われるのは良いとして、盗賊や山賊、しまいには1度、休息中の時間帯、森の中でトレーニングをしていたらハンターのパーティーに、魔物と勘違いされて切りかかれた事もある。
そして今、俺が乗っている多めな馬車の中には、捉えた盗賊たちを馬車に備え付けてある牢に入れて乗せている。
それ以外にも、盗賊たちが連れていた奴隷たちもいるが、奴隷たちは牢に入れず、馬車に乗せているだけだ。
奴隷たちは、契約の魔法が施されている契約書で盗賊たちに従っていたが、盗賊が俺たちを襲ってあっさり返り討ちにされ、逃してもらうために奴隷を差し出してきたが、そのまま捕まった。
それ以前から襲われていたから途中寄った街で、突貫だが連行用に牢付きの馬車を作ってもらっていたので、さっそく今の様に役に立っている。
盗賊は、ギルドか衛兵に連行すると、賞金首以外は金額は少ないが報奨金が出るそうだ。
今回の場合は、オイバザードさんたちの護衛中だからそんな事をしなくても良いんだが、食事の追加提供が拡大していって、結局は、毎回全員分を作る事になってしまった。
その所為で、食費のために金をある程度稼いでいかないとイケなくなってきた。
保存食でも良いと思うんだが、作れと五月蠅い。
麻薬成分みたいなものは含まれていないはずなんだがな。
で、奴隷たちはどうなるかと言うと、どうなるんだろうな?
契約としては一応俺となっているが、俺は奴隷は欲しいと思っていない。
住んで居るところも社宅の様な所だし面倒見切れない。
ありがちな、奴隷を使ったパーティーや、奴隷ハーレムなんてやってられない。
枯れているかも知れないけど、今は基本的に1人でのんびりしていたい。
だから、安全そうな所に着いたら解放しようと思っている。
それまでは面倒を見ようと思うがな。
因みに、主の変更は比較的に簡単で、契約書の署名欄にある契約主の名前を前契約者が斜線で消して、新しい契約者が名前を新しく書けば良いだけ、魔法の詠唱等は要らない。
何でも、契約主が急死した場合に備えて変更しやすくしてあるそうだ。
ただし、契約の解除だけは、奴隷商人の持っている契約の解除の魔法でなければできない。
でなければ商売にはならないからみたいだ。
契約自体も魔法で行われて、契約書が作られるらしい。
夕方には目的地の1つでもある宿場町に着いた。
ここは、格地方都市や、街と村の街道が交差する所に作られていて、旅人や商人等の一時的な宿泊地になっている。
交易所のような機能があるため、色々な情報や商品等も集まってくる。
ここで、短期間ではあるが、休息の期間となる。
俺は、ここの衛兵に盗賊を引き渡して金に換えた。
金と言ってもかなり少ないと聞いていたが、今回は可なりの金額になった。
賞金首になっていた奴らも居たらしく、合計金額で50万Rと莫大な金額になった。
理由の1つに捕らえた奴らは、盗賊の連合組織の様なものを作っていたらしくて、その情報が得られる可能性が高いそうだ。
それと、メルギルの領主でもあるオイバザードさんの知り合いという事で色を付けてくれたそうだ。
「本当に宜しいので?」
「あぁ、構いませんからお願いします」
今、目の前に居るスーツの様なビシッとした服を着た女性に、奴隷契約の解除を本当にするのか聞かれていた聞かれていた。
奴隷商の店は、俺のイメージでは、裏通りに店を構えていて、店先に奴隷が入った檻を並べていたり、陰湿そうな店員や店主がいて嫌なイメージだと思い込んでいた。
店主のイメージは、デップリとした体格で、汗っかきで金にうるさいイメージだったが、イメージとは逆の清潔感があって、30代~40代位の女性が出てきたからビックリ。
何より驚いたのが、商品となっている奴隷たちの眼が明るく、話し声や笑い声が溢れて、明るい空間を作っていた。
定員も明るい人たちだった。
本来は、イメージ通りの店が殆どで、奴隷の扱いも酷いそうだけど。
そんな店主に、引き連れてやってきた奴隷たちの契約を解除して欲しいと頼んだのだ。
店主にも言われたが、普通は解除しないで要らなくなった奴隷を買い取って貰うらしい。
だが、俺としては奴隷たちが、正規の奴隷ではないと聞いていたので解放する事を選んだ。
「では、契約の取り消しを行いますね」
女性店主が契約書に魔力を送り込み、詠唱を開始すると直ぐに1人目の解放が出来た。
それが奴隷に首にできていた入れ墨の様な模様が消えた事ですぐに分かった。
それから1人ずつ解放されて行って、時間は多少かかったが、最後の1人が解放された。
「ふぅ~これで最後になりました。
最後にご確認なさいますか?」
「いいえ、きちんとして頂いた様ですので大丈夫です。
ありがとう御座いました」
「これも仕事ですから良いのですよ。
これからも是非御贔屓にして頂ければ幸いです」
「用事が出来ましたら是非、お願いいたします」
多分来ることは無いかな?と、思いながら料金を払って、元奴隷たちと店の外に出た。
店の外にはアイマさんとミルエルが、先に買っておいてくれた奴隷たちの人数分の荷物が入った袋を重そうに持って待っていてくれた。
「ソ、ソーマさん重いです」
「すまない、待たせてしまった」
アイマさんが辛そうに言ってきた。
ミルエルも、言ってはこないけど、震えている腕を見れば辛そうなのが分かる。
「さて、皆さんには、これからこちらの荷物を渡しますんで、元の住んで居たところに帰って行って頂いて大丈夫ですんで」
「帰れって・・・本当に帰って良いのか・・・いいのですか?」
獣人の男が言い直しながらも聞いてきた。
まぁ本来なら奴隷から解放されて、元の住んで居た場所に帰れるなんて事は無いからな。
「普通に喋って良いから。
本当に帰って良いですよ、皆さんには、それぞれ旅費として2万Rを渡します」
「2、2万Rって!
そんな大金は要らないぞ!
2千Rもあれば大概の移動ができる」
男の返答に残りの全員が頷く。
「それは移動が、って話でしょ?
途中の宿泊や食事の料金はどうするんです?
例え着いたとしてもそこからの生活費はあるんですか?」
「だからと言って、我々には2万もの金を返す術が無い・・・」
「返さなくていいよ。
第一、今回は、盗賊の報奨金がかなり入ったから、返して貰わなくてもかなり得してるし。
戻ってからも大変な事も多分あるでしょ?」
「それでも、なんの礼も無しで居る訳には・・・」
「ではこうしようか?
もし、皆さんが無事に元の場所に着いて、生活が安定して居たとして。
俺が困っていたら手助けしてくれれば良いですよ」
「そんな事で良いのか?」
「恩を売ったと思ってくれれば良いですよ。
それをその時返してくれれば」
「分かった助かる」
そう言って男が頭を下げて受け入れてくれた。
その後は荷物を渡して行き、それぞれが、自分の居るべき場所へと旅立って行く。
その時にもそれぞれがこちらに何度も頭を下げながら旅立って行った。
中には泣きっぱなしの人も居たけど元気でやって行って欲しいもんだ。
「さって・・・」
俺の悩みが1つだけ残ってしまった。
「ソーマさんどうしますか?」
「どうするってねぇ?」
ミルエルの質問に対して俺はどう返答するか迷っていた。




