25話 少女の告白1
蒼真と出会った少女の目線のお話です
私はその日、普通に高校で授業を受けていました。
そして、休憩時間中にアレが起きました。
「なんだよこれ?!」
ある男子が言った一言で状況が、日常から非日常に変わってしまいました。
教室に居たクラスメイト全員が、混乱の中に居ました。
私も始めは気が付きませんでしたが足元に幾何学的な模様の円が出来ていて、それが全員にできていました。
教室の中はパニック状態で、中には教室から出ようとしている人たちも居ました。
私はただ怖くて動けないだけで、周りを見てるだけでした。
「何で開かないの?」
「こっちも開かない!」
教室の窓も出入り口も全てが開かない状態でした。
「君たちどうしたんだ!」
廊下から先生の声が聞こえてきた時はこれで助かった、そう思いました。
「開かない!!
そこの君たち!近くに居る先生たちを読んでくるんだ!」
どうやら大人の力でも開かないらしく、廊下に居る生徒に指示を出してほかの先生を呼んでいました。
「目が!!」
誰が言ったのかは分かりませんがそれを合図に、それぞれの円の光が強くなっていって、最終的には目を開けている困難になって、視界は光で埋め尽くされていって意識が次第に無くなっていきました。
次に気がついて目が覚めると、そこは教室ではなくて広くて肌寒い空間でした。
そこには窓とかはなくて、明かりは壁に付けられている蝋燭の様な物に火が灯されているだけ。
私たちが次第に意識を取り戻していく中、周りにフードの様なモノが付いているマント?を羽織っている人たちが何人も囲むように立っているのが分かりました。
「お前たち、何なんだここは?!
警察を呼ぶぞ!」
「そうだ!俺たちをどうする気だ!」
何人かの男の子たちが立っていた人たちに掴みかかろうとしましたが出きませんでした。
できなかった理由は、男の子たちと立っている人たちの間に見えない壁があるのか、それ以上進めなくなって居たからです。
「落ち着きなさい、君たち」
いつの間にか、声がした所には男性の老人が居ました。
老人は、よく歴史モノの映画やドラマで見る貴族が着るような煌びやかな服を着ていました。
「これが落ち着けるかよ!
いい加減ここがどこなのか教えろ!」
1人の男の子がその老人に掴みかかりますが、やはり壁があるように何かに阻まれてしまいました。
「それをこれからお伝えしようというのです。
まずは落ち着いて、それから国王の所に向かいましょう。
国王からご説明がございますので」
「全員でか?」
「そうです、皆様全員にご説明させて頂きます」
それからクラスメート全員で建物の中を移動していく中、途中途中で見える外に驚きました。
外の様子はまるで異世界の様みたいに見たことのない生き物が空を飛び、建物の中に居る人たちの中には鎧を着込んだ人たちが建物のいたる所に居るのです。
連れてこられた部屋は、大きめの部屋で何かの会議をする様な場所でした。
部屋の作りは幾つかの個人用みたいな机とイスが置いてあり、他には数人が一緒に使える机とイスが少しと一番前には豪華な机とイスが1つある部屋でした。
しばらく待つと、先ほどの老人と一緒に、中年ぐらいの男性が来ました。
男性は細身で、着ている服は、かなり豪華な服でした。
「皆さん、まずはお好きな席にお座りください」
老人が座るように言ってきたので、それぞれ自分の近くにあるイスに座っていきます。
私もその流れに合わせてイスに座りました。
「では国王様、お願い致します」
隣にいた中年に一例をして脇に移動していく老人。
それに合わせて、一番豪華なイスに座っていた中年が座ったまま挨拶してきた。
「皆よ、私はこの国エンギニアの王であるネナドアンである。
この度は良く、召喚の儀に答えてくれた。
早速だが皆にはこれから中立国クレメルに攻め入って貰いたい」
ここで、手を上げて話を止めたクラスメートが居た。
「何か?」
エンギニア王は話を遮ったクラスメートに発言の機会を与えました。
「申し訳ございません。
お・・じゃなかった、私は高橋と言います。
何で私たちが戦わなければいけないのですか?
そもそも召喚の義?には応じたのではなく無理やり連れてこられただけなのですが」
皆の気持ちを一気に代弁してくれた様だ。
「ふむ、その問に答えよう。
まず戦ってもらう理由はだが、先ほど言ったクレメルは魔族と手を組んでコチラに攻め入ってきたのだ。
通常それだけならなんとかなるが、その襲撃の際に、主力となる軍が全滅となりこの国は立て直す時間もないのだ。
更に魔族の力も協力なため、今回皆に戦って貰いたいのだ。
そして召喚の義だが、これは別名勇者召喚の儀式と言ってな。
この召喚は、勇者の適性を持つものを別の世界から召喚できるもので、人数もその召喚に使う魔力の量で変わってくるのだ。
今回はソナタたちが選ばれたのだ」
「でも我々はそれに応じていません。
戦う力もなければ戦ったこともありません。
我々を誘拐してまで戦わせる権利はあるのですか?」
「ソナタの言う事も一理ある。
しかしながらそれは大丈夫だ。召喚時に召喚されたものはそれぞれに力を授けられ、この世界にやって来る。
まずは確認して貰おうか、ステータスと唱えてみてほしい。
これは別に声を出さなくても念じるだけでも良い」
言われた通りに念じてみると目の前にパソコンのスクリーンの様なものが出てきました。
皆も同じ様で、それぞれ驚いたり「漫画や小説と同じだ!」とか「俺も勇者になれるんだ!」とかを特に男の子たちが騒ぎ出しました。
ステータス、その画面を確認していく。
名前 ユウカ・アイマ
種族 通人 年齢 17才
職業 使役の勇者
ポジション 魔物使いLV 1
HP 18 MP 30
体力 12 知力 40
力 8 敏捷性 9
耐久性 7 器用さ 22
運 47
才能
使役の才能
スキル
使い魔契約LV 1
言語理解
コンビニ
称号
異世界に召喚された者
装備
学生服
これが私のステータスらしいけど、魔物使いって事はおとぎ話みたいに魔物が居るの?
「この世界には魔物がいるんですか?」
その時、思い切って聞いてみました。
「勿論居る。
君たちの敵は、人間や魔族だけではなく魔物も居る」
つまり私はその見たこともない魔物を使役するお仕事に就いている勇者らしい。
その魔物、使い魔を使って戦うことらしいけど、戦いたくないなぁ。
その後、ネナドアン王様の説明を受けて明日から近くのダンジョンでのレベル上げと訓練や教育を受けることになった。
この時に、クレメルを倒した暁には日本に帰らして貰えることになった。
理由は、召喚する技術はあっても送還する術はクレメルにしかないからだった。
帰れると聞いた時、クラスメートたちも私も渋々この話を納得していった。
ただ私も含めて何人かは、人を殺すことに躊躇いが内心ありました。
この日は特に何もなく、何人かの人で纏められた部屋を与えられて休むことになりました。
部屋と言っても高級ホテルの様な部屋で、豪華な飾り付にふかふかのベット。そして食事の時に出てきた美味しい料理の数々、この時は私も感動して恐怖や不安を忘れていました。




