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17話 誰の子?俺の子

 結局次の日は休むことにした。

初依頼の初日に休みなしで、ほぼ一日働いていたら誰もがこうなるだろう。

元気な奴がいたらそいつはサボっていたかチートな奴のどちらかだと思う。


 午前中は朝の訓練だけして後はゴロゴロして過ごす。

午後からは、買い出しするためにコンビニに来ていた。


「約束通り持ってきたよ」


 コンビニに来たのは買い出しと一緒に、以前ミルエルに約束していた弁当を渡すためだ。

弁当と言っっても中身は簡単なやつで、サンドイッチ系のモノに摘んで食べれるオカズがあるだけ。

手軽に食べれる様にしておいた。


「すみません、ありがたく頂きます」


 手渡した弁当を受け取ってくれて良かった。

心なしかミルエルも嬉しそうにしてくれている。背中の羽」が少しだけワサワサ動いてる。

もし受け取ってくれなかったらどうしようかと思った。


「器は捨てれるやつだから捨てちゃって良いから」


 持ってきた弁当の器は向こうの世界で、主に旅の途中やダンジョン・遺跡の中で使い捨てで使えるように作られている器だ。植物性の素材に動物の腸等で表面を加工されていて自然にやさしい作りだ。

器其の物も意外と頑丈で軽い物で、長時間他の荷物と一緒に持っていても気にならない。



「ギルガンド製の物ですね」


「ギルガンド?ってドコ?」


「あれ?

蒼真さんはギルガンドに行かれているのではなかったでしたっけ?」


「もしかして俺が行ってる世界ってギルガンドって言うの?」


「そうですよ。

正確には世界ではなくて星の名前になりますね」


 星なのか?

それだったらどうにかすれば日本に帰れるんじゃないのか


「じゃあどうにかすれば日本に帰れるんじゃないの?」


「多分無理だと思いますよ。

蒼真さんが居る星と日本がある地球は別々の宇宙の中にあるので無理ですね。

地球で言われている宇宙はそれぞれ個別の神が管理を担当していて、極希に管理している神が掛け持ちしていれば繋がりますがそれもブラックホールと呼ばれている物で繋がっています」


「結局無理なのか、戻れるかと思ったのに」


 ガッカリだな、一瞬本気で期待したのに。


「今日は何か買って行かれるのですか?」


 話の流れを変えてくれたのかな?良え子や本当に。


「えっと、以前買ったシリアルカードの銃に使えるメンテナンス道具ってある?」


「ありますよ。確か、同じコーナーの右下の列にカードで」


「ありがとう、見てくるね」


 ミルエルから離れて、カードがある所を確認していく。

目的の物を見つけた時に、隣にあったカードのコーナーに惹かれた。


 『最新使い魔特集第365弾!!』

やりすぎだろ!!!!っと内心突っ込んでしまった。


使い魔とは何だと思い、説明書きを読んでみた。

使い魔とは使役した魔物の総称で、使役できるタイミングはそれぞれタイミングが違うようだ。

そんな使い魔をコンビニで買えるって・・・ペットショップを連想してしまったじゃないか。


 このコーナーに有ったカードで、見た目の体の作りがあの有名なドラゴンで体の表面が全身鳥の羽に覆われている奴が気になった。

 こいつはただ羽が生えているのでは無くて、羽の色が虹色で輝いている。

ドラゴンでも、蛇のような胴体に両手両足に翼があるのではなくて、翼に足があるだけだからそんなには強くないんじゃないかと思う。

あとは、首周りに綿のようにフワフワな毛?が付いている。それも虹色だ。

 それでもコイツがって言うか、カードが気になった。


「これよろしく。

それとそこにあッた特集の奴って、育成とかってどうすれば良いのかわかる?」


 買う予定だったメンテナンス道具のカードを出しながら聞いてみた。


「ちょっと待ってくださいね。

えぇとですねぇ・・・・・・分かりました。

基本は自由ですね、育成方針は個人での采配になります。

ただし、育成するモンスターによってはかなり大きい個体が居るので餌代とかが嵩むものも居たり。

性格が、育成者の意に沿わない個体もいるようなので気を付けた方が良いみたいです。

あれですね、ペットショップのペットですね」


 いやいや、そんなニッコリせんでも。

何かのファイルと睨めっこしていたミルエルがボケてくるとは、冗談とか言う子には見えなかったのに。


「そっかー、1つ買いたいんだけどどうしようかなー」


 正直迷うな。


「どちらを迷っているのですか?」


「これなんだよね」


 迷っていたカードをカウンターから一旦離れて持ってきて見せる。


「見せてもらいますね、フリムドラゴンですね」


 あ!名前見てなかった、フリムドラゴンって名前なんだ。


「このドラゴンだったら大丈夫いみたいですね。

比較的大人しくて、大きさも環境に合わせて自在に変える事ができるようです。

餌代も大きさで変えられるので、小さいままで居させれば良いかと思います」


「マジで!じゃあコレも買う!」


 即決だ!


「卵からにします?

それともある程度育ったのにしますか?」


「何が違うの?」


「違いはですね。

 卵から育てるとその子が育成者を親の様に思い、懐き易くなり言う事もきちんと理解してくれます。

途中からの子は、即戦力にはなりますが、性格によっては言う事を聞かなかったり、最悪使い魔の子に食い殺されます。

 ですので、きちんと調教なり育成なりして育てなければなりません。

卵から孵った子もそうですからね」


「分かった、きちんと責任もって育てるよ。

卵からでお願いするよ。

初めてでもヤッパリ最初っから育てたい」


「分かりました、会計はコチラになりますね。

それでは少々お待ちください」


 会計が終わるとミルエルは奥に下がって行った。メンテナンス道具はカードなのに、卵は実物になるんだと、途中からのはどこから出てくるんだ?


「お待たせしました。

コチラが卵になりますね」


 持ってこられた卵は、大体鶏の卵2つ分ぐらいの卵の大きさだった。

卵は鳥の巣の様な入れ物に入っていて、その卵の色は淡い虹色だ。


「買ったわ良いけどコイツいつ孵るんだ?」


「直ぐ孵りますよ、そんなに時間がかかりません。

最低限暖かい所に置いてあげて下さい」


「ありがとう、そうするよ。

またね」


「こちらこそお弁当ありがとうございます。

次来たら、その子の事教えてくださいね」


 卵を撫でていたミルエルが、最後に教えて欲しいと言ってきた。

動物が好きなのかな?


「わかったよ、生まれてれば話すよ」


 伝えると約束してコンビニから出た。




「フィー!フィー!」


 生まれてました。

イヤ、早すぎるでしょ!コンビニ出たら生まれるってどんだけ早いの?!

こおー何て言うか、卵温めたり、卵が孵る所を立ち会ったり色々あるんじゃないの?


「・・・ま、良いか。

生まれたんじゃ仕方がないしな」

生まれたフリムドラゴンを入れ物事机の上に置いて、邪魔になる卵の殻を片付けてやる。

片付けている時、手を近くに出すと、手に擦り寄ってくる。

少しでも懐いてくれているみたいで安心した。これでいきなり生まれたての子に噛まれでもしたら俺は盛大にショック受けただろう。


 部屋は元々荷物がなくって、このドラゴンが歩き回っても大丈夫だ。

ただし、悪戯したり物を壊さないように躾けなければならないと思う。

 けどその前に、やらないといけないものがある。


「お前の名前、どうするか・・・」


 入れ物からドラゴンを抱えて取り出してベットに座っていた俺の膝に乗せて撫でてやる。

コイツ、あまり騒がないし大人しい子みたいだ。

もし騒がしい子だったら近所迷惑になる所だった。

しかしどうするか、俺、名前を考えるの苦手なんだよなぁ。


「フリムでいいかな?」


 安直だけどフリムはどうかと思った。

覚えやすいし、こいつに何か合ってる気がする。


「なあ」


 呼んでみたらドラゴンがその小さな顔をコッチに向けた。

きちんと言葉を理解してくれているみたいで助かる。理解していなかったら今後が余計に大変だった。


「お前、フリムって名前にしても良いか?

似合っていると思うんだが」


「フィ!」


 良いと言ってくれたのか、一声鳴くと生まれたばかりの片翼で手を上げるように広げてくれた。


「良し、じゃあ今日からはお前はフリムだ。

宜しくな、フリム!」


「フィ!」


 元気よく鳴いてくれた。

これからはコイツと暮らしていくと思うと少し感動した。

人間ではないけど何かと共に暮らすのって、それだけで寂しさが消えるからな。

 ・・・・・・そっか、俺、寂しかったんだ・・・・・・

気がつかなかったのか、気がつかないふりを自分でしていたの。分からないけど、俺はそう感じていたんだと思う。

 でもこれからはコイツと居るからそれも少しは無くなるのかな。


 フリムを撫でながら外を見るともう夕方になろうとしていた。

そろそろ飯の準備だな、あとコイツ生まれちゃったけどココで飼って良いか受付で確認しなきゃな。







 私も生き物を飼っているので躾とかが大変ですが、それでも好きな子なので苦になりません。

 愛情を持って接すれば必ず答えてくれるので嬉しいです。

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