24話 出会い
2日3日と、小さな規模で魔物が襲ってきたが問題なく俺の魔法やスキルの練習をして行きながら撃退して行って、その肉等はフリムの腹に収まっていた。
3日目の昼前に到着した。
隣街の名前はサハン。之といった特産や遺跡・ダンジョンは無いが、代わりに街がある位置が各街や村への道が交差する位置にサハンがあって宿場町と交易町を合わせて発展していったそうだ。
この街の規模は、メルギルよりも少し小さいが賑わい具合いはこっちの方が盛んみたいだ。
街の門にある門番がいる詰所に捕まえた盗賊たちを連れて行って引き渡した。
最後まで暴れていたが、俺も慣れてきたのかマウントボルトで黙らせていった。その際に近くで見ていた兵士が苦笑いで見ていた。
賞金首になっている様なヤツは居なかったからそんなに高い値段にはならなかったが、フリムの飯代ぐらいにはなってくれた。
一応依頼の達成に成ったから、荷馬車から魔物たちを降ろしているモルガンに断ってから分かれることにした。
アレクたちに追てきていた教官にも伝えて、メルギルに帰る事にした。
ついでだから、メルギルに向かうついでに何か依頼がないか見てみようと思う。
ポーターの仕事は、報酬は安いが数は多くあって、何時でも依頼がある。
逆にハンターやガードナーは、ハイリスクハイリターンで、報酬は高いが危険も高い。加えてこう言った報酬の高い依頼は数は多くなく、取り合いになるか危険すぎて放置気味になる。
一部のベテランか、能力の高いハンターは高収入の依頼をこなして行くそうだ。俺には無理だな。
立ち寄ったギルドは、総合ギルドではなくて個別に分かれている普通のギルドだ。
だからと言って、そこに持ち込まれる依頼がどうでも良いモノが来るわけではないんがな。
依頼を見てて気がついたんだが、俺はまだ依頼が受けれないんだった。
しょうがないと、諦めて帰ろうとした時にギルドの入口にいた少女に目がいった。
ただ少女が居るのであれば、そんなに気にすることではなかった。
それでも俺には意識せざるおえなかった。
少女の格好は薄汚れていて髪もボサボサで顔色も悪い、何日かはまともに何も食べていないのだろう。
しかし、その少女は俺と同じ、黒髪に黒い瞳だったのだ。
「お願いです、私をメルギルまで連れて行って下さい」
少女は近くにいた男に直接依頼をしているようだった。
依頼は別にギルドを介してなくても直接受けることもできる。ただし、契約の安全性等は保証されないから何が起きても自己責任になる。
「そんなはした金で受ける奴なんていねえよ、いい加減離せ!」
少女が掴んでいた服を強引に振り払い、男はギルドの奥に消えていった。
ギルドに入る何人かに話をかけていくが、その全員に断られていた。
「なぁ何でメルギルに行きたいんだ?」
ビックっと声に反応した少女は俺を見て答えた。
「用事があるんです。
私はそこに行かないといけないんです」
俺が気になった原因の1つの黒い瞳を向けて答えた。
「どんな用があるのかは知らんが、報酬しだいで連れて行こうか?
俺も戻る途中だったからな」
「本当ですか?!」
諦めかけていたのだろう瞳に光が戻ってきたが、直ぐに元に戻った。
「お支払いできるお金がこれしかありません」
震えながら差し出した手の中には、160Rがあった。
多分必死にかき集めてきたであろうその金も手に合わせて震えていた。
不意に、少女の履いていたスカートから何かが落ちた。
カシャっと落ちたそれに俺はクギ付けになった。
少女が慌てて拾ったそれはスマフォで、日本で販売されていた物だったのだ。
「転移・・・者か?」
俺の零した声を聞いた少女は後ずさりして逃げようとした。
何故か俺は咄嗟にその少女の手を握って、その場を離れて人が少ない場所まで移動した。
その移動中は、少女は大人しくしていた。
まるでもう何かが終わったかの様な顔をしながら。
「ここで良いか」
選んだのは、人気の少ない所にあった宿屋で、1泊分の金を払って部屋に2人で篭った。
「安心しろ、何もしないから」
そう言って、向かい合うようにイスに座ていた少女に話しかけるが返事もしない。ただただ俯くだけで目線も合わせない。
「これを見たら信じてくれるか?」
荷物入れに締まわれていた、財布の中にある身分証に無くしたはずの俺のスマフォと、足に装備していた銃を机に置いた。
「コレって、あなたは・・・」
俯いていた少女はこれを見て顔を上げてコッチを見た。
「多分だけど、君は日本人だろ?
俺も正真正銘の日本人だ。
まぁ体は若返ってしまってるけどな。これでも29才なんだぞ」
少しだけ砕けた感じで話す。
「あ、あの、あなたはいつからココに来たんですか?!」
「うん?
ココってこの世界にか?
大体そうだな、4週間前ぐらいだな」
スマフォや銃を元の場所に戻しながら答えていく。
「それって、サハンに居た時間ですか?」
「いや、ココじゃなくて隣のメルギルだけど」
「スキルコンビニってわかります?」
「分かるも何も、俺はそのスキルを持ってるだが」
「貴方はもしかしてお名前は蒼真と言いますか?」
少女は確信に満ちた顔で聞いてきた。
「ああ、俺は蒼真だけどそれが何なんだ?
話が見えないんだが」
「会えた、やっと会えた・・・」
俺が蒼真と伝えたら突然泣き出してしまった。
俺は、どうしたもんだと悩みながらベットの上で丸まっていたフリムを見ていた。
ついでに、無くしたはずのスマフォが 荷物に入っていた理由を考えてしまう。
最近、もう1つのお話を書こうか迷ってます。
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