35話 襲撃
「・・・て・・・・お・・・さい・・・起きて・・・い・・」
何だよ、俺は眠いんだよ。
「・・・・起きて下さい!
蒼真さん、起きて下さい!!」
待て待て、俺はいつ眠った?
「っつ!これは何だ?」
起きたら体が動かないとは何事だ?
「起きましたか、体に以上は無いですか?」
手足を縄で縛られた状態のミルエルが、俺の横で心配してくれていた。
俺も同じように縛れている。
「スミマセンでした。
馬車が止まって休息になったと思ったら護衛の方々の殆どの人たちが私たちをこのように。
オイバザード様とユウカさんも別の所で捕まっているハズです」
あの2人別のは場所か、ココに居るのは・・・・俺とミルエルと一緒に護衛として来ていた兵士の人が3人・・・か。
て、事はだ、少なくても残りの護衛で9人居たはずだから、9人が敵となっているのか。
「おい、あんたら俺たちが捕まった時の状況を話せるか?
俺はなぜか寝ていたから分からないんだ」
「そうか、君、体が重くないか?」
3人な中で、答えてくれた人が居た。それぞれ個別に何かしているから、手が空いてるのが答えた、って感じだ。
「そお言えば少し重いな」
「そうか、なら俺たちにも使ってきた睡眠薬だと思うぞ。
俺たちは、全員で移動していた時に休息のためにお茶等を飲んでいたんだが、それに入れられていたみたいなんだ。
それに気がついた時にはもう体がまともに動かない状態だった」
「それだったら少なくても俺たちは起きるはずじゃ?
俺には状態異常を防ぐスキルがあるんだがなぜ効かなかったんだ?」
「それは外からの変化に対して防げるんであって、内からのは無理だ。多少の物なら防げるようだが」
「内からって、何か飲んだり食べたりしたらって事か?」
「そうだ、完全なスキルなんて無いからな。
耐性スキルのほとんどが、外部からの強制的な変化には抵抗するが、自分の体が訴える様な・・・そうだな、例えになるか分からないが、睡眠薬で強制的に眠らされるのにはスキルが抵抗するが、睡眠を少しずつ促すような成分の物だったら抵抗できない時がある。
薬の種類や量で、スキルが効いてくるかが変わってくるみたいだがな。
君も寝る前に、何か飲まなかったか?」
「・・・馬車で出されたお茶を飲んでたな」
馬車に乗り込んだ時に、移動中喉が渇くからとお茶を出してくれていた人が居たな。
出してくれたのは護衛ではなくて、ベイルさん以外の執事の人だったと思ったけど。
「多分それだな、君たちとオイバザード様は眠っていたみたいだしな」
勉強になった。スキルも完璧に防げる様な物はないのか。
「フリムが居ない」
フリムとアイマさんの使い魔のエンがココには居なかった。
「あの子たちもアイマさんたちと一緒に捕まっています。
フリムは珍しいから売り払う気でしょう。
彼らがそう言っていたので、違いないかと」
ミルエルが見ていたようだ。
「俺たちの装備は?」
無事ならまだなんとかなるな。
「君たちの装備も、私たちのと一緒に何処かに纏められているはずだ」
下手すると見つかんないかもな。
俺のはコンビニに行けば何とかなるから良いか。
「ちょっと待てってくれな」
ミルエルに言ってから、俺はコンビニに移動した。
「なんじゃお前さん、そんな趣味があったのか?」
来てそうそう変態扱いされた。
「違うわ!!
ミルエルとかアイマさんが捕まてて、今大変なんだって。
ちょっと悪いんだけど、コレ解いてくれない?」
「神様を顎で使うでない。
しょうがないのお」
自分じゃ解けないのは分かっていたから解いてもらったけど、何か文句を言われた。
別に縄を解いてくれるぐらい良いと思うんだけど。
けどあれか、俺でも文句言うか。
「助かったよ。
それと急いで買い物したいんだけど良い?」
「構わんよ、好きに見なさい。
ここはコンビニじゃしのぉ」
断りを入れといて、急いでカードの所まで行く。
以前と同じ防具を選んだが、武器で悩んでしまった。
今回は、なるべく音が出ない様にしたいが、どんな敵が出てくるか分からない。その上戦えるのが俺1人の場合もありえるからそれに備えておかなければならない。
少し取り回しが悪くなるが、タボールCTAR21という名の銃にした。
この銃は全長が短くて軽い、更に特殊部隊向けのモデルだからもっと全長が短い。その銃に、オプションで、サイレンサーとグレネードランチャーを追加した。
サイレンサーは、地球では完全に音を消すことはできないが、この銃は99%消してくれるゲーム仕様だから殆ど音がしない・・・はずだ。
更にはシグやデザートイーグルみたいに、弾も無限弾にしてある。
これである程度は1人でも大丈夫なはずだ。
オマケで銃を吊るす為のストリングを買っておいた。
おっと忘れる所だった。
適当なナイフも買っておいた。もし解けないようなヤツだったら切るしかないからな。
「ごめんこれを今具現化できるか?」
「精算後だったら出来るんじゃが、それで良いかの?」
「ああ、頼むよ」
生産した後に具現化してもらって、急いでセティングした。オプションとかを向こうでセティングするよりも、こっちでしといた方が直ぐに動けるからな。
セッティングが終わって、タボールを肩に吊るしてコンビニを出た。
「待たせた」
実際は、時間は動いておらず、一瞬の事になるんだけどな。
コンビニから戻って直ぐに、ミルエルたちの縄を解いてやり、動ける様にしてやった。
「君、その格好はいつの間に」
「何処で見つけてきたんだ?」
「っと、言うか、いつの間に縄を解いて装備を着けたんだ?」
護衛の人たちが、装備の事を聞いてきた。
見つけたと思っているのだろう。
「装備に関しては俺の専用のヤツだから出せたんだ。
縄に関しては裏技だ。だから教えられない」
神様に解いてもらった、何て言えるわけがない。言った所で頭がおかしくなったと思われそうだ。
「そうかい、もし良ければ我々にも使えそうなものは無いかい?
できれば我々も武装なりしたいんだが」
「今持って居るのだと、このナイフだけになってしまう。
この武器は、俺以外が使おうとしても、使えない仕様になっているから渡しても意味がないんだ」
ナイフだけ渡して、タボールについては我慢してもらう。
「そうなると、どうする?
我々としても下手に動くことができないが」
「ここは俺が様子を探りに行く、その間に武器でも見つけたら持ってくる。
オイバザードさんたちを先に見つけたら、様子だけ確認するって事でどうだ?」
「現状そうして貰った方が良いかも知れないが、良いのかい?
君が武装できてると言ってもその杖見たいのだけだろ?」
ああ、これって杖に見えるのか。
「これは杖じゃなくて銃だ。
俺は銃士だからな。メインで使う武器は銃になる」
「珍しいな銃士なんて、武器の性能は悪くて使えないと聞くが大丈夫なのか?」
「そこは安心して欲しい。俺のは特別仕様だ。」
確か、この世界の銃は科学技術が発展してないから性能が悪いんだっけか。
弾もまともに作れないみたいだからな。
その技術不足を解消するのに、弾を魔力で代用する魔銃を作って、使っていたはずだ。
しかし、今度は弾に使う魔力が多く必要になってくると言うマイナス面があるそうだが。
「分かった、申し訳無いが頼んだよ。
良いかい?1人で無理をしなくて良いからな、見つからないように落ち着いて行動してくれ」
「了解した。
なるべく早くココに戻ってくるよ。
ミルエル、こに人たちと一緒にいてくれ。
直ぐに戻ってくるから」
「私も一緒に行きたいですが、ココでお持ちします。
気を付けて行ってきて下さい」
ミルエルの事を護衛の人たちに頼んで、音をたてない様に部屋から出た。
ここからは1人で動くから、直ぐに撃てるようにタボールを構えておく。
どうやら今居るのは廃屋らしい。見た感じ周りの壁や床は誇りや汚れが目立つ、通路の作りが広い所を考えると、元々屋敷か何かだったんだろう。
魔力を使った気配察知を使いながらゆっくりと進んでいく。
不謹慎だが、FPSみたいなゲームを思い出してしまった。
意識をくだらない事から戻して、周りに気を配りながら近くの部屋等を確認していく。
この作業の間も、オイバザードさんやアイマさんたちが五体満足で無事でいるか心配になってきていた。




