8話 ギルド
朝からの移動は特に問題もなく移動する事ができ、あと少しで目的地のメルギルに着く予定の所まで蒼真たちは来ているらしい。
「ソーマ、見えてきたぞ。
あれが俺も住んでいる街、メルギルだ」
川沿いを伝い、先に森を抜けたガインが指をその先に指しながら伝えてきた。
「アレがそうか」
同じく森を抜けた俺の目の先には、少し離れているがメルギルが見えていた。
外観しか分からないが石作りの外壁に囲まれた街で規模も大きそうな街だった。
街に到着するとまず気がついたのは外壁の所に居る兵士が身元の確認等をしていなかったのだ。
多くの人が自由に街を出入りしている。
「出入り口に居たあの人らは仕事をしなくて良いのか?」
街の風景を見渡しながら尋ねてみる。
「門番の兵士たちか?
別に問題ないぜ?
一々確認する必要が無いからな、戦争や疫病とかならまだしも今は平和そのものだからな。
ココじゃ、たまに魔物とかの襲撃があるくらいだ。
それに街の領主様がなるべく領民には自由をって方針だしな」
へぇ、なかなか気さくそうな人だな。
俺にもあまり面倒事がなさそうだ。
ついでに街の事を教えて貰った。
ここの街は比較的温暖な地域で街に流れる大きな川もある事から農業、水産業が他の地域に比べ安定しているそうだ。また、領民の福祉や職業教育等にも力を入れているらしい。何でも昔に居世界から召喚された勇者の1人の仲間がココの領主なんだそうで、それ以降の歴代の領主がその方針を守ってきたそうだ。
だからなのか、この街は活気がある様にも見える。まぁ比べているのが以前に見たテレビの歴史ドラマだったりするんだがな。
それよりもやっぱりファンタジーだな!!
ケモミミやエルフ、ドワーフっぽいのや頭から角生えてるのも居る。
なんか意味なく感動するなぁ。
「で、ここがお前を誘ったギルドセンターだ。大きい建物だろ?」
案内された建物はかなり大きい建物だった。上手く例えているか分からないが、通常規模の高校の校舎を2つ合わせた位だった。
「確かに大きいな。
それにしても俺もココで本当に登録できるのか?ダメだったら仕事を早く見つけないといけないし」
「大丈夫だって、俺でも登録出来たんだからな」
そう言いながらガインは俺の背中を押しながら建物の中に入っていく。
中はかなり広い空間になっており、それぞれ壁際3方向に受付がある。その内、右の受付にガインと向かう。受付のカウンターも5つの受付があり、各々対応していた。
あれか?俗に言う受付嬢と言うやつか?
受付の人たちは皆女性ばかりだった。綺麗な人も居れば可愛い人も居る。何故か男性は居なかった。
「次の方どうぞー」
周りを見ているうちに順番が周ってきたみたいでガインと一緒に受付嬢に対面する。
「あら、ガインさん。
漸く戻ってきたのですね。依頼はどうでしたか?」
受付嬢はガインを知っているらしい。
この人はセミロングの茶髪を後ろに纏めて縛っていて顔は小さくて可愛い部類だろう。
お互いイスに座っているので性格には分からないが身長は低いのではなかろうか。
「おお、何とか達成したぜ。
コレが証明部位な、あとギルドカード」
「帰りが遅いので心配しましたよー
・・・・・はい、確認できました。こちらが達成料とギルドカードになりますね」
ゴブリンの耳詰めの袋を見ても平気なのな、俺なら悲鳴を上げるかも。
「あと、こいつの新規での登録と住民登録着きで」
「こちらの方のですね。
失礼ですが何か以前の物で身分証明が出来る物をお持ちですか?」
急に俺に話を振って来るから挙動不審になるだろ。
「すみません、何も分からないです」
「分からないとはどうゆう事です?」
受付嬢の視線が痛い、俺を怪しんでそうな目つきだ。
「あぁスマンスマン、こいつ記憶が無いみたいなんだ。森の中で俺と会う以前の記憶がないんだと」
「そう言う事でしたか、申し訳御座いませんでした」
ガインのフォローで受付嬢が頭を下げてきた。
「いえ、良いんです。
見た目は分からないですからね。それで俺は登録は出来るのでしょうか?」
「あ、はい!登録受付ですね。
・・・えぇっと、お名前だけでも教えて頂いて良いですか?
勿論覚えていらっしゃたらで良いのですが」
「はい、名前でしたら大丈夫です。ソーマ、コレが名前のハズです」
「畏まりました、少し奥で聞いてきますね。
何分この様な受付は初めてですので、申し訳ございませんかお待ちくださいませ」
受付嬢は奥に行ってしまった。
「大丈夫なのか?」
「だ、大丈夫だ。た、たぶんほ、ホントに」
ガインも俺を誘った手前不安になってきたみたいだ。
10分15分位待つと受付嬢が知らない婆さんと一緒に戻ってきた。
受付に婆さんが座って、受付嬢が後ろに立つ形だ。
「待たせたかい?
まずは自己紹介でもしようかねぇ。
私はココの冒険者ギルドの部の責任者、ギルドマスターのクレンって名前で、ココの施設の統括責任者でもあるよ」
席に着いた婆さんが俺に自己紹介をしてきた。
いきなりトップが出てくるなんてツイテない。まぁ俺の場合、特殊だろうからしょうがないと思うか。
「俺はソーマです。
ココの登録をしたいのですが問題がありますか?」
「問題は幾つかはあるかね。
まずは質問に答えてくれるかい?」
以前の記憶の事は面倒な事になると思い伏せておく。
森の中の出来事と名前の事、持っていたと伝えた銃の事だけを伝えておく。
「そうかい・・・・・あの森の中で目が覚めたと。
それじゃあ後はどの辺までの記憶があるか確認しておこうかの」
物の認識やその名前、歴史や学識等を確認された。
確認された中で、常識の部分や文字の読み書き等も記憶が無くなっている事になった。
知らないだけなんだがな。
「後はソーマ自身の能力かねぇ」
俺の能力確認と言う事なのでグラウンド見たいになっている広場に移動する。
移動するのは俺、クレン、ガイン、受付嬢の4人で、受付嬢はさっきから何かを引っ切り無しに書いている。俺の事を書いているのだろうか。
広場では何人かの人たちが剣や槍など訓練していたり、違う場所では魔法や弓の練習をしている人もいる。
「まずはその銃の威力を見せてくれないかぃ?」
こっちは問題ないから了承して。空いていた、弓用の的になっている木の板の的に向かってシグを構えて、3発撃つ。発射音に驚いたのか、訓練をしていた人たちが一斉にコチラを向いて驚いていた。
的の方は、50m離れて誤差1cm以内でシグでも易々と貫通していた。
「これでどうですか?」
婆さんも驚いていたのか固まっていて、俺が話しかけると元に戻り「ありがとう、もう良いよ」っと言って戻ってくる様に言っていきた。
後は、他の武器を使っている時の動き等を見たいと見たいと言われ、ガインと戦う事になった。
戦うと言っても訓練用の木製武器で、重さも本物に近い形の物だ。
ガインは槍と変わらず、俺はガインに進められた初心者でも比較的使える片手でも両手でも使えるロングソードを選んで使う事にした。
先ほどとは違うスペースでガインと向き合い、クレンの合図で打ち合う事になった。
どっちが優勢かと言うと、ガインの方だ。
冷静に考えれば簡単な事で、動きそのものも初心者と経験値が豊富な人物。そのどちらが強いかと言えば後者の方が自然で、持っている武器も剣と槍でリーチさがある。
何度か打ち合っているうちにクレンの「それまで!!」の合図で終了となった。
終始槍で殴られて、体中が痛い。ガインには結局1発も当たらなかった。秘かに悔しい。
受付のカウンターまで戻ると婆さんが俺に結果がでるまでココで待てと言って奥に受付嬢と一緒に引っ込んでしまった。
俺はこれからどうなるんであろうか。
受付嬢の名前がなかなか決まりません