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40話 対峙

 向こうから来る、敵となりそうな連中のステータスを見ると、それなりに高いようだ。

俺がこれまでこっそりと、色々な人たちのステータスを見てきた中で、一般的な兵士が大体レベル10~15の間で、数値が平均200~300を出していたのに対して、大体平均が12~17の間で、平均が500~600を出している。

まぁ、こいつらは、兵士ではなくて暗部の人間みたいだけどね。

 ちなみに一般人の成人は、レベル2~4が殆どで、数値が平均で20~30の間だった。

稀にとんでもないスキルを持っている人や、ステータスの一般人が居てビックリしたけど。


 いよいよ向こうも気が付いたようだ。

コチラを警戒しながら近づいてくる。

その中で、馬に乗って移動していた、数人の男の内の1人が、笑顔で気さくな感じに俺に声をかけてきた。


「やあ、こんな所で1人でどうしたんだい?」


 この一団の服装や乗ってきている馬や荷馬車だけをみると、旅の証人とその護衛に見えるな。

それにしても、この世界の敵意を隠している奴は、何で気さくな感じで近づいてくるんだ?

少し前に倒した盗賊連中も同じような感じだったし。


「いや~、とある護衛の依頼を受けて移動していたら、気がついたら突然依頼主と一緒に後ろの建物に捕まってしまいましてね。

何とか、中に居た連中を倒したので、助けを呼ぼうとしてたんですよ。

もし、急ぎではなければ近くの街か村まで俺たちを乗せてってくれないだろうか?

俺から依頼主にお願いして報酬を出して貰う様に言うから」


 俺の倒したと言う言葉に僅かに反応を見せたが、襲ってくる事はなかった。


「それはお困りでしょう。

近くまででしたら良いですよ。

因みになんですが、倒されたと言う人たちは何人ほど居たのですか?


「えぇっと、ざっと7人だったと思いますよ。

大変でしたよ武器もない状態だったので、こちらも怪我人が出ましたからね。

まともに動けるのは俺だけでしたから貴方がたに出会えて助かりました」


 後方に、隠れる様に待機している元護衛の2人が逐一反応してくれる。


「それと、助けて頂くのに対して大変失礼なのですが、貴方がたは何故ここへ来たのですか?」


「ここは隣の村に、商品を運ぶのに、近道になるのですよ。

あそこの建物は、もう誰も住んでいないので、誰にも迷惑はかかりませんからね」


「そうでしたか、失礼しました。

何分、襲われたばかりなので、連中の仲間かと思ってしまいまして」


「それは、仕方のない事ですので気にしてませんよ。

それでは建物の中に案内して頂けますか?

こちらの者たちにも手当等も出来るように準備をさせますので」


「有難いです。

それではこちらになりますので、案内します」


 建物の玄関に案内をする素振りをながらも会話を続けた。


「所で、ココまで大変ではなかったですか?

態々エンギニアからお越しなんですから」


「・・・なんの事ですか?

私は、た「恍けなくても良いんですよ」」


「俺には、ちょっとした特技が有ってね。

相手の嘘とかがわかったりするんだよ」


 本当は看破の眼で見たステータスで知っただけだけど。


「お前ら、エンギニアの人間だろ。

しかも、糞国王が命じてやって来た暗部の」


「だからさぁ、このまま帰ってくれない?

俺は、面倒事が嫌いなの。

でも、俺が我関せずを貫いて、俺の知り合いが傷ついたり死んだりするのも嫌なんだよね。

お互いに無傷なのが良いだろ?

帰ってくれれば良いだけなんだからさぁ」


 帰る訳が無いんだけどね。

俺は俺で、下手な演技をやめて、一団と対峙するような形で陣取り、建物を背にする形で通り道の邪魔をする。

背中に回していたタボールを両手で保持して、相手の出方を待った。


 パチンっと、男が指だけ鳴らすと、後方の荷馬車の幌の中から矢が1本飛んできた。

矢の飛んでるコースは、俺の額を目掛けて一直線だったが、俺に当たるまであと50センチぐらいの所でピタリと止まった。

それがわかると、複数の矢が同時に襲ってきたが、同じように止まった。


「「「「「「「「「「「「なぁ!?」」」」」」」」」」」


 連中が驚くのも無理はないと思ってしまった。

通常、結界を使っていると、薄らとだが、視認できる場合が殆どだ。

見えなくするように結界を張る事も出来るが、この場合も違ってくる。

 何が違うか、それは、結界の場合は防いだ矢は地面に落ちるのだ。

重力があるのだから当たり前だ。

この世界の人間が、科学的な意味での重力を知っているかは知らないけどね。

 ではこの宙に止まったままの矢は何なのか。

無属性魔法の物体操作を、結界の様に展開していたのだ。

普通は、何かを動かすだけの魔法だけど、俺は、この魔法を防御にも使えると思って使っていた。

目には見えないし、魔法自体の発動を自動設定の様にしていれば、常に意識していなくても問題がなかった。

 あえて問題を上げるとしたら、物理的な物は防いだり出来るが、魔法のような物は無理だった。

それは、魔法での結界で、カーバーすれば良い。


「貴様ら、死ぬ前に、他に何かやる事があるか?」


 攻撃してきたからには、殺されても文句は無いんだろ?


「建物を狙え!!」


 今度は矢では無くて、火の球が幾つか建物に向かって飛んでいった。

今回は、敵にも魔法を使うヤツがいる様だ。


 それでも俺は慌てなかった。

元々建物は無人だったし、当たる直前で更に使った雷属性の結界で、完全に守られたからだ。

 完全に建物を覆う様に結界を張った俺を見て、ヤツラ全員が俺に的を絞ったようだ。


 2台の荷馬車の中から、ぞろぞろと出てきた男たちが、2・3人の組で動て、道幅いっぱいに広がるように展開する。

 また、矢が飛んでくるが、空中で止まっている他の矢の仲間入りをするだけだった。

魔法も飛んでくるが、結界に止められる。

一瞬、視界が結界で受け止めた火の所為で塞がれた。

その隙をつく形で、複数の方向から剣や槍等で攻撃された。

攻撃事態は結界で塞がれ、結界と接触している部分から火花の様なスパークが走った。

結界に弾かれた武器から伝わったのか、電撃の反射に各々が苦しがっていた。


「これで終わりか?」


 そのセリフを聞いた魔法や矢をメインに使っていた後方の敵が、更に攻撃を仕掛けようとしたが。

空中で止めていた矢を、通常の矢と同じ速度で撃ち返してやった。

 まさか飛んでくるとは思っていなかったのか、慌てて避けたり結界で身を守ったりしていた。

俺の周りで苦しんでいた奴らも回復してきたのか、次の行動に移れる様に武器を構え直し始めた。


「さぁ、次はどうするんだ?

俺はまだ、本気での攻撃すらしてないんだが?」


 ゆっくりと、持っていたタボールを構えて伝えてやる。


「ポジションが魔法使いだと思うなよ。

俺は、銃士だ。ただし、魔法もメインで使えるけどな」


 このまま直ぐに全員を殺せそうだが、急いで行動して、討ち漏らしてしまうかも知れないから慌てずにいこう。

元々、時間も稼ぐって話しなんだしな。

結果、討ち漏らしても、時間を稼げれば問題ないだろう。


 まだ本気を出してないぞ。っと、伝えてやると、向こうは、安易に攻撃を仕掛けてこなくなった。

そのまま俺と

エンギニアの一団は、再び対峙する形になった。

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