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30話 赤い子

 2日目、その日も朝から問題なく移動ができた。

初日と同じように、移動中は基本、魔力の把握をする事。休息中や移動中に魔物が出てきた場合は戦いの実戦を兼ねて撃退して行く。

コレを繰り返しながらメルギルに向かっていった。


 午後の休息中、いつもとは変わった事が起きていた。

少し前から小さい魔物が追てきてたからだ。

その小さいのは、森の中で会ってからずっと着かず離れずに居る。


「相馬さん、責任もって何とかして」


「責任って、言われましても」


「だって、あれ、相馬さんの跡を追てきてるよ」


 あれと言っている魔物は小型のもので、名前は確か・・・フレイムバードだっけか。

小型で鳥のような魔物、性格は温厚だが怒らせるとその名の通りに火属性の魔法を使ってくるんだったんだっけ。

 体其の物は鳥だけど、火を纏っている様に体が赤くなっている。色合いは感情を表していて、その感情によって色合いを変える事ができる。

その見た目から良く、女性魔物使いのペットみたいになっているそうだ。


「どうしましょう?」


「それを決めてって、言ってるんだけど」


「うーん」


 相馬さんがフレイムバードを見ると、向こうも相馬さんを見ていた。

もしかしたら懐いてしまったんだろうか。


 今から少し前、森の中で実戦訓練をしていた時、あのフレイムバードが傷ついて地面に蹲っていた。

そこを相馬さんが見つけて回復薬を使って手当してあげたんだけど、その後からフレイムバードには何か感じるモノがあったんだろか、ずっと追てきている。


「おいで」


 一声で、フレイムバードは素直に相馬さんの差し出した掌に乗った。


「君はどうしたいの?」


 相馬さんの問に、フレイムバードは「ピィー」っと鳴いてそのまま掌に休むように乗っかり、体の色を暖かそうな色合いにして大人しくしている。


「一緒に来たいの?」


「ピィ!」


「良いんじゃないかな、相馬さんは魔物使いだし、フレイムバードも追ていく気があるみたいだし」


「じゃあ宜しくね、エン君」


「ピィ!ピィー!」


「エン君?」


「この子の名前です。

ほら、この子、炎の様に綺麗な色しているじゃないですか。

だから、炎から取ってエンです」


「そっか、大事にするんだぞ。

エン、俺は蒼真。

コイツはフリムだ。仲良くしてくれな」


 エンの前にフリムを抱えてやり、自己紹介してやる。

使い魔同士なのか、初対面でも喧嘩はしなかった。

フリムも大人しいヤツだから、お互い印象も良いのだろうか。


 そんな事もあり、相馬さんにも使い魔ができた。

これからは使い魔も居るから戦いにも幅が出るだろうな。


 フレイムバードは凄く役に立つヤツだった。

温厚と言えども戦闘はキチンとでき、火属性魔法も威力があった。火力も調整出来るようで、焚き火等を起こすのにも役に立った。

 フリムはまだ食べて遊ぶだけだが、エンを見ていい刺激になっていってくれるだろう。




「エン君、お願い!」


 相馬さんの合図で、エンが前に出てゴブリン2体をスピードで翻弄していく。

そのスキを突いて、相馬さんが水龍のナイフの水撃を与えて倒していく。


「よし、今日は終わりにして、もう荷馬車の所まで戻ろうか」


「はい、分かりました。

エン君、ありがとう。戻るよー」


 コミュニケーションはもう取れているみたいで、戦闘も2人でやらせても問題はなさそうだった。

しいて問題があるとすれば、前衛が居ない事だった。

俺が居れば前衛もできるが、基本的に中衛よりだし、居なければ前衛が居なくなる。

前衛がキチンとできる人か、使い魔が欲しいな。


 本日の宿営地に戻ってからは、体を休めることにした。

相馬さんは、エンとフリムの寝床を作ってくれて、そこの隣に座って休んでいた。


 これからどうするか。

体を休めながらも少し、真面目に考えていた。

俺自身、相馬さんをメルギルに連れて行って、そこの領主に会えるまでは一緒に居ても問題ないと思う。

しかし、それ以降は問題が出てくる。

 行動を共にし続ければ、俺も転移者という事がバレル可能性が一気に増えるし、のんびりと生きることも難しくなるだろう。


 逆に分かれた場合、相馬さんをフォローできなくなる可能性が出てくる。

まぁ約束は連れて行くことだから別れても良いけど、それで、はい、さようならは無責任のような気もする。


 今後の流れは相馬さんと領主、場合によっては国王の判断で話が変わってくるだろうしな。

巻き込まれるにしろ巻き込まれないにしろ、自分自身が納得できるようにしたい。


 相馬さん自身の問題もある。

今後、戦い続けるかも知れないし、監禁されるかの様に閉じ込められる可能性もある。

どっちにしろのんびりとした人生は歩めそうにないからな。


 まだ話が始まるどころか、相手に会ってすら居ないのに気を重くしてどうするんだ俺は?

ここから先の事は、実際に始まってからにしないとな。

でないと考えすぎて頭が痛くなる。


 深く考える事はやめて、フリムの事でも考える事にした。

フリムも今後は戦えるようになれば戦って欲しいけど、嫌がるようだったら戦わせなくても良いか。

戦ってくれるんだったら、後衛でも良いかな?

成長の仕方にもよるけど、フリムはドラゴンだからどこでも出来そうな気がする。


 大きくなったフリムを想像しながら考えると楽しくなってくるな。

そんな事を色々思い描きながら2日目の夜を過ごしていく俺だった。





主人公の今後が決まっていきます。

話によっては方向が変わってきますが、まだまとまっていません!


何かアイディアがございましたら是非アドバイスをお願い致します!!

また、ご意見ご感想等も御座いましたら是非お送り下さいませ!

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