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xross adventure-neverend challengers-  作者: 鬼々崎うらら
生徒会編
4/13

01;02 Before

どうも、鬼々崎うららです。

毎回投稿が遅く申し訳ありません。

続きが気になるという方々は是非ともブックマークして頂けると幸いです。

それと文章力無くてすみません。



マーベラス国立学院は、学校としてのシステムが他とは違えど、やはり生徒を統括する為の組織が組まれている。王国制では王が国を纏めるように、どこの学校でも、必ず生徒を纏める為の者がいなければ毎日生徒が不登校になる集団ストライキが起こってもおかしく無いだろう。それだけ、纏める"ルール"というものは大切な役割を果たしていることぐらい、どんな者でも承知しているかも知れない。

生徒を統括するには生徒としての立場を持った者で無くてはならないだろう。つまり'生徒が生徒を統括'する。仮に教師でこの組織を構成していたなら、それは単なる不平等である訳だ。

なぜ不平等なのか。


生徒会。


学校における、'統括する'組織である。この組織で決定された校則は全校生徒に適応され、勿論生徒会を組織している生徒達にもそれは公正公平に適応される。つまり、教師が生徒会を組織してしまえば、それはただの'一方的な命令'に何ら変わり無くなってしまうからだ。


だからと言って、生徒が統括するからそこは良い学校になるかと聞かれればそうではない。


それだけ学校内では莫大な権力を持つ生徒会は、生徒の学校生活をより良いものにする為、そして生徒たちを統一する為に立ち上げられるのが一般だ。生徒会は、生徒達そして教師達の信頼によって出来ており、学校の校則や行事など、何から何まで生徒会が管理できる権利を持つ。


そう、その権利は、'学校の全委員会運営費の管理'にまでも届き得る。

また、生徒会の権利を行使して自分達の良いように校則を作り変え、学校内での独裁状態も作り得る事も可能ではある。


独裁は、人々の上に人が立ち、上の人間が本来なら人々の信頼に答えなければならないのを裏切ってまで自分の望む世界を作っていくことだ。

だが、人々を苦しませる独裁が、仮に'最初から既に始まっているもの'だとしたら?


ーーーー'それが常識だ'、そう人々は認識せざるを得ないだろう。

自分達が誰かによって支配されているとも、最早思うことすら出来ない筈だ。

独裁が、'常識'となってしまっているのだから。


ーーーーーーーーーーー。











純白の絹のカーテンがひらひらと踊る窓辺を見つめながら、真っ白な部屋のベッドの上に不機嫌そうに座る少年がいた。

不機嫌、では無く、彼から放たれている極悪オーラが正にそれであるように見えるだけだった。

オールバックに纏められた長髪が、ふと風に揺られながら踊る。それはまるで、これからここに入ってくる筈の少女の心のようでもあった。

そんな彼女を待つこの少年もまた、一緒の心境かも知れない。


ベッドの上に座る少年、元い沙村賢治は、壁紙が陽に当たって部屋全体を純白色に照らし出している、つまり病室にいた。

賢治のいるここは特に隔離病棟で、重病患者が主に運ばれる所なのだが、それを思うと、賢治は自分の額の'これ'が尚更不信だと感じる。


賢治の額は現在、包帯でグルグル巻きにしてあり皮膚が見えない状態だが、彼のそこには銀色コイン状の'何か'がめり込んでいる。特に、賢治のいる隔離病棟には重病の患者が沢山といる訳だが、


額にコイン状の'何か'を埋め込まれた'だけ'の賢治がなぜ隔離病棟にいるのか?

何の変哲も無さそうなその事実が、逆に嫌に不吉な兆候に感じる。


「・・・クッソ」


何も、分からない。


あの時が、原因だった。

賢治が病院送りになってしまった理由、それは、階段の踊り場での甲冑の女性(?)と眼鏡の女性との遭遇だった。

階段の踊り場で遭遇するなり、賢治の名前を確認し、いきなり殴られ気絶させられるという理不尽極まりない行為をされた挙句、その気絶中に額に得体の知れない物体を埋め込まれ挨拶も無しに去るという乱暴の結果、色々な意味で病院送りにされてしまった。

賢治は頻繁にその情景がフラッシュバックし、精神的にそろそろ限界に近付いて来ていた。

「・・・ナメやがって、テメェらは思春期真っ盛りの無差別暴力団かッてのッッ!!」

あの時、理不尽に食らわされた殴り拳の如く、自分のベッドの固定机に右拳で思いっ切り殴った。

しかし。

ガツンという鈍い音を立てて、その拳は机の上で動きを止めてしまう。

「いって・・・ッ!くそがァ!」

鈍い音を立てて机にぶつかった右拳を、ただ痛がることしか出来ない。

机は、砕けなかった。


殴られた時のように、圧倒的パワーで殴ることが出来ない。

だから、こんな無力な自分が、賢治は嫌だった。

能力(アビリティ)も持ってない、かと言ってそれを補える程の身体能力も無い、そんな自分が嫌だった。


そんな中、病室の横引きドアが開いた。

「・・・あのね、ここ病院なんですけど」

そう呟いて賢治の病室に入って来たのは、モデルのような体型のナースだった。

またなの?と小さく文句を呟いて賢治の病室へと入ってくるそのナースは、茶髪ショートヘアーのウルフカットという、本来ナースにあるべき清潔な姿はどこにも見られない。その上、患者である賢治に対しても、敬語や丁寧語では無く明らかなタメ口である。

ナースが手に持っていた物はお盆の上に置かれた昼食だった。時計は現在、昼の1時半を少し経過した時間を指している。ナースはつかつかと賢治の病室内を歩いていき、賢治のベッドの側まで来た。

「あんたねぇ、さっき隣の病室の人に昼飯届けてた時にもの凄い音聞こえたんだけど?あれは一体どうい」

「その前に、ナースってなァ患者サマに丁寧語で優しく話しかけるのがマナーなんじゃねェんですか」

「・・・アンタは一々話の腰折らないと気が済まない訳?」

全くもう、と一つ呆れながらナースは持ってきた賢治の昼食を、賢治のベッドに付いている固定机に置いた。

ナースの白衣の胸元に付いている横長の氏名バッジには「レミリ」と書かれている。

ふと思い出したかのように賢治が聞く。

「まだ鈴は来ねェのか?」

すると、まるで無知の赤子動物を可愛がる悪戯な笑顔を浮かべてながら、つまり意味深にニヤニヤしながら、ナース元いレミリは賢治を見つめる。

「ははぁ~ん?」

なんだか気持ち悪い声だと賢治は思う。

「んだよ気持ち悪りィ、いきなりニヤニヤしやがって」

「別に~??思春期は良いもんだね全く~???」

半分嫌味を伴ったようなからかい方。

昼食の乗ったお盆を固定机に置くと、レミリは気持ちの悪いニヤつき顏でドアの方へと歩いていく。手の甲を見せたまま、横に手を振っていた。

「んじゃ、私帰るから~。メシ食えよ?」

賢治は右手で頭を少し掻き、

「わァってんよ」

「それで良し。それじゃね♪」

ニヤつき顏を未だ崩さず、レミリはドアをスライドして開けて、向こう側の廊下に出て行ってしまった。


その瞬間の後、直後だった。


出て行ったレミリの代わりと言わんばかりのタイミングで賢治の病室に入って来た女性は、その癖のある金髪を心地良いリズムで揺らしながらつかつかと賢治の元へと歩いて行き、ベッドの真横に着いた時に初めて顔が確認できた。

見た目が17、8歳の少女で、癖のある金髪は女性としてのエリート感を漂わせている。スカイブルーのカチューシャを付け藍色のマーベラス国立学院の女子生徒制服を着用しており、年齢張りに発達した胸は首に付いている赤いリボンを小さく見せていた。

賢治の見舞いに来た客だろうが、賢治はただただその頭の上にハテナマークを浮かべているだけだった。目つきは相変わらず悪いままだが。

花束を抱えており、この人物が見舞いをしに来たという事実は賢治も理解出来たが、ただ賢治にはどうしても聞きたいことがあった。


「アンタ、どちらサマ?」


すると金髪少女は花瓶の花を変えていた手を止め、賢治の方に少し驚きの表情を見せたが、やがて状況を飲み込んだかのように急に笑顔になった。

エリート感溢れるその風格とその年齢から、明らかに賢治よりも格上のようにも見えるその彼女。

マーベラス国立学院の女子生徒は、自身の名を名乗った。


「申し遅れた。私はマーベラス国立学院の生徒会長を務めさせてもらっているエイリーン=フログムウェルという者だ」


しかし、その名を聞いても首を傾げるしかしない賢治に、エイリーンは微笑んで両手を胸の前で横に振る。

「いや、いいんだ。殆どの生徒は私のことを知っているが、やはり知らないという生徒もいるものだ」

それに、と、付け足すように言う。

「入院している生徒がいると聞いてね、生徒会長である私としては見舞いに行かなければと思って来たんだ。突然に邪魔してすまなかったな」

「・・・?」

賢治が状況をいまいち掴めていない間にエイリーンは病室の戸をスライドさせて帰って行ってしまうところだった。

「早く退院出来るといいな」

エイリーンは微笑んで賢治にそう呟き、戸を閉めて病室から出て行った。

いきなりやってきたかと思えばいきなり帰っていってしまったエイリーンに、賢治はただただ変なヤツとしか思わなかった。


「・・・生徒会長っつってたか?」

賢治は、電撃の如く一つの答えを閃く。

(ウチの学校は生徒会長が最高権限とかなんとか、たしかそんなんだっけなァ)

と、なると。

(・・・学校のシステムを'何だって操ることの出来るブレイン'がアイツってことか?)

不意に、ベッドの肘置きに右の人差し指をリズム良く叩きつけて考え込んでいた。


つい先程まで自分の前に立っていた人物が、マーベラス国立学院においての最高権限・エイリーン=フログムウェル。一度も顔を合わせたことの無い生徒の所へわざわざ見舞いに来るあたり、生徒想いな人物であるように考えられる。校内での生徒による反乱行動やケンカ、悪戯に物品破壊などの問題は、世界唯一の'能力者育成施設'と言えども日常的に起こる。その行動を阻止しているのは風紀委員会であるが、その行動を処理しているのは最高権限であるエイリーンの所属している生徒会であり、生徒会長であるエイリーンは善良な苦労人にも思える。


実際、本来なら任期切れのところを、事務会元い教師方の厚い信頼によって5年もの間生徒会長の任を請け負っている。それらの点を合わせてエイリーンという人物を考えると、まさにエリートである。


だが。

何かどうも、突っかかる所がある気がする。

というよりかは。

'何か忘れている気がする'。

それが何なのか全く分からないが、大切なことのように思えるため、賢治はその足りない頭をフル回転させて考える。


「面倒」


賢治はただそう呟き、考えることを止めてしまった。

ちょうどその時、正にモヤモヤした賢治の心を晴らさせてくれるが如く、その元気な声が賢治の病室内に響いて聞こえてきた。


「おはよう!・・・の時間じゃないな。でも朝の挨拶もまだしていない・・・」

コホン、と可愛らしい咳払いを一つして、

「おはこんにちは、賢治!」

まだ"おはよう"の方がマシではないかと思った賢治であった。

鈴は、またいつものように手にフルーツバスケットを提げてやって来たのだった。









数週間後。









逆三角形のボタンを押し、睨みつけながらエレベーターの扉が開くのを待ち構える。

この病棟は合計7階あり、尚且つ隔離病棟である為、一般エレベーターの方はそこまで混まない上にそもそも乗る人物がいるかいないかと言った感じだ。

6階で止まっていたエレベーターが5階、4階とぐんぐん下がって行き、3階の地点でチーンと到着のベルを鳴らす。

扉のその先へ身を進めて、「1」の番号が書かれたボタンを力強く押す。

やがてドアがゆっくりと閉まり、ぐんぐんと下の階までエレベーターは進み、少し強めの縦揺れが起こってエレベーターは停止した。

エレベーターの階数画面が映し出しているのは「1」という数字だった。

再びチーンという到着のベルを鳴らしてドアが開いた時に、彼女はそこにいた。


唯一自分を迎えに来てくれた、たった一人の人物。

ここを出る今の今までずっと、見舞いを欠かさずに来た少女が、そこには立っている。


テトテトという効果音がバッチリ似合いそうな駆け足で、鈴はまたいつものように賢治に近付いて来る。

下駄を履いた足を賢治の目の前でぴったりと止め、顔を覗くように見上げる形で顔を上げた。

その顔には、満面の笑みが映っている。


「おはよう。そして退院おめでとう、賢治!」


いつものように明るい挨拶を掛ける鈴は、賢治の入院時の時のようなフルーツバスケットでは無く、今度はやけに豪華な花束を抱えていた。

「はいこれ、退院祝いの花束だ。貰うといいぞ」

「んな気遣いいらねェのによ」

「貰うのだ」

「っ!!?」

花束を槍のように賢治の顔に突き刺した。

「っバカテメェ!いきなり何すんだ!」

「へへーん♪」

「・・・」

疲れる・・・とだけ力無く呟く賢治に、鈴の隣にいた眼鏡の長身医師が話しかける。

「いやぁそれにしても退院おめでとう」

賢治の注目が医師に行き、医者と目が合う。

医者が賢治に対して縦に顔を振ると、賢治も一瞬で理解した。

彼の言いたいことが、今この場で口に出して言えることでは無いことを理解した。

「'怪我は'割と早く治ったしね。えーっと・・・、後頭部出血に鼻血だったね。誰かに殴られたりでもしたのかな?」

そうブツブツ呟いているこの眼鏡の長身医者は、実は賢治と2人の妖鬼とのやり取りに関して一切知らない。そもそも殴られた後、食堂に全然来ない賢治を待っていた鈴が遂に迎えに行ったところで、気絶して階段で倒れている賢治は初めて発見されたのだった。その後、鈴は早急に病院に連絡し搬送させたという訳で、連絡された側の医者は怪我人がいるという情報以外は一切把握すら出来ていなかった。


賢治を治療する際に、ただ一つ、その医者のみが知ったことがあった。

包帯が巻かれた賢治の額に埋め込まれた謎のコイン状の'何か'。

それが、賢治の身体に何らかの現象を起こし始めていることだった。

だが、それが賢治の身体にどんな症状として出て来るのかということに関しては一切分からないという。


それを知らされた賢治は、不安になるのかと思いきや、分からないものは分からないから心配していても無駄と言ってどうも気にしなかった。

賢治が入院している間には、既に心の整理のようなものがついていた。

始めに目を覚ました時には、得体の知れない'何か'が額に埋め込まれていることに恐怖を感じ、何かが起こるのではないかと日夜ずっと身構えていたが、毎日見舞いに来る鈴やナースのレミリ、眼鏡の長身医者とのコミュニケーションで少しずつ正気を取り戻していったのだった。


「・・・?」

「なんだ、ジロジロ見て。気持ち悪ィな」

退院した賢治をまじまじと見つめる鈴に、賢治は聞いた。

まるで、何かがおかしいとでも言いたげな表情をしていた鈴が、隣にいた医者にある質問をした。


「賢治は、なぜまだおでこに包帯を巻いているのだ?」


無理もない質問だった。今日で退院する筈の賢治の額には、未だに包帯が巻かれたままであったからである。

その理由は勿論、額に埋め込まれている'何か'を隠す為のもの。こんな得体の知れない物を見せびらかす訳にはいかないからだ。

こんな得体の知れない物が、無害な訳が無いと賢治は思う。幸い、賢治はその極悪オーラのせいで友達は全然できず、唯一それと呼べる人と言えば鈴と養母のマヤ=パスカシア・コットだけなので、その二人から額の'何か'を隠し通せれば良いと考えていた。

嫌な予感しかしない、だから巻き込みたくない。その考えで、賢治は今でも額に包帯を巻き続けている。


勿論、その話を知っている訳も無い鈴の質問に対し、眼鏡の長身医者は微笑んで答えた。

「後頭部の出血は縫わなければならなかったからね、でも傷口がなかなか塞がなくってね。抜糸出来る状態になるまでは包帯は取れないかな」

「後頭部の為の包帯だったのか。そしてまだ傷口が塞がった訳でも無いんだな」

少し残念そうに鈴は呟く。毎日欠かさずに見舞いに来ていたのだから、当然この日は完治していると確信していたのだろう。

そんな鈴を見ながら今までの経緯を思い返していた賢治は、自分の中にある’疑問’についてギョッとしていた。

突然賢治は焦った様子で鈴に質問を投げた。

「おい鈴!俺を見つけた時、’明らかにおかしい’所はあったか!?」

「な、何なんだ急に!一体いつの話のことなんだ!」

「階段の時だ!」


このコイン状の’何か’を埋め込まれたのが先か、はたまた鈴が気絶した賢治を発見したのが先か。

その順番が違うだけで、’額に埋め込まれているものがある’ことが鈴にもバレてしまっていることになる。

関わらせたくない。

有害であれ無害であれ、不審であれ無審であれ、念のためにこればかりは目を逸らさせる。

だが賢治が何回そう願ったところで、’鈴が賢治を発見するより前に額に埋め込まれた'事実がある限り、彼女も少なからず関係してしまうだろう。

だがその嫌な予感も外れる答えを鈴は返した。訳が分からないという顔でキョトンとしている。

「・・・?いや、血が出てることくらいしか分からなかったのだが・・・。何かあったのか!?」

「・・・あーァ、何でもねェ。忘れてくれ」

顔の前で手を振る賢治に、今でもハテナマークが浮かんでいるような顔をした鈴が「何なんだ・・・」とボソッと呟く。


「んじゃまァ、帰りますかねェ」

ボリボリと頭を掻きながら病院から遠ざかろうとする賢治と鈴を、眼鏡の長身医者が引き止める。

「ちょっと話があるんだが・・・。ああ、君はちょっと先に帰っててもらえないかな?僕と賢治くんと二人で話したいことがあるんだ」

「まあ気にはなるが・・・、分かったのだぞ」

長身医者の話を了解した後に、鈴は後ろへ振り返り真っ直ぐに家へと帰る為に駅へ向かって行った。鈴の家は郊外らしいので、毎日が電車通学の電車下校である。

振り返る時に少し寂しそうな顔をしている鈴は、それを隠すかのようにさっさと帰って行ってしまった。


「で、さっき言えなかった本題に入る訳だけど」

「あァ」

ふぅ、と少し間を空けてから、眼鏡の長身医者から話を切り出した。

「さっきの鈴ちゃんに質問した時に、何と無くでも勘付いたかも知れないけどね、」

「今の空気的にそんなキャラ求められてんだろォが、生憎俺はバカだもんだからそんなん考えられんわなァ」

「・・・いつか、それが鈴ちゃんを傷付ける時が来ない事を願いたいね」

自分はバカであると自負する賢治に対し、完全に呆れる医者は小さく溜め息をついて、再び話を切り出す。


「鈴ちゃんが君を見つけた時には、'血が出てることくらいしか分からなかった'と言っていたよね」

「あァ」

「少し'勘付くことが無いかい?'」

「・・・?」

賢治はその足りない脳みそをフル回転させて考える。


階段で何やら砂埃みたいに視界がボヤける。

下の階に行く。

踊り場に穴空いてる。

人(妖鬼)が二人立ってる。

怪力で殴られる。

鈴が見つける。

'何か'を埋め込まれる。

目が覚めればそこが病院。

つまり、'そういうことだった。'


「・・・なァるほど?」

賢治は理解した。

鈴は、賢治の額にある'何か'に気付かなかった。だがしかし、病院にいた時点では'何か'が他人から見てもハッキリ分かる程に存在感を放っていた。

つまり、これは。


「そう。つまりこれは、賢治くんを運ぶ為に学校に駆け付けた'救急車に乗ってから病院で君の頭を縫い終わる間に、その額のブツは埋め込まれた'訳だよ」


医者の話は、まだ続いた。








Twitterの方もよろしくお願いしますね。

関係無いことばっかだけど。

@xanat05

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