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「ほんの些細なボタンの掛け違いで 地球(せかい)は案外コロッと滅ぶ」

「王女殿下、服装を見る限りA.A団のようです」


「ああ、あのカルト? すぐに片付けさせるわ、心配しないで」


「オリヴィエ騎士団長殿、早まった真似はいけません。現在、ケルン大聖堂の周囲にいる民間人はすべて人質です。貴方が一歩でも動けば、全員死ぬことになりますよ」


「まったく、笑わせてくれるわね。ねえ、ニコライ、何してるの? さっさと処理しなさいよ。あなたハンターでしょう? ああいうのを掃除するのが仕事じゃない」


「嫌だ……怖い……お化けだ……。あの白い服を見ろよ……」


「はぁ……これだから男ってやつは。ベルトラン、とりあえず1階に行って一般人を助けてきなさい」


「御意、マリー王女殿下」


驚くべきことに、ベルトランはその言葉が終わるや否や姿を消し、瞬く間に戻ってきた。人類の知覚では捉えきれない、まさに刹那の出来事だった。


「敵はすべて殲滅し、民間人も避難させました。王女殿下」


「ええ、そうでなくっちゃ。流石はフランス皇室直属騎士団の団長ね。あなたは早くこれをフランスに送ってきなさい、ベルトラン」


「……王女殿下……しかし……」


「命令に背くつもり?」


「……いえ。直ちに取り掛かります」


次の瞬間、ベルトランは絵画と共にその場から消え去った。


「おや……おやおやおや……。目標が一つ消えましたね。ですが、構いません。幸いにも予備はありますし、何よりここには、極上の『人質』が残っていますから」


「ねえ、私を見て言ってるの?」


「王女殿下以外に、誰がこれほど素晴らしい人質になり得るでしょうか」


「……まったく。生意気ね」


「生意気なのは王女殿下、貴方の方だ……。敵のど真ん中にいながら、自らその剣を手放すな……ッ!?」


男の言葉が終わる前に、マリーは肉薄し、その信徒の腕をへし折った。


「本当に……あなたたちみたいな連中に武器を使うのは勿体ないわ。ああ、でも私の手が……汚れたわね。……光栄に思いなさい、私がスキンシップしてあげたんだから」


「ぐああああッ……!!!! この……この悪女が……!!!!」


「何……? 悪女?」


マリーは迷わず足を振り抜き、鋭いハイヒールの踵で信徒の目を射抜き、そのまま床に踏みつけた。


「そうよ……あなたたちのような虫ケラには……蹴飛ばされるのがお似合いだわ」


「はは……ですが……私の『マナー』は……身体系……歪んだ創造……。私の体は再生できるのです……。申し訳ありませんが、王女殿下……貴方は私に勝てない。所詮、貴方は温室の育ち。数々の死線を越えてきた私を……この俺を!! 超えられると思っているのか!! 舐めるなよ!!」


狂信者はマリーに襲い掛かったが、マリーはたった一蹴りで彼の左腕を切断し、冷ややかに言い放った。


「舐めてはいけないのは、あなたの方よ。私がどれだけ温室の花だろうと、あなたとは『始点』が違うの。少しは分をわきまえなさい。それから再生? そんなの、あなたが再生する速度よりも速く殴り続ければいいだけでしょ」


言葉を終えた瞬間、マリーは不可算の特異点に達するほどの速度で、優雅かつ苛烈に信徒を殴打し始めた。


「ぐはっ!!」


「トカゲの尻尾だって、切り続ければ結局力尽きて死ぬわ。あなただって同じでしょう?」


「……クソ……出よ!! フランケンシュタイン!!!」


身長245cm、長い黒髪、黄金の瞳。電解質が抜け落ちた死体のような肌には血管が透けて見え、手足の比率が常軌を逸した怪物が現れた。見る者すべてに本能的な拒絶感と不快感を与える存在だった。


「はい、主人様」


「ねえ、あなたは何?」


「貴様を殺す者だ。貴様が私の名を知る必要などない」


「あなた、ちょっと調子に乗ってるわね……。目に障るわ」


「調子に乗るだと……? 死ぬ間際の言葉がそれか。貴様が哀れに思えてきたぞ……ッ」


だが、フランケンシュタインが言い終える前に、マリーはその胸部に数えきれないほどの連打を叩き込んでいた。


「本当に……。目に障るって言ってるでしょう……?」


「フランケンシュタイン!! 仕方ありません……私の第0地点、『ZERO-sequence』を解除しま……」


マリーは、狂信者が能力を解放する隙すら与えず、その顔面にハイヒールを叩き込んだ。


「ぐはあっ……!!!」


「主人様……!!!」


追い詰められた信徒は、即座に煙幕を焚いて姿を消した。


「何よ……消えちゃったじゃない。行きましょう、シンクレア君。あの役立たずの変態も連れて」


エドワードは確信した。彼女はただの一国の王女ではない。常識という枠を超越した、美しくも恐ろしい「絶対者」なのだと。



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