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11話 買い出し

 講集会場となっている場所で、俺はエレスに一般教養を教わっていた。

今教わっているのは文字の読み書きで、元の世界で言う日本語は勿論、英語や中国語等のどれもが違っていた。唯一助かったのは、数字が同じ表記だった所だ。

文字の方も、五十音順に変換して覚えて行けば何とかなりそうだった。


「はい、正解です。

ソーマさんは呑み込みが早いですね、このまま行けば新人講習にも余裕で間に合いそうですね」


 まぁ、一度は形は違えど修得してるしな。


「それに算術には驚きました。

足し引きは勿論、掛け算や割り算まで初日でできるなんて。

もしかしてソーマさんは貴族か商人だったのではないでしょうか」


「そうですか?

それは褒めすぎですよ。

それに貴族や商人ってことは無いでしょ、だったら気がついた時に他にも人が居たはずだし街で俺を探している人が居るハズですよ?」


「分かりませんよ?案外まだどこかで探していたりするかも知れません」


 この子は何を期待しているのだろうか。


「エレスさん、実はお願いがありまして」


 答案用紙の答えを確認しているエレスに買い出しの案内を頼んでみようか。


「何ですか?お願いって」


「生活用品とか欲しくってですね、お店とかを教えて欲しんです。

昨日の報酬で買える分だけ買って揃えたいんですよ。

それにお金の使い方も教えて欲しいですし」


 冷静に考えればこのお願いって小さい子のお使いに付き合ってって言うお願いと同じだよな?恥ずかしい。


「えぇっと、午後からでしたら良いですよ。

元々しばらくの間、私はソーマさんの教育係みたいな形に成っていたので他の仕事がありませんしね。

お昼まで勉強して午後から行きましょうか」


「有難うございます、助かります。

1人だと何もら分からないので」


 了承してもらって安心したのか、つい少し笑ってしまった。


「はへ・・・・・」


「どうしました?」


「な!何でもありません!!

続き!続きをしてて下さい!」


 慌てるほど俺の顔は酷かったのか?

それからはエレスは少し余所余所しいというか、目が合うと視線を外して何処か変だった。

お昼まで続きをやり続けて一旦別れ、再度ギルドの入口で集合する形になった。

午前中の間に着けていなかった物で、シグだけレッグホルスターと一緒に着けてる。あとはシャツとジーパンの変わらない組み合わせ。シグはいらないかもしれないけどココは日本じゃないしな、何が起きるか分からないから念のため。


「お待たせしました、ソーマさん」


「いいえ、待ってませんよ。

エレスさん、それエレスさんの私服ですか?

似合ってますね」


 待ち合わせの場所に先に着いたので、待っているとエレスが私服で出てきた。

白いワンピースに肩掛けのピンクの小さなバック。

大人しめの可愛い顔と少し小さな体つきの合う感じだ。


「あ、ありがとうございます。

ギルドの先輩たちが私服の方が良いって言ってたので」


「そうですか、では早速で申し訳ないですが服のあるお店から教えて下さい」


「分かりました、なるべく安いお店でしたね。

あちらになります、ソーマさんは新品とか拘りはありますか?」


 エレスが並んで歩く様な形で道案内してくれてる


「特に拘りはないと思いますよ、記憶が無いのでたぶんですけど」


「あ・・・すみません。

失礼でしたよね、記憶を無くされているのにこんな質問」


 エレスは自分で言った事に後悔したのか俯いてしまった。


「別に良いんですよ、気にしていませんから。

それに、少しでも出費は抑えたいですからね」


 そうこうしているうちに目的のお店に着いたのか、店内に案内された。

商品は全て中古の様だが品質はそんなに悪くない。とはいっても化学繊維みたいに頑丈で着心地が良い物は無いけどな。


 ここで選んだ商品は、黒い色で白いラインが入った長袖の服2つと黒の丈夫そうなズボンを2つ買っておいた。金額として銀貨4枚ですんだ。


 この世界において、通貨の価値は世界共通になっている。

半銅貨・銅貨・半銀貨・銀貨・半金貨・金貨・白金貨があり、それらの価値は。

1・10・100・1000・10000・100000・1000000の価値がある。

そして間違いなく円ではなくルラの単位で通っている。

また、少し変わるがギルドカードにはギルドに預けてあるお金を専用の魔道具でできた端末で引き落とす事でも買い物ができる。


 まだ少しだけ金に余裕があるので他の生活必需品が買えそうだったので買えそうな場所を教えてもらい買っておく。




「これで大体揃いました。

ありがとうございます」


 最低限の物が揃った所でエレスに感謝しておく。


「良いんですよ、私も楽しめましたから。

ソーマさんって黒がお好きなんですね」


 今回買った物はほぼ全てが黒い物だった。


「いいではないですか、落ち着くんです」


「別におかしいって、わけではないですよ。

単にそう思っただけなんです」


 あんだけ買えばそう思うか普通。


「じゃあ最後に何か食べて行きますか?

良ければ何か奢らせて頂きますが」


「そうですか?

でも良いですよ、お気使いなく。

まだ依頼を受けれないんですからお金は大事に取っておいて下さい。

あのお部屋とかは無料みたいなものですが、食堂の食事代は無料ではないんですよ。

お気持ちだけで嬉しいですから」


 それを言われるとなんだかな。


「分かりました、ではこれだけでも受け取って下さい」


 そう言って最初のお店で秘かに買っておいた、淡く綺麗な柄のスカーフをエレスに差し出す。


「これは?」


「せめてのお礼にと思って買っておいたんです。

気に入らなければ捨ててしまっても、何方かにあげてしまってもかまいませんから」


「そんな、捨てるなんて勿体無いです。

それではこれ、ありがたく頂きますね」


 受け取ってくれたスカーフの柄も気に入ってくれたのか、「綺麗ー」と小さく呟いていたので内心良かったと思いながらエレスと2人でギルドに戻っていった。







 この2人の光景をギルドからずっと影から見ている影が複数あった。

1つはガイン、残りはその日非番でエレスが相談していた先輩受付嬢たちで。2人がでかけると知り、総出で出歯が目をしていたのだ、ガインに至っては、頭を普段かぶらない帽子で隠し、新手の認識阻害をしていた。

「なんだか青春よねー」や「けっこうイケメンの子ね」など応援と言うよりも冷やかしだった。

中には「あの子のお尻良いわ~」や「ガインさん、あの人取られちゃうよ」等ソーマの身に危険がありそうな会話も含まれていた。






冒険が始まるのはもう少し後からになります。

ただし、良くある冒険ものになるかわ今の所決めていません。


何かご意見御座いましたら気楽にメッセージ等お願いします!!

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